ゲイ嫌いのいない街をさがして -4ページ目

イケメンを探せ!フリオさんプロデュース、メキシコシティ観光2

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メキシコシティと言えば、有名なのは排気ガス。なんだけど、思ったよりは全然ダイジョウブでした。道路もおおむね広いので、渋滞も東京ほどありません。東京やバンコクの方が空気は汚いかも。


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メキシコシティの中心地・ソカロ(広場)では、伝統芸能保存会みたいな人たちがネイティウ゛アメリカンのパフォーマンスをやっていました。よく見ると、白人や日本人なんかも混ざっていた。写真の白いパンツのオニイサンがカッコよかったんだけど、正面から撮れなかった。ちきしょう!


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ついにワタクシの心をゆさぶるイケメン君登場!一目見ただけで腰がとろけそうになり、しばらくは立ち去ることができませんでした


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王宮美術館


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写真より5割増ぐらいに考えてほしいハンサム君でありました。


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こらっ、ちゃんと書け!


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回廊が有名な国立ミュージアム。


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そのカメラは日本で売ってるの?いくらぐらいするの?性能はどうなのかしらと話しかけてきた御婦人。メカニックに興味があるところがカワイイ!


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15ペソ(160円ぐらい)のプリン100ペソ札を出したら「おつりがないから、タダであげる」と15歳ぐらいの女の子に言われ、大喜び。でも、食べてみたら激しくまずいので大笑いした。甘いヤマト糊みたいな食感。



さて、フリオさんとの別れの時刻が迫ってきた。
ホテルにスーツケースを取りに行き、空港へ向かう。
フリオさんの表情が、次第に湿っぽくなってくる。「またメキシコシティにおいでよ、うちに泊めてあげるから宿泊代はいらないよ。うちの娘も、喜ぶよ。」 と、前を向いたまま、べそべそした声で話すフリオさん。「来年だったら、7月がいいよ。7月だったら祭りも多いし、楽しいよ。うちの家族と一緒に、ドライヴに行こう。7月じゃなくても、来られる時でいいんだ。ユタなら、歓迎するよ。」「来られるかどうかはわからないけど、来たとしたら、必ず連絡するね。」と答えるワタクシでありましたが、そんなに切ない顔されると、まいるよ。なんで、そんなに人なつこいの?

ショルダーバッグから千代紙を取り出して、ゴージャス折り鶴を作って渡した。
「うわぁ、これはキレイだね!ひもを通して、フロントグラスに飾るよ」と、微笑むフリオさん。

空港に着いて、今日お世話になった代金をフリオさんに渡した。
空港までの運賃はサービスしてくれると彼は言っていたが、思っていたよりもはるかにいろいろ連れて行ってもらったし、今度日本人を乗せたら親切にしてあげてほしいし、200ペソをチップとして渡すことに。「いらない、もらえない。」と言い張るフリオさんだったが、「じゃ、フリオさんじゃなくてフリオさんの娘さんにあげることにする。これでケーキを買ってあげてください。必ずですよ。」と言って、車のサンバイザーに札をねじこんだ。

「いいよ、いいよ」と言ったが、フリオさんはチケットカウンターの近くまでスーツケースを運んでくれた。
「体に気をつけて、また会いましょう。」と言うと、フリオさんは「旅が楽しいことを祈るよ。」と言い、ハグしてくれました。挨拶のようなハグではなく、お互いのほっぺたも胸も両膝もくっつけて、1分近く背中をなであうようなベア・ハグ。

本当に、純粋な人でした。気がつくと、フリオさんのことをものすごく好きになっている自分がいた(恋愛感情じゃないが)。本当に純粋な人だったからこそ、たった数時間一緒に過ごしただけで、こんなに好きになれたのだ。レストランやホテルやエンターテイメントなども含めて、サービス業の人たちの真心のこもった仕事は、こんなにも心を浄化してくれる。なんて、すごい力なのだろう。

こういう浄化があるから、旅はやめられないのだと本気で思う。

オアハカに到着するなり、「サル」と言われる

スペイン語環境の中の旅でへろへろになりながらも、無事にオアハカに到着。


ゲートを出ると、時刻は22時30分を過ぎていた。
タクシーチケット・カウンターで乗り合いタクシーに乗る手配をすると、ネイティヴアメリカンらしい顔をしたオニイサンが無愛想に車にスーツケースを積んでくれた。再び肉体労働の現場に向かうようなバンで、ホテルへ向かう。乗客は7人ほど。みんな、エキゾチックな顔だちのメヒコ人の男女である。
今日泊まるホテルは、ホテル・フィエスタ・イン・オアハカという、オアハカでは空港から一番近いホテル。夜遅くに到着する予定となっていたので、チェックインしたらどこにも出かけずに、ゆっくりと眠って東京からの移動疲れを癒すつもりだ。


