ゲイ嫌いのいない街をさがして -3ページ目

メキシコのピラミッドを目指せ!

日本を発ってからろくすぽ寝ていなかったので、ぶっちぎりで眠り飛ばしてしまうのではないかと心配していたが、朝7時にはちゃんと目が覚めた(ホントは、腹が減って眠っていられなくなったのだった)。外はピーカン晴れで、暑そう。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-寝起き

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-寝起き

メキシコシティからバスで行ける、ティオティワカン遺跡に行こうかやめようか迷っていたのだが、この天気を見て行くことに決めた。
ティオティワカン遺跡とは、 紀元前2世紀頃のラテンアメリカ最大の宗教都市(規模的にはギリシャやアテネに劣らない)の遺跡で、死者のアベニューや太陽/月のピラミデ(ピラミッド)などが有名。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-太陽のピラミデ
太陽のピラミデ

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-死者のアベニュー
死者のアベニュー

メキシコシティからの距離は、50Kmぐらい。ドライヴにちょうどいいぐらいの距離だ。
シャワーを浴びて、カフェへ朝食をとりに。朝食のブッフェには、パンや卵やソーセージ、ヨーグルトとフルーツ、シリアルやパンケーキ、トルティーヤとチーズの入った煮物などがあった。すげぇ~豪華というわけではないが、ひととおりは揃っている。とにかく、果物がうまい。タイの果物は薄味のものが多かったが、総じてメキシコの果物は味が豊かなカンジ。がつがつと食う。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-寝起きカフェ
ステンドグラスがかわいいカフェ

部屋に戻る途中に、フロントにいるカルロス君にティオティワカン遺跡に行くバスに乗るまでの道順を尋ねる。地球の歩き方を見りゃあ全部書いてあったんだけど、話しかけたかったんだもん。

「おはよう、ウタ!よく眠れた?」と、カルロス君は親しげに微笑んでくれる。「うん、すごくよく眠ったよ。飛行機で眠れなかったから、天国みたいだった。ここは、本当にいいホテルだね。あなたも親切だし。」パタパタとシッポを振る犬みたいに、仕事中のカルロス君になつきまくるワタクシ。遺跡行きのバス・ターミナルまでの道順を尋ねると、メモを取り出して親切な地図を書いてくれた。

「地下鉄の駅を出るとすぐにブースがあるから、ブースにいる人にこのメモを見せるといいよ。ここに、ティオティワカンに行きたいですってスペイン語で書いておいたからね。」と、カルロス君。なんて親切。なんて優しい。なんてアニキっぽい!もう、ほっぺたとかに噛みついてやりたいッ!
しかし、カルロス君が「ブース」と言っていたのは、実はバスのことだったのだ。バスがメキシコ訛りで、僕の耳にはブースと聞こえていた。僕の胸の中ではすっかり「地下鉄の駅を出たら、すぐブースがある」ということになっていたというわけだ。気がついたのは、後日のことであった。



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部屋に戻って、荷物を詰め直す。
ホテルを転々とする時は、面倒でもチェックアウトするごとにリパックした方がいい。なりゆきにまかせてしまうと、何がどこに入っているのかが全然わからなくなってしまうからだ。

ふと見ると、昨日ヒューストン空港でもらったポテトチップスの袋が、パンパンに膨らんでいる。メキシコシティは高地にあるので、気圧が低いのだ。
時差ぼけのせいで体はなんとなく疲れていて、頭もすこしぼんやりしている。午前中ゴロゴロする時間がほしいところだが、もうすぐチェックアウトしなければならない。それに、今晩はオアハカに移動して夜にホテルに着き、そのまま寝てしまうので、ゆっくり休むのはそのときにしよう。

フロントに降りて、チェックアウト。
遺跡見物の間、スーツケースを預かってもらうことに。

「ウタ、僕は夕方にはいなくなってしまうけど、スタッフにウタのことを伝えておくからね。短いステイだったけど、会えてうれしいよ。こんどは、もっとゆっくりメキシコシティに滞在するといいよ。」 と、カルロス君。
そんな目で、そんなに真剣に言われたら、ワタクシ、もうダメ~ん。
昨晩に撮ったカルロス君の写真をプリントしておいたので、彼に手渡した。
「ウハハハハッ、少しフケて見えるなぁ」と、明るく笑うカルロス君。くうううッ、その笑顔、イケてまんがな!


