とりあえず○○してみる(その3) | 受験算数はきょうもおもしろい

前回の記事の続きです。

 

入試レベルの出会い算(旅人算)になると、図を書いて状況整理しないと対応できないような込み入った問題がどうしても多くなります。出会い算の問題にはとりあえずダイヤグラムを書いてみることがオススメです。

 

おそらく状況図(線分図)を書いて考える小学生が多いかと思いますが、状況図で対応できるようなシンプルな問題であればもちろんそれでいいのですが、複雑な問題になるとなかなか整理しきれません。ダイヤグラムは入り口のハードルが高めなことはたしかですが、状況を見える化しやすいし、何よりも相似比が使えるのであとの計算がラクという大きなメリットがあります。

 

たとえば次のような問題ではダイヤグラムが大きな威力を発揮します。

 

図のような通学路に、T君の家、D君の家、学校があります。T君とD君は8時にそれぞれの家を出て、それぞれ一定の速さで学校に向かいました。途中のJ地点を通過したのはT君の方が3分早く、学校への到着時刻の差は5分でした。D君の家からJ地点までの道のりと、J地点から学校までの道のりの比が7:3だとすると、T君がD君の家を通過したのは8時何分何秒だったでしょうか。

 

(東大寺学園2022)

 

 

 

 

東大寺学園中学校 2022年度受験用 赤本 1010 (中学校別入試対策シリーズ)

 

 

東大寺学園中の算数20年 2022年度受験用 赤本 1906 (難関中学シリーズ)

 

 

右矢印 問題にある文章と図だけではよくわからないので、とりあえずダイヤグラムを書いてみる

 

T君とD君は8時にそれぞれの家を出て、それぞれ一定の速さで学校に向かいました。

T家から学校までの道のりをタテ軸、8:00からはじまる時間を横軸にする。

T君とD君の速さを直線で書く(速いT君の方が直線の傾きが急になる)。

 

「J地点を通過したのはT君の方が3分早く、学校への到着時刻の差は5分」

「D君の家からJ地点までの道のりと、J地点から学校までの道のりの比が7:3」

時間差の3分と5分、道のりの比7⃣:3⃣を書き入れる。

 

「T君がD君の家を通過したのは8時何分何秒だったでしょうか。」

これが求める時刻。とりあえず「8:□」と書いておく。

 

ここで、砂時計型の相似な三角形が見えてくる。

この相似な三角形に注目すると、ここには次のとおり、相似比10:7(→辺の比を取り出して③:⑦とおく)のピラミッド型の相似な直角三角形1組と、相似比5:3(→辺の比を取り出して2⃣:3⃣とおく)のピラミッド型の相似な三角形1組が隠れている。

ここで見つけた辺の比③:⑦2⃣:3⃣とを比合わせする(3と2の最小公倍数6でそろえる)と、次のように❻:❾:❺と表せる。

 

あとは相似比❾:❺の砂時計型の相似な三角形に注目して、比例式 ❾:3分=❺:□分 を解けばよい。すると □=5/3分=1分40秒 より 答. 8時1分40秒 完了

 

 

出会い算や流水算の問題は最初からダイヤグラムの形で出題されることもあります。

次の動画などを参考に、ダイヤグラムを読むことはもちろん、書くことも自在にできるように日頃から対策しておきたいところです。