大上段から構えたような物言いをするならば、人生には〈使命〉と〈天命〉というものがあってだな、〈使命〉という方にはまだ若干自分にも選択の余地もあるが〈天命〉というものには捕まったが最後、何が何でもそれに捕まった以上は果たさねばならぬものなのである。劉邦が天下を取ったのも〈天命〉であるし、織田信長が本能寺で死んだのも此れすべて〈天命〉であって、どうあがいても人は〈天命〉に抗うことはできんのだよ、うむ。
さて、そこまで大きく出ておいてナンだが、私が一二年ほど前から完成させたいと思っている事柄の一つに『ババアいろは歌留多(ガルタ)』がある。
『い・入れ歯を外せばホラすっぴん』
『ろ・老人ホームでおいちょかぶ』
このようにババア(年寄り)あるあるを歌留多にするものであって、別に完成したところで誰も得をしないし、個人的にも「あー、ウケる」で終わってしまうことが目に見えてはいるのだが、なんとなく「誰もやらんのんだったらワシがやるしかないやないか!」という妙な使命感に燃えている。実にくだらないことにしか燃えないあたりが何処までも私らしくて嫌いではないのだが、まぁ結婚とかには向いていませんわな、実際問題。私を選ぶ方もどうかしていると私自身が引いてしまいそうな気もする。
まぁまったく生産性はありませんが、一通り形になってきたらアメンバー限定記事でアップしますので、ご興味のある方はアメンバー申請をいただければと思います。
てーんで話は変わってね、先日とある現場の喫煙所でアルバイトに来ていた大学四年生の若者と、彼の専攻である物理学や私の専門である下ネタの話などで盛り上がって、ちょうど現場も早上がりだったので、流れで銀座の喫煙具専門店に同伴することとなった。
「アレ?道路に椅子がありますよ!?」
「アラ、あなた銀座のホコ天知らんのんけ?」
「地味に銀座ってあんまり来た事がないんですよ、ホコ天なんてやってるんですねぇ」
時にはこのような若者と連れ立って歩くのも悪くはないな、という気分でタバコ屋のついでにちょいと銀ブラをば致しながらダラダラと会話をする。
話の流れで彼が「自分はまだわからない世界なんですけれど、物理学を究めていくと、どうしても“神”の存在を認めざるを得なくなるらしいんです」と言ったので「宇宙飛行士もそうみたいだね、宇宙から帰ってくると皆なにかしらの信仰に目覚めると聞いた事があるけど、あまりにもこの世界がちょうど良く出来すぎているからなんだろうな」「そうですね、偶然にしては出来すぎているんですよ、この世界は」「銀座も綺麗に舗装されてるしなぁ」「銀座の舗装は物理学じゃないです」、なんてことを話していると新しい刺激で私の脳みそ(濡れおかき入り)が喜んでいるのがわかる。
「宇宙、といえばさ」
「なんですか?」
「あれを人体の内部と捉えてみたらどうなんだろうか」
「どういうことですか?」
「わかりやすく言ったら仏教の曼荼羅だね。あれは宇宙を描いているようで、実はひとつの人体の内部を表現していると認識すると納得が行く」
「あ…でもそう言われてみたら、宇宙をひとつの人体の中として認識するっていう説を唱えている学者が居るって聞いた事があります!」
「実はその学者は…」
「まさか只野さんって…!?」
「…オレじゃないよ」
「マジすか!?」
この場合、彼は私が“学者じゃない”ことに対して「マジすか!?」と言っているのであって、なんとなく可笑しい。
帰りの電車で、今度はダーウィンの進化論の話を振られたので受け答えをする。
「進化論、ってあるじゃないですか、ダーウィンの。あれについて『違うんじゃないか』っていう話が科学の方からも出ているんですよ。どうにもそれでは説明のつかないことが多いみたいで」
「ナルホドね。でもそれは“インテリジェントモンスター説”の支持者とは違う方面からなの?」
「インテリジェントモンスター、がちょっとわからないです。なんなんですか?」
「一言で言えば“創造主”だね。この完全な世界が偶然できるはずがない、だから“創造主=インテリジェントモンスター”は存在するはずだ、っていうとても非科学的なオハナシ」
「んー、進化論の件に関してはそれとはまた別の方面からの疑義という感じですね」
「まぁインテリジェントモンスターの説も突拍子もないからねぇ。それをもじって“空飛ぶスパゲティモンスター教”なんてのもできるくらいだし」
「っていうか、只野さん、普段何してる人なんですか?」
「いやぁ、どうにも学者では食えなくてねぇ…」
「やっぱり!!」
「いや、嘘。単なる日雇い労働者」
「マジすか!?」
学者でないことを疑われるということがやっぱり可笑しくて、同時に私という存在のあらゆる意味と方面での胡散臭さが程よく出た心地よい時間を過ごせたので、帰りしなにこれから社会人になる彼に対して、私は「では最後に一言だけ大切なことを教えてあげよう。これは宇宙の真理であるから決して軽々しく口外しないように」と胡乱げな口調で彼に声をかけた。
「一回しか言わないから聞き逃すなよ」
「はい…」
「『挨拶にスランプなし』、大切なのはこれだけだよ」
「はぁ…でも名言っすね!」
「わははは」
私はいつもこんな調子で周りを困惑させてばかりいるようにも思うが、それを面白がって付き合ってくれる人間が少なくないので、まぁ特に反省するつもりもない。
もう少し宗教問題について深掘りをしてみたいが、今日は一旦ここまでとして続きはまた明日にでもアップしますかな。
〜続く
