なんという決意もなしに、なんとなく地元にて梅雨明けを迎えてしまった。
話は遡り頃合いは五月、一日雇い労働者としての私は“日雇い業界”での閑散期を迎えてしまい、この死活問題に出稼ぎなどを考えておったわけで、そんな時にちょうど祖父が激しく体調を持ち崩した。
私は地元に出稼ぎ気分で帰ろうかなどと考えたり口に出したりしていたところ、同時期に中学時代の同級生の秀元という男が地元で居酒屋を開くという話を思い出したので、五月に地元に一旦祖父の様子を伺うついでに秀元に簡単に事情を話し「もし帰ることになったら、ちょっとバイトで使ってくれよー」などと軽い保険の気分で声をかけておいたのだが、蓋を開けてみると私が帰省して二、三日で祖父の体調は持ち直してしまい、また日雇い業界も六月の半ばからは閑散期も抜けるようではあったのだが、逆に秀元の方のスタッフが真剣に足りないということになり、此方から言い出した上に用事のついでとは云え秀元に東京までスカウトに来てもらっちゃった日には『いや、じーさん持ち直したし、オレも閑散期終わるし』という訳にもいかず、義理と人情の花いちもんめで目出度く『期間労働者』として地元の居酒屋のオープニングスタッフなどという慣れないことをやっている。なかなか思い通りに行かない人生、まさしくライク・あ・ローリングストーン。
帰省初日、予想に反して祖父の具合がまた悪そうだったので『あゝ、それでもやっぱり帰ってきておいて良かったのかもしれないなぁ』とも思い直し、店の開店準備もテンチョー(店長※プライベートとの区切りをつけるため“秀元”とは呼ばないことにしている)と一緒に作業をしているのもそれはそれで新鮮な楽しみもあり、気分転換には良いかもしれないナァ、などと思っていたのも束の間のことで、オープンしてからの日々が火が出るくらい忙しい。やっぱり思い通りに行かない人生、これもライク・あ・ローリングストーン。
そうこうして火が出るくらい忙しい日々の中で、テンチョーはテンチョーなりに私の仕事ぶりを買ってくれているようで、ふとした瞬間に「このままずっと居てくれると助かるんだけどなぁ…」と口にされたりすると非常に気まずくもあったり、そうして更に悪いことに祖父が私が帰ってきてからメキメキと調子を取り戻してきたりして、祖父は祖父で実に期待に沿わない男でもある。
そうこうして先月28日の『ピンクムーン』を休憩時間に眺めつつ、“恋人と見れば永遠に幸せにいられる!”とかいう能書きも含めて、路地裏にひとつ唾を吐いてからテンチョーに「実はオレ、宗教上の理由で週に五日以上働いちゃダメなんだよねー」と言ってはみたものの、テンチョーは何も聞こえないかのような笑顔で週七勤務のシフト表を渡してきた。現在のシフト&バイトメンバーの状況が痛いほど解る私は、啞の如く黙ってそれを受け取らざるを得なかった。
状況には積極的に流されるタイプです、ワタクシ本日もライク・啞・ローリングストーン。
〈The Rolling Stones - Like A Rolling Stone〉
当店ではお皿の代わりにiPadにてお客さまにお料理を提供するご用意がございます。
