学習教材に使わないのはもったいない入試問題④(タクシー料金) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

買い物や商売をしない小学生には売買損益の問題はとっつきにくいという話を以前しましたが、これと同じように、電気代やタクシー代を自分で払わない小学生には、電気料金やタクシー料金の問題(大きく①使用量に関係なく発生する基本料金と②使用量に応じて料金がふえる従量料金の2つからなる仕組み)もなかなか入り口のハードルが高いようです。

 

たとえば次の入試問題では、用語の説明を含むタクシー料金の仕組みについて解説してくれており、理解に不安があるようなときには活用したいところです。

 

AとBの2人の会話を読み、問いに答えなさい。(雲雀丘学園中2020)
A 日曜日に、遊園地に遊びに行ったんだ。
B 電車で行ったの?
A うん。でも駅から遠い所に行く時はどうしよう。
B タクシーかな?
A 料金はどのくらいかかるんだろう…?調べてみたら料金の仕組みはこうなっているようだよ。

B 『初乗り料金』って何のこと?
A タクシーに乗った時、最初に表示される料金のことだよ。例えば、X社のタクシーに乗ると最初の2㎞までの料金は700円のまま変わらないよ。
B へえ、そうなんだ。『加算料金』ってなに?
A 初乗りのあとに、300m走るごとに増える料金のことだよ。X社のタクシーだと、グラフのように、走った距離が2㎞以下だと料金は700円、2㎞をこえてから2.3㎞以下だと790円、2.3㎞をこえてから2.6㎞以下だと880円になるよ。
B じゃあ、X社のタクシーで5.5㎞走ると、円かかるね。
A そうだね。Y社のタクシーでは、初乗り料金が安いね。
B 2つの会社のタクシーの料金が同じになることってあるのかな?
A あるんじゃない?ちょっと計算してみる…。あ、あったよ!㎞をこえたとき、少しの間だけどタクシーの料金が同じになるよ。

⑴ ア、イにあてはまる数を答えなさい。ただし、イは考えられる数のうちもっとも小さい数を答えること。

 

右矢印 アについて「X社のタクシーで5.5㎞走る」とき、①最初の初乗り料金が700円(2㎞まで)と、②その後の加算料金が300mごとに90円かかる。

そして、2㎞まで700円というとき、2㎞を1ミリでもこえると加算料金が発生する(その後も同じで、プラス300mを1ミリでもこえると加算料金が1回発生する)ことにとくに注意する。

 

5.5㎞」=2㎞+3.5㎞だから、3.5㎞に対して加算料金がかかる3.5㎞は3300mより大きく3600m以下なので加算される回数は12回だから、アは

 700+90×12=1780円

 

イは「2つの会社のタクシーの料金が同じになる」ときだから、2つの料金表を見比べる。

初乗り料金の差が200円(同じ2㎞まで)。加算料金の差が1回あたり10円(同じ300mごとに)なので、加算される回数が20回のときこの差はなくなる(旅人算と同じ考え方)。

そして2㎞を1ミリでもこえたときに1回目の加算がされる点に注意すると、20回目に加算されるのは

 2㎞+300m×(20-1)=7.7㎞

をこえたとき。

 

 

⑵ Y社のタクシーを使うと、5000円で最大何㎞走ることができますか。

 

①まず初乗り料金(500円)で2㎞走れる。

残り4500円であと何㎞走れるかを考えると、4500÷100=45より、加算される回数が45回まで走れる。これを計算すると

 2㎞+300m×45=2㎞+13500m=15.5㎞

まで走れる(これを1ミリでもこえると46回目の加算料金がかかる)から最大15.5㎞

 

 

2人の話はつづきます。

B おや、こんな広告見つけたよ。これは…?

A タクシーの料金が5000円になってからは300m走るごとの加算料金が5割引きになるんだ。

B 来週、家から18㎞はなれたおじいちゃんの家に行くんだけど、どちらの会社のタクシーを使った方が安いかな。

A 計算してみよう。

⑶ 下線部について、どちらの会社のタクシーを利用した方が料金は安くなるでしょうか。計算式も答えなさい。

 

右矢印 Y社のタクシーを利用した方が安くなる。

 

計算式は学校から模範解答が公開されているのでそちらを引用させていただきます。Y社の料金については小問⑵の結果を利用するのがポイントです。