テルを出ると、数人のタクシードライバーが待ち受けていて、「タクシー!タクシー!」と叫ぶ。首を横に振って歩き出すワタクシ。ソナ・ロッサの街はどこもかしこもオブジェやモニュメントで溢れかえっているのだけれど、ちょっとインパクトのある銅像を発見。ちょっと、レディコミの世界に引きずり込まれそうなカンジ。それに、どことなく不倫モノっぽい。愛し合っているのはわかるんだけど、アブラがのりすぎてるよ、あんたら。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-銅像

すかさずカメラを取り出して写真を撮っていると、「セニョール!」と呼び止められる。ホテルの前にいたタクシードライバーの一人が、僕を追いかけてきたのだった。


「ハポネサ(日本人)?」
「シ(はい)。」
「今日は、どこに行くの(この運ちゃん、英語が話せる)?」
「ティオティワカンまでバスで行きます。」
「タクシーにしようよ。バスだと大変だよ。安くしておくから。」
「でも、お高いんでしょおおお???」
「ティオティワカンまでの往復と、そのあと市内観光をして、400ペソと高速代でどう?」

思ったほど高くない。産油国であるメキシコはガソリン代とかが安いせいなのだろうか。ちょっと考えたが、効率よくあちこち見て回るのだったら彼に連れまわしてもらった方がいいし、英語が話せる人が側にいるのは心強い。ガイド料込みってことで、OKすることに。

「7時には空港に着きたいんで、6時頃ホテルにスーツケースを取りにこなきゃならない」と運ちゃんに告げると、「オーケー!じゃ、空港までサービスで送ってあげるよ!」と、運ちゃん。気のいい運ちゃんのようだ。ホテルの前に停めてある車まで戻ると、カルロス君がエントランスに立っていて、僕を見つけるとパパパッと外に駆け出してきてくれた。

「アミーゴ、タクシーで行くことにしたのかい?そのほうが、安心だよ。そのドライバーはフリオっていって、とってもイイ奴だから、心配ないよ。」
と、カルロス君。「カルロスがそう言うなら、安心だよ。」と答えて、車に乗り込んだ。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-フリオ

タクシードライバーのフリオさんは、イケメンでもタイプでもないが、ガッチリしていて男らしく、優しくて、おやじキャラとしてならイケてるカンジ(森尾由美や三浦りさ子なんかが主婦キャラとしてならイケてるようなものか)。ニチョでメキシコ旅行の写真をみんなに見せていたら、何人かが「イケる!」と言っていました。3人の娘と奥さんと一緒に暮らしているそうです。おやじだおやじだと思っていたら、あとで僕と同じ歳であることが発覚!

ひょええええッ!

「僕の名前はウタです」と言ったら、そのあとずっと、ユタと呼ばれるようになった。いいよ、いいよユタで。僕の姉の名はヨシコだが、ヒスパニック系の人は「ヨ」と発音できないので、姉は彼らから「オシッコ」と呼ばれている。それよりか、なんぼかマシである。

古代遺跡に超美青年が!

フリオさんに「遺跡はひとりで見てくるから、休んでてイイよ。」と告げ、「これでゴハンでも食べていて」と、チップを渡す。「そんなもの、受け取れないよ」とパパっぽく首を横に振るフリオさんだったが、「だめ、ゼッタイだめ!」と言って受け取らせる。
やはり水心・魚心である。
遺跡の入り口にある地図を指さして、効率的な回り方などをいろいろ教えてくれる。ポケットからチューイングガムを取り出して僕の胸のポケットに差し込み、汗をかくからこれを持って行きなさいと言って、タオルもくれた。ふひひ、「だーいじょうぶよ、パパ。心配しないで。」と言って出かけて行くお嬢様に変身して、フリオさんに手を振るワタクシでありました。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡1

「ティオティワカンは、めちゃくちゃ観光地化されていました。「 ティオティワカンまんぢう」とか「銘菓・古代のしらべ」とか売っていそうなカンジ。あっちこっちで物売りが日本語で「ヤスイヨ、ヤスイ、ホトンドタダ!」と、土産物を売り込んできます。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡2

