料金の問題(かき氷屋) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

前回のタクシー料金の問題は距離に応じて料金が一つに決まるというもので、距離だけを考えればいいという点である意味ラクな問題でした。

同じような料金の問題で、もう少しいろいろな要素を考慮しないといけないようなものが出されることもあります。次のような問題です。

 

なお、この問題に取り組んだある小6生は、問題文を読んで「文章全体の意味がわからない。あと『レンタル』の意味もわからない」としてとばしていました。時期的にまだ完答は厳しいとしても、この文章題を読んで意味がすっと理解できるぐらいにはこの夏に仕上げておきたいところです(主には売買損益まわりの強化ということになろうかと思うのですが)。

森村くんの町内会は、お祭りでかき氷の屋台を出すことにしました。販売数を予測して準備します。準備にかかる費用は、材料費とかき氷機のレンタル費用の合計です。かき氷1杯に必要な材料は、氷、シロップ、容器です。材料費は表1のようになっています。また、かき氷機は表2のように予測する販売数によってレンタルする機械をかえます。かき氷は1杯100円で販売します。材料は、表1のように単位ごとに買わなければならないものとします。このとき、次の問に答えなさい。(森村学園2022)

⑴ 予測する販売数が45杯のとき、準備にかかる費用はいくらですか。


右矢印 「準備にかかる費用」とは①材料費と②レンタル機械代のことなので、「予測する販売数が45杯のとき」これがいくらになるかを表1、表2からさがす。

 

①かき氷を作るにはまず表1の「氷、シロップ、容器材料」が必要で、これらの材料は「単位ごとに買わなければならない」。

とすると「予測する販売数が45杯のとき」、氷は2単位(60杯分)、シロップは1単位(100杯分)、容器材料は1単位(50杯分)が必要だから、材料費の合計は

 510円×2+700円×1+300円×1=2020円

 

②また60杯以下なので機械A(3000円)をレンタルすればすむ。

よって「予測する販売数が45杯のとき、準備にかかる費用」は①②の合計5020円

 

 

⑵ 利益が出るのは、最も少なくて何杯販売したときですか。

 

右矢印 まず小問⑴で求めた45杯のときに利益が出るかを考えてみる。しかし「かき氷は1杯100円で販売」するので、45杯売っても売上は4500円。費用は5020円なのでこれだと利益は出ない(逆に520円の損が出てしまう)。

 

利益を出すためには❶費用を下げるか、❷売上をふやすかのどちらか。

 

❶まずいまより費用を下げることを考えると、氷を2単位→1単位にへらすしかない(それ以外はすでに最低の単位なので)。

このとき販売も30杯以下にへらす必要がある。しかし30杯で考えてみると

 費用…5020-510=4510円、売上…3000円

より1510円の損となる(29杯以下だと損がさらに大きくなる)。

つまり45杯以下の販売数だとどうがんばっても利益は出せない。

❷そこで売上をいまよりふやす方向で考える。しかも「最も少なくて何杯販売したとき」かを求めるとなると、費用はできるだけ上げずに売上をふやす必要があり、それには「何杯目で費用が変わるか」に注目することがポイントとなる。

 

①まずこのあと50杯まで費用は変わらない(これをこえると容器が1単位→2単位になる)。

そこで50杯で考えると

 費用…5020円、売上…5000円

より、まだ利益は出ない(が20円の損なのでかなり近くなった)。

 

②そこで容器を1単位→2単位にふやして51杯以上を考える。これだと51杯から60杯まで費用は変わらない(これをこえると氷が2単位→3単位になる)。このとき

 費用…5020+300=5320円

となるので、最も少なくて54杯を販売すればこれをこえる売上となり利益が出る。

 

⑶ 機械Bをレンタルして販売したときの利益が、機械Aをレンタルして販売したときの最大の利益をこえるのは、最も少なくて何杯販売するときですか。

 

機械Aをレンタルして販売したときの最大の利益

まず小問⑵より「機械Aをレンタルして販売したときの最大の利益」は60杯を販売したとき。このときの利益は、売上6000円、費用5320円なので、680円

 

機械Bをレンタルして販売したときの利益

以下「機械Bをレンタルして販売したときの利益」を考える。

❶まず61杯のときを考えると、売上は6100円。これに対し、費用の合計は次のとおり8830円となり、損が出てしまう。

①氷は3単位(90杯分)、シロップは1単位(100杯分)、容器材料は2単位(100杯分)が必要だから

 510円×3+700円×1+300円×2=2830円

②これに機械Bのレンタル代が6000円

 

❷上の❶の費用は90杯まで変わらない(これをこえると氷3単位→4単位になる)ので、次に90杯のときで考えると、売上9000円、費用8830円より、170円の利益が出る。でもまだ680円より小さいので条件に合わない。

 

❸次に考えるのは100杯のとき(これをこえるとシロップが1単位→2単位に、容器が2単位→3単位にふえる)。このとき売上10000円、費用9340円(氷代510円が上がった)と660円の利益が出るが、まだ680円には届かず、条件に合わない。

 

❹そこで101杯のときを考えると、売上は10100円。これに対し、費用の合計は10340円(シロップ代700円と容器代300円の合計1000円上がった)より、240円の損となり、条件に合わない。

 

❺上の❹の費用は120杯まで変わらず(これをこえると氷が4単位→5単位にふえる)、それまでは1杯販売するごとに100円ずつ売上がふえることを考えると、240円の損をなくして680円の利益を出すところまで販売数をふやせばよい。つまりここからあと920円以上(=最低でも10杯分)販売をふやせばよいとわかる。

以上のとおり、101杯から10杯ふやして111杯にしたところで売上11100円となり、費用10340円(101杯から120杯まで変わらない)を差し引いても680円をこえる利益となるから、最も少なくて111杯販売するとき 完了

 

なお、小問⑶にだけ考え方を書く欄が答案用紙にあり、これに対する学校発表の模範解答も載せておきます。

Aを使った最大の利益は60杯販売した時の680円より、Bを使って準備にかかる費用とそのときの最大の利益を販売数ごとに考えていくと、61杯~90杯の時は8830円で、このときの最大の利益は90杯販売した時の170円。91杯~100杯の時は9340円で、このときの最大の利益は100杯販売した時の660円。101杯~120杯の時は10340円で、このときの最大の利益は120杯販売した時の1660円。680円を超えれば良いので、1660-680=980(円)より、9杯分減らして良い。したがって、120-9=111(杯)