以前の記事の続きです。
最強技なのに名前が残念すぎるというものが立体図形の分野にもあります。「特別な三角すい」というものです。
立方体のかどをある3点で切断したときにできる三角すいの展開図が正方形となるというので「特別な三角すい」。立体切断の問題では最頻出の図形であり、折り紙で簡単に作れる身近な三角すいなのですが、やはりパッとしないネーミングです。
たとえば次の問題でもこの「特別な三角すい」が重要なカギとなっています。
次の問いに答えなさい。(吉祥女子2020第2回)
⑴ 図1のように、1辺の長さが8㎝の正方形ABCDがあります。辺BCと辺CDをそれぞれ二等分する点をそれぞれM、Nとします。三角形AMNの面積は何㎠ですか。
これが「特別な三角すい」の展開図になります。
全体から3つの三角形を引くと(△ADN=△ABMを利用して)
8×8-(8×4÷2×2+4×4÷2)=24㎠
なお「特別な三角すい」のこの部分の面積は正方形の⅜になることを知っていると多少の時間セーブになります。
⑵ 図2のように、1辺の長さが8㎝の立方体があります。点Aは立方体の頂点で、点Mと点Nはそれぞれ立方体の各辺を二等分する点です。3つの点A、M、Nを通る平面でこの立体を切断します。切り口の図形の面積は何㎠ですか。
この切断された立体がまさに「特別な三角すい」なのでその「切り口の図形の面積」は小問⑴で求めた24㎠
⑶ 図3のように、1辺の長さが8㎝の立方体があります。点Pは立方体の辺を二等分する点で、点Qと点Rは立方体の頂点です。3つの点P、Q、Rを通る平面でこの立体を切断します。
① 切り口の図形を解答用紙の図に書き入れなさい。
正確を期すため、学校発表の模範解答を引用させていただきます。
② 切り口の図形の面積は何㎠ですか。途中の式や考え方なども書きなさい。
同じく学校発表の模範解答を引用させていただきます。
⑷ 図4のように1辺の長さが8㎝の立方体を2つ使い、立体を作ります。3つの点S、T、Uは立方体の頂点で、S、T、Uを通る平面でこの立体を切断します。切り口の図形の面積は何㎠ですか。
一辺の長さが16㎝の立方体の一部と考えると、切り取られた立体はこれも「特別な三角すい」となっている。
その「切り口の図形」は△AMNと相似形(相似比2:1)なので面積は4倍で96㎠
⑸ 図5のように1辺の長さが8㎝の立方体を4つ使い、立体を作ります。3つの点X、Y、Zは立方体の頂点で、X、Y、Zを通る平面でこの立体を切断します。切り口の図形の面積は何㎠ですか。
小問⑷まではすべてこの小問⑸(誘導がないとかなりの難問)のための誘導だったと考えられます。
図5はタテヨコ高さが16㎝の立方体の一部とみることができる。
そしてタテヨコ高さ16㎝の立方体の「切り口の図形の面積」であれば、小問⑶②で求めた台形の4倍で288㎠となるが、あいだの部分のタテヨコ高さ8㎝の立方体が欠けているので、切り口もその分が欠けることになる。
つまり、次の図のように、高さ¼の相似な二等辺三角形2コ分が減ることに。この図形は小問⑵で求めた三角形AMNと合同なので1つの面積は24㎠。
これを2つ分引いて「切り口の図形の面積」は240㎠