学習教材に使わないのはもったいない入試問題②(流水算) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

入試問題がそのまますぐれた学習教材になるものとして、今回は流水算を取り上げます。

 

  流水算(国府台女子学院2020推薦)

 

次のような問題があります。

<問題>川の上流にあるP地点と下流にあるQ地点を船で往復したところ20分かかりました。静水時の船の速さが時速15㎞、川の流れの速さが時速6㎞であるとき、P地点とQ地点の間の距離は何㎞ですか。

この問題を次のように解答しました。にあてはまる数を答えなさい。ただし、は最も簡単な整数の比で答えなさい。

P地点からQ地点まで川を下るときの速さは時速

 

右矢印 「静水時の船の速さが時速15㎞」、「川の流れの速さが時速6㎞」なので、「川を下るときの速さ」はこれらの和となり 時速21㎞

 

Q地点からP地点まで川を上るときの速さは時速
 

 

右矢印 「川を上るときの速さ」は船の速さと川の流れの速さの差となり 時速9㎞

 


よって、下るときと上るときにかかる時間の比はであるので下るときにかかる時間は

 

右矢印 速さの比は下り:上り=21:9=7:3。時間の比は速さの比の逆比なので、かかる時間の比は下り:上り=3:7

往復にかかった時間20分をこの比で分けると「下るときにかかる時間」は20分×3/10=6分

 


したがって、P地点とQ地点の間の距離は㎞である。

 

下りの情報を使って「P地点とQ地点の間の距離」を求めると、時速21㎞は分速350m(=21×1000÷60)だから
 350×6分=2100m=2.1㎞

 

 

練習問題

 

  少しローカルな流水算(報徳学園中2021)

 

船Aと船Bは、武庫(むこ)川の上流にある甲武(こうぶ)橋と下流にある上武庫(かみむこ)橋の間を往復します。船Aは甲武橋を、船Bは上武庫橋をそれぞれ同時に出発し、20分後に初めてすれちがいました。その10分後に、船Aは上武庫橋につきました。流れのないところでは船Aは毎分60m、船Bは毎分75mの速さで進みます。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、船の長さは考えないものとします。

⑴ 武庫川の流れの速さは毎分何mですか。

 

右矢印 武庫川の流れの速さを毎分①mとする。

AとBがすれちがった地点までBは20分かかり、同じ距離をAは10分で進んでいるので、速さの比はかかった時間の比の逆比より1:2。つまり

 Aが上流に向かう速さ:Bが下流に向かう速さ=(75-①):(60+①)=1:2 

この比例式を「内項の積=外項の積」で解くと 60+①=150-② 

③=90 より①=毎分30m

 

⑵ 船Aと船Bが2回目にすれちがうのは、甲武橋から何mはなれたところですか。

 

右矢印 船Aは初めてすれちがったあと上武庫橋まで10分かけて下るのに対し、船Bはこのあと甲武橋まで40分かけて上る(Aが20分かけて下ってきた距離なので)。したがって、船Aは船Bより30分早く折り返して上流地点(甲武橋)に向かうこととなる。このとき船Aは分速30m(=船60m-流30m)で進むから、この30分間で900m進む。

 

ところで船Aは甲武橋(上流)から上武庫橋(下流)まで分速90m(=船60m+流30m)で合計30分かかったから、その距離は片道2700m

 

となると、1回目にすれちがって40分後には、船A(上武庫橋から900m上った地点にいる)と船B(甲武橋にちょうど着いたところ)とは2700-900=1800mはなれている。この距離1800mを、船Aが分速30mで上り、船Bが分速105m(=船75m+流30m)で下るときの出会い算を考えればいい。

 

よって、AとBの速さの比は30:105=2:7、距離の比は速さの比と等しいから、AとBが2回目にすれちがうのは甲武橋から1800×⁷⁄₉=1400mはなれたところ 完了