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【バックアッププラン(中篇2)】

彼らが、外に出るとそこには大型のワゴンが待っていた。

たぶん竜太が手配したものだろうと聖人は感じた。

クルマに近づくと左後部のドアがゆっくりと開いた。

竜太が促した。

「さあ、乗ってくれ。」

後部座席と運転席の間には、しきりがあって前が見えなくなっている。

ちょうどニューヨークのタクシーのようだ。

後部座席は、ゆったりとしたソファーがしつらえてある。

VIP待遇だなと聖人は思った。


クルマは、ゆっくりと加速した。

外が見えないからどこを走っているのかはわからない。

どこへ行くのか質問してもおそらく応えはないんだろう。


竜太が口火を切った。

「さっきの続きだけど、こういうことになったホントの原因は

なんだと思う?」

聖人は、少し困った表情で応じた。

「う~ん、民族闘争が原因ですか?

同じ領土に今住んでいる民族とかつて住んでいた民族との争いとか。」

「それは、下の階層の話だね。もっと上位概念がある。」

「ということは? たぶん、人口が増えすぎたことですか?」

「そうだ!もはや、地球は人類にとっては狭くなった。

70億の人を充分に養うだけの資源がないんだ。」

「それは、食料とエネルギーですね。」

「それもある。でも、それ以上に問題なのが、ヒトの意識だ。」

「意識ってなんですか?」

「一人一人は、意識のバリアっていうか、テリトリーを持っている。

そのテリトリーは決して重なってはいけないんだ。

距離感というコトバで大体は説明されるけど、

ここより内側に入ってきたら相手をどうしても追い出したくなるんだ。」

「なるほど!自分の領土を侵されたら怒りますからね。」

「そう、人が増えすぎた結果、重なる部分がでてきた。

それが相手への憎しみとなって、テロを引き起こす。」

「じゃあ、どうすれば?」

「論理的に考えると、2つしかない。

ヒトを減らすか、地球を広げるかだ。」

「そうか!ヒトは減らせないから、地球を広げることを選んだんですね。」

「正解だ。地球上でこのことに気が付いたものは、

あるグループを作って、地球外への移住を選択した。

それが、このプロジェクト、プロテウス計画だ。」

「理解しました。宇宙船で地球脱出なんですね。」

竜太は、ニヤッと笑って、

「まあ、それも一つの選択肢なんだけどね。」

聖人は、この笑みの秘密がちょっと理解できなかった。

(続く)

【2015年3月記】





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