ティオティワカンの入り口からピラミデまでは、相当な距離。こんなに長い距離を炎天下、歩かされます。紫外線対策は欠かせません。お金を払えばトラックにのせてもらえるんだけど、お年寄りしか乗っていなかったので、やめておいた。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡3

メキシコで特筆すべき点は、子供がメチャクチャかわいいという点です! タイの子たちも可愛かったし、まぁ、どこへ行っても子供は可愛いんだけど、メキシコの子供たちの人なつっこさは、すごい。やられる。とろかされる。めろめろにされる。カルロス君とかの、あの抗いがたい魅力は、この人なつっこさに由来しているのだとわかりました。遺跡で出会ったこの子たちを皮切りに、メキシコのあちこちで子供たちにめろめろにされる歌川なのでありました。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡4

さて、いよいよピラミデに登りますが、遠くで見るとジャリ山のようだったピラミデが、近くで見ると高い高い。しかも、階段がえらく急なのです。83年放送の「大奥」で荒木由美子が草笛光子に突き落とされた階段より(誰も知らねーっつの)急勾配です。手すりがないと怖くて上がり下りできなそうなんだけど、全員が手すりに掴まれないようになっていて、怖く、そしてハード。古代人が未来の人々をしごくために造ったのだろう(って、違うよ)。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡5

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡6
イケメン君も、苦しそう。
そこがまた、せくすぅぃ~~~~っ!


そして、ついに頂上へ。
てっぺんから眺めると、広大な遺跡はさすがに壮観でありました。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡7
うしろに、月(ルナ)の
ピラミデが見えています。


古代に生きた人たちを想う、ワタクシ。
遠い遠い昔に生きていた命は、いま、どこにいるのだろうか。
数えきれないほどの命が、毎日生み出され、そして毎日消えて行く。
そんな物凄いエネルギーは、いったい何のためにあるのだろう。

いま、ここで一緒に遺跡を見ている人たちも、僕がいとおしむ人たちも、大嫌いな人たちも、もちろん僕も、百年もすれば誰もいなくなる。

いつか、僕が生きたこの時も、遠い遠い昔になる日がやってくるのだ。
そのとき僕は、どこにいるのだろう。誰かと一緒にいられるのだろうか。暗く寂しい宇宙を、ひとり漂うことになるのだろうか。それとも、なにも感じることさえないのだろうか。

遠い遠い未来を生きる人々のことは、想像もつかない。彼らは、いまどこにいるのだろう。まぁ、考えてもわからない。せめて彼らのためにも、あんまり急勾配な階段は造らないでおいてあげたいと思うワタクシでありました。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡8

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急でステップが小さくて高さも不揃いな階段を下りることが、こんなに怖いものだったとは知らなかった。甲高い悲鳴をあげ、周囲の失笑を浴びながらピラミデを降りたワタクシ。フリオさんオススメのケツァールコアトルの神殿へ向かう。
この神殿は、かつては神官だけが立ち入りできた神聖な場所。ケツァールコアトルは羽を持った蛇という意味で、トルテカ人の神として現れたそうだ。彼は生贄の儀式に反対し、軍神ウィツイロポチトリに背いたため追放された。アステカ暦の何十年かに一度、ケツァールコアトルが戻ってくるといわれ、その年には災いが起きるという(ちなみにスペイン人がメキシコにやってきたのもちょうどその年だったそうだ)。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡10
遺跡じゅうに、こんなカワイイ模様がある。
赤は虫の卵(血ではない)、黄色はサボテンで着色されているらしい。


【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡9
神殿の中。修学旅行のような高校生たちがいっぱいいて、かわいかった。

ぼんやりと神殿を眺めていると、ハッとするような美青年が目の前に現れた!

おもわず固まって、凝視してしまうワタクシ。僕の視線に気づいた彼にずんずん歩み寄り、「メキシコの人ですか?」と話しかける。あまりに美しいので、目が合っただけでビリビリ痺れてしまったが、とにかく写真を撮らせてほしい。
彼の名前は、フェルナンド君。なんと、まだ16歳(見えない、見えない)。タバスコ州から家族旅行で来たとのことだった。お育ちのイイ現役高校生(横にいたお母様の上品さから推定)なので、英語もけっこう話せる 。

【漫画】♂♂ゲイです、ほぼ夫婦です-遺跡12
隣にいるのが、おかあさん。あんた、傑作を産んだねぇ!でかしました!

