以前の記事に関連するトピックです。
立体切断の仲間に「立体くりぬき」があります。文字通り、立体をくりぬいたあとの体積や表面積を求めさせるものです。
たとえば次のような問題が今年出されています。
円柱から直方体をくりぬく(大阪信愛学院2022)
右の図のような、底面の半径が6cm、高さが10cmの円柱から底面が1辺3cmの正方形で、高さが10cmの直方体をくりぬいた立体があります。この立体の体積と表面の面積を求めなさい。
体積
円柱全体の体積から真ん中の直方体の体積を引いて求める。円柱は「底面の半径が6cm、高さが10cm」、直方体は「底面が1辺3cmの正方形で、高さが10cm」なので
6×6×3.14×10-3×3×10=1040.4㎤
表面積
円柱全体の表面積から、上下にある正方形2つの面積をまず引き、これに真ん中の直方体の側面積を足して求める。円柱は「底面の半径が6cm、高さが10cm」、直方体は「底面が1辺3cmの正方形で、高さが10cm」なので
(円柱)6×6×3.14×2+12×3.14×10=192×3.14=602.88㎠
(上下の正方形)3×3×2=18㎠
(立方体の側面積)12×10=120㎠
より、602.88-18+120=704.88㎠
立方体から四角柱2コをくりぬく①(獨協中2022)
1辺の長さが7㎝の立方体があります。図のように、正面と横の面からそれぞれの面の反対側まで正方形の穴を開けました。残った立体の体積は何㎤ですか。
2コ以上の立体をくりぬく体積問題では、いつも同じ手順で対応できるように(問題によって対応を変える必要がないように)❶くりぬく前の全体の体積をまず出し、❷くりぬいた立体の体積をそのまま(重なりを考えずに)引き、❸重なりの部分の体積を足してもどすという手順がオススメです。
次の❶-❷+❸より 276㎤
❶くりぬく前の立方体の体積…7×7×7=343㎤
❷くりぬいた立体の体積和和(重なりを考えない)…つぎの合計で70㎤
①小さい四角柱…1×1×7=7㎤
②大きい四角柱…3×3×7=63㎤
❸重なりの部分の体積…1×1×3=3㎤
立方体から四角柱2コをくりぬく②(江戸川女子中2022)
図の一辺が6㎝の立方体について、長方形Aから向かい合う面までを垂直にくりぬき、さらに長方形Bから向かい合う面までを垂直にくりぬきます。このとき、残った図形の体積は▢㎤になります。
次の❶-❷+❸より 128㎤
❶くりぬく前の立方体の体積…6×6×6=216㎤
❷くりぬいた立体の体積の和(重なりを考えない)…4×2×6×2コ=96㎤
❸重なりの部分の体積…2×2×2=8㎤
立方体から円柱と四角柱をくりぬく(法政中2022)
1辺の長さが4㎝の立方体から、円柱をくりぬいて図1のような立体を作ります。このとき、次の問いに答えなさい。ただし円周率は3.14とします。
⑴ 図1の立体の表面積を求めなさい。
表面積の場合も3つの手順で、❶くりぬく前の全体の表面積をまず求め、❷くりぬくことで減った表面積を引き、❸増えた表面積をたすという順に考えるのがわかりやすいです。
次の❶-❷+❸より 114.84㎠
❶くりぬく前の立方体の表面積
…4㎝×4㎝×6面=96㎠
❷減った部分(上下の円)
…1㎝×1㎝×3.14×2面=6.28㎠
❸増えた部分(内側の円柱の側面)
…直径2㎝×3.14×高さ4㎝=25.12㎠
⑵ さらに底面が正方形の四角柱をくりぬいて図2のような立体を作りました。図2の立体の体積を求めなさい。
つぎの❶-❷+❸より 41.72㎤
❶くりぬく前の立方体の体積…4×4×4=64㎤
❷くりぬいた立体の体積の和(重なりを考えない)…つぎの合計で28.56㎤
①円柱…1×1×3.14×4=12.56㎤
②四角柱…2×2×4=16㎤
❸重なりの部分(円柱)の体積…1×1×3.14×2=6.28㎤