他の乗客たちは、デカイ声でひっきりなしに喋りまくっている。さっきまではフランス語責めだったが、いまはスペイン語の洪水だ。ときどき「ハポネサ(日本人)」という言葉が聞こえてくるので、自分のことも話題になっているのがわかる。「ブス」とか「デブ」とか「品がない」とか言われてたらやだなぁと思いながらも、黙っているしかなかった。

「ハクション!」

不意にくしゃみをすると、いままで大声で喋っていた人々が、ぴたりと話をやめて一斉にこちらを見る。「なにッ、なにッ、なんなのッ?くしゃみって、しつれいなのオッ!?」真っ青になるワタクシ。おびえるワタクシにむかって、乗客たち一同は、口々に「サル」と言った。男も女も全員が、僕に「サル」と言ったのだ。

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くしゃみをしたら、「サル」と言われた。
くしゃみをしたら、「サル」と言われた。
くしゃみをしたら、「サル」と言われた。
この言葉だけが、アタマの中をぐるぐる回った。

「サル」って、なんだよッ。怒ってんの?非難してんの?意味が、ぜんぜんわからない。
なすすべもなく、あいまいに微笑んで、まわりの皆様にアタマを下げる。なんか、「世にも奇妙な物語」の一場面みたい。顔色を失うワタクシでありました。



『ホテル・フィエスタ・イン・オアハカ』は、国道沿いの工業地帯みたいな心細い場所にあった。でも、中に入ってみると鮮やかなオレンジ色の壁がきれい。ラグジュアリーホテルではないけれど、花がいっぱいのかわいいホテルでした。空港から近いので、フライトアテンダントたちも、ここに泊まっていた。

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バスタブがあるかどうか心配だったけれど、ちゃんとあった。お湯を張って浸かると、そのまま眠ってしまいそう。

指さし会話帳を読んでいたら、バンの中でくしゃみをしたときに言われた「サル」とは「お大事に」という意味で、くしゃみをした人にそう声をかけるのがメキシコの習慣とのこと。言われたときは、「グラッシャス(ありがとう)」と返事をすればいいのだということが判明。ああ、勉強して行っていれば、ちゃんと返事ができたのに。あの時の皆さんには、とんだ失礼をいたしました。

明日は、オアハカ観光。

スゴク楽しみな場所は、明日宿泊予定の修道院を改装した石造りの厳かなるホテル「カミノ・レアル」。世界遺産にも指定されている、黄金をふんだんに使った内装が壮麗な「サント・ドミンゴ教会」。奇観・石でできた滝「イエルベ・エルアグア」の3つ。そして、夜はゲイシーン探索である。またまた、歩き・まくり・ちぎり・倒すことだろう。ツレちゃんに電話で無事を告げた後、爆睡。

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修道院を改修して造った伝統のホテル、カミノ・レアル

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石でできた滝、イエルベ・エル・アグア

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息を呑む美術の世界遺産、サント・ドミンゴ教会



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たっぷり眠って、起床。
カーテンを開けると、窓の外はピンクのかわいい花でいっぱいだった。
天気はピーカンで、空の色が東京ともメキシコシティともちがう。シャワーを浴びて庭に出てみると、踊っているようなバラの木がいた。バラの木の魂が、鈴のような澄んだ音を出しているのが聞こえる。生きている時間を楽しんでいるかのような音だ。

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東京にいる花や木と違って、けなげに生きているカンジがまったくしないのがいい。タイの木々のような、獰猛なカンジもしない。ただただ、楽しく生きている感じ。マリアッチの明るい音色が生まれる背景には、この陽気なメキシコの木々たちの魂がかかわっていたに違いないと思った。

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おまわりさんたちも朝ゴハン


すっかり牧歌的な気持になって、朝食ブッフェへ。
昨日メキシコシティで泊まったホテル・マルコポーロでの朝食ブッフェはアメリカン・ブレックファストに近いものだったが、このホテル・フィエスタ・イン・オアハカではメキシコ料理がズラッと並んでいた。コーナーには、その場でトルティーヤを焼いてタコスを作ってくれる料理人のおじさんもいた。やるじゃん!!

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パンもおいしく、チリ味の鶏の煮物などもウマイ!
なにか液体に浸かっているチーズがあったので食べてみると、沖縄のトーフヨーみたいな味。これはちょっと、この味に慣れ親しんで育たないと無理。バナナの皮に包まれた、イモのちまきも食べてみる。食べられなくはないが、ちょっとパサパサしていて味が素朴すぎる。1個で充分てカンジだった。

「メキシコに行くと、塩味のアンコを食わされる」という話を以前から聞かされていたが、初体験することに。見た目はまさにアズキでできたアンコで、上にチーズがかかっている。日本人ならば、10人中12人が甘い味を想像するに違いない。しかし、食べてみるとかなりしょっぱいのだ。なかなか衝撃的な味であった。まぁ、メキシコの人からしてみれば「アンコが甘いなんて、うげぇぇっ」というカンジなのだろうが。メキシコではこの塩味のアンコが、漬け物みたいにいつも料理に添えられて出てくる。メキシコにいるかぎり、この塩味のアンコからは逃れられないとのこと。はじめは「食べられないことはない」と思って食べていたのだが、二度三度と食べるうちに見るのもイヤになってしまった。