自己紹介→リッキー・マーティンの歌というコンビネーション攻撃を試してみると、フェルナンド君、大ウケしてくれました。やっぱ、使えるテだったんだ。あ~、よかった(涙)。
「君って、すごく美しいね!モデルになればいいのに。」と言うと、すごく嬉しくなさそうにニガーイ笑顔を浮かべる彼。
「自分の顔、好きじゃないんだ。」
「どうして!?僕のと、とりかえてあげようか!?」
「うん、そうしたいよ。」
「こんなに美しいのに。君は、生きる宝石だよ。ダイアモンドだよ、オパールだよ、エメラルドだよ!(こういうこと、バーッと言えちゃう自分もすごいが、その場では大確信で言えてしまうのである)。」
ここまで言うとさすがに彼もテレて、「ありがとう」と言って笑った。

しかし、美しい人には美しい人の悩みがあるんだろうなぁ。普通はあれだけ美しいとこちらが尻込みしてしまうものだけど、王子様幻想に脳を腐らせた図々しいオンナばかりがわんさと寄ってきて彼をモミクチャにしているのかもしれない。頼むから放っといてくれと、叫びたくなってしまったり してしまうのかもしれないなぁ。でも僕は、美しいフェルナンド君と話ができてシアワセでした。人をシアワセにする力に恵まれているんだから、へこまないで生きていってクレ 。

イケメンを探せ!フリオさんプロデュース、メキシコシティ観光1

遺跡をあとにして、フリオさんに食事に連れて行ってもらう。
遺跡の入り口で一緒に撮った写真をプリントしてあげたら、めちゃくちゃ上機嫌。何度も何度も繰り返し眺めては、パパっぽく声を出して笑っていた。

「オレはいま、惚れている女がいるんだけど、その女の店でいいかな?ユタにも見てもらいたいんだ。うまくて、安いから!」と、フリオ氏。もちろんOKである。

レストランの隣にある土産物屋に着くなり、フリオさんは店の人たちに写真を見せびらかしておおはしゃぎ。「日本人のユタを連れてきたよ!すごい機械を持っているんだ。ほら、さっき撮った写真がもう出来上がってるんだ。」と言っているのが、スペイン語を知らなくても手に取るようにわかる。土産物屋をのぞいてメスカル(蝶舌蘭が原料の強い酒。呑んだら目ん玉が溶けそう)味見し、派手にむせかえってフリオさんに大笑いされてから、レストランへ。

フリオさんのお目当てのマリアさんは、やっぱ美人。おっぱいが、でかい。さっそく、二人の写真を撮ってあげました。フリオさんは大コーフンだったみたいだけど、マリアさんの表情は微妙。

ゲイ差別のない街をさがして-1

ゲイ差別のない街をさがして-2

料理を待つ間、フリオさんが仏教について質問してきた。
「もちろん私はカトリックだが、頭の中にキリストがいない人の考えというものを聞いたことがない」と、フリオさん。
「仏教と言っても、アジアのそれぞれの国で仏教は違うものになっています。日本の中でも、いくつもの種類の仏教があります。それは、カトリックでも同じです。そうでしょう?」
「そうだね。」
「僕の年齢ぐらいかそれより若い日本人の多くは、他の国の人々に比べて仏教のことを考えることが少ないと、僕は思います。なので、あまり沢山は話せません。英語も少ししか話せないので。日本の仏教はシンプルに言うと、すべてを変えていけるような凄い力が自分の中やすべての人の中にはあり、宇宙のあらゆるものについて知り抜いたブッダの教えの通りにしていれば、それを発揮できるというものです。これがタイだと、象の形をした神様に祈ります。ネパールでは、赤ん坊のおもちゃのようなものを振り回したりして祈ります。その国によって、ぜんぜん違うんです。」