ブッフェのコーナーでトルティーヤを焼いている料理人に、「ケサディーヤを作ってもらえますか?」と指さし会話帳を使ってリクエストしたら、「シ(はい)!」と笑顔で答えて作ってくれた(ああ、カンジいい!)。ケサディーヤとは、トウモロコシ粉でできたトルティーヤにチーズやエビやソーセージなどを挟んで半分に折り、鉄板でキツネ色になるまで焼いたものだ(超大好物なので、東京でもしばしばメキシコ料理店に行って食べている)。
大喜びで食べてみると、表面はカリカリ香ばしく中はトロトロのチーズ、エビもぷりぷりでウットリするようなおいしさ。ああ、シアワセ。このケサディーヤを食べられただけでも、このホテルに泊まった甲斐があったというものである(しかし考えてみると、朝からものすごいカロリーを摂取してしまった)。
さて、期待に胸をふくらませ、オアハカの街へとむかうワタクシなのでありました。

カミノ・レアルは、夢のようにキレイ

タクシーに乗って向かったのは、今日の宿泊ホテルであるカミノ・レアル。
中世に建てられた修道院を改装して造られた由緒ある宿で、リッチピープルがオアハカに滞在する折りには、間違いなくここに泊まる。今回の僕の旅では、ここが唯一の高級ホテルである。


タクシーの窓から、初めてオアハカの町並みを見た。
石。とにかく、石。なにもかもが、石でできている(建物も石だし、道路も石畳)。
写真屋さんであろうと電気屋さんであろうと、ゲーセンであろうと石でできているのだ。

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石畳の町並みがキレイでした。

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ゲーセンまでもが石でできてて、不思議なカンジ。



切り出した石の肌をそのまま活かした建物もあるが、ペンキでカラフルに彩色された建物がほとんどで、街の中は色の洪水である(銀細工がオアハカの特産品なので、ところどころに銀で装飾された看板などがあって、キレイ)。

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カラフルな色使い。

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銀細工の看板がオシャレ。

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病院もカワイイ。

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歯医者もカワイイ。


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な、なにがあったのだ!


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お土産屋もフツーにこのぐらいカワイイ。

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ここは、なんでしょう。

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マシン・ジムでした。


カミノ・レアルは外観はそっけないが、一歩中にはいると噂に違わぬ厳かなホテルだった。
生まれてからいままで泊まったどのホテルよりも、リッチピープルらしき人が多い。下町育ちのガラッパチであるワタクシは、緊張しないわけにはいかなかった。

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いままで泊まってきたホテルはラグジュアリー・ホテルといってもヒルトンだとかシェラトンだとか、客室700以上の大部屋ホテルには変わりなかったし、泊まっている人もTシャツを着てカメラをぶら下げているようなフツーの人たちだった(本当の金持ちは大部屋ホテルには泊まらないのだ)。
でも、このホテルの宿泊客たち(ほとんど白人)は、誰も短パンなんてはいていないし、女の人は綺麗なゴールドやジュエリーを上品に身につけていて爪がきれい。男もちゃんと、ドレスシャツを着ていた。装飾華美なカンジではなく、シンプル&エレガント。スノッブなのともちょっと違った、ディグニファイなカンジ。


リッチなホテルでは育ちがバレるものだと聞いていたが、本当にその通りだった。
初めてお城に奉公に上がったオハシタ女中のように、あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロするワタクシ。敷地内のあちこちを小走りに回っては、「うひゃー、キレイ!なに、あのパテオ!セレブな人たちが『すてきなパーティー』開きそうじゃん!ありゃー、調度品もレストランも美しいッ!ここはなんだろ、ぎゃあッ、スタッフルームだったーッ!」と、ひとりコーフンしてセレブな方々に怪訝な顔をされる始末(面目ない、まさに日本の恥)。

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ステキなパーティはやっぱ開かれてました。

カミノ・レアルの客室は、夢のようにキレイだった。
いままで多く泊まってきたアメリカ・スタイルのホテルでは、あり得ないような色づかい。これだけビビッドな色を使っているのに、不思議と落ち着くのだ。白い土で塗られた壁も、マホガニーの厚い木材の床や天井も、窓から見える石の噴水も、なにもかもが美しく優しい。旅の疲れも、日々の穢れも、こすっからく移ろってきた人生の履歴もなにもかも消えて、「美しい人」として生まれ変われそう(誰か、目を覚まさせて)。

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鮮やかなオレンジ色の寝心地の良さそうなベッドで一眠りしたいものだが、日程はタイトなので、そんなヒマはない(そこがセレブな人々と違うところである)。部屋中にあるコンセントにブスブスと変圧器のプラグを差し込んで(器材類の充電のため)、小走りに部屋を出る。