仏教の言葉って、英語でなんて言ったらいいのか、ぜんぜんわからない。煩悩とか、菩薩とか。。。まぁ、それでも答えられるだけ答えてみた。

「日本にもクリスマスはあるの?」
「あるにはありますが、クリスチャン以外の人には、子供がプレゼントをもらい、恋人がデートする日ぐらいの意味しかないように見えます。」

世界地図のはじっこにへばりついている島国の話が面白いのか、フリオさんはさまざまな質問をしてきて、僕が答えるのを真剣に聞いていた。たぶんフリオさんは一生日本には来ないだろから、話せるだけ話してあげたい。指さし会話帳やら辞書やらを駆使して、真剣に答えてしまった。

ゲイ差別のない街をさがして-3

サツマイモの甘くないヤツみたいなイモをつぶして葉っぱの形に成形して焼き、チーズをかけた料理。ウマいと思ったが、コロッケの方がウマいな。


ゲイ差別のない街をさがして-4

トマト味のメキシカンピラフ。水稲うるち米をウマいと思う日本人の僕には、やっぱりそれに勝る米はないが、なかなかイケる。


ゲイ差別のない街をさがして-5

焼いたトルティーヤに、滋味の詰まったキジ肉とチーズを挟んだタコス。泣きそうなほどウマい!こんなにウマいトリは、めったに食えない。感動の一品でやんした。



「次は何を注文する?」とフリオさんに聞かれ、「もう、おなかがいっぱい」と答えると、フリオさんは目を丸くした。「これだけしか食わないのか?うちの10歳の娘だって、もっと食うぞ。口に合わなかったのか?」
「日本人は、そんなに食べないんだよ。これがタイ人だったら、この半分しか食べないよ。」 と、笑って答える。フリオさんは一発で納得してくれたが、アメリカの田舎町なんかだと、歩けなくなるぐらい食わされた上に、「もう食えない」と言っているのに鼻血が出そうなほど甘いケーキを皿にのせられてしまったりする。くわばら、くわばら。


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「このあと市内観光に行くけど、どこを見たい?」と、フリオさん。考えてみたら、市内観光は興味がなかったので下調べも何もしていない。カフェでぼんやりしたり、ぶらぶらと街を歩いたりすれば、それでいいのだ。昨晩見つけたゲイショップに行けば何か情報もゲットできるだろうから、昼間のゲイシーン探索ができるかもしれない。

「お金はちゃんと払うから、このあとは、さっきのホテルの近くまで送ってくれるだけでいいよ。」と答えた。するとフリオさんは、僕の目をじっと見ながら泣きそうな表情になり、「なぜだ!」と言って両手を広げた。にわかに真っ青になるワタクシ。
さっきは市内観光するって言ったじゃないか!どうして行かないなんて言うんだ、なぜなんだ~~~!」フリオさんは、顔をくしゃくしゃにして、なかば叫んでいる。市内観光が中止になれば、そのほうがフリオさんだってラクな筈じゃん!こっちこそ、なぜだって言いたいよゥ!すっかりフリオさんの勢いに押され、市内観光に出発するワタクシでありました。それにしても、人の目をじっと見て泣きそうな顔で訴えかけるのは、やめてクレ。カワイイと思っちゃうじゃん、ばかばか。



ゲイ差別のない街をさがして-7
ゲイ差別のない街をさがして-6



観光スポットで運転手仲間と会うたびに、「日本から来たユタだよ、○○△△★★※※(ほめてくれているらしい)」と、僕のことを紹介するフリオさん。8人のタクシードライバーと握手した。なんだか、新しい彼女になったみたい。うふん。


ゲイ差別のない街をさがして-8

独立記念塔前にバカ見参


ゲイ差別のない街をさがして-9

メキシコシティのタクシーはビートルが多くてカワイイ。2ドアなので、助手席をとっぱらってお客が後部座席に乗りやすくしてある。運転は荒っぽいス。



ゲイ差別のない街をさがして-10

アーミー君たち発見!でも、写真を撮ろうとすると逃げてしまいます。いいぢゃないよッ!けち



ゲイ差別のない街をさがして-11

やんちゃな笑顔がまぶしい、タコス売りのお兄ちゃん。小さい弟の面倒を見ながら働いていて、もう胸がキュンキュンでありました。