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【バックアッププラン(後編)】
聖人が連れて行かれたのは、とある郊外の研究所といった雰囲気の建屋だった。
「さあ、着いたよ!」
竜太が先導して、建屋の中に入っていった。
クルマを運転していたものの姿が見えない。
「ドライバーはどうしたんですか?」
「うん、あれは自動運転車だからドライバーはいないんだ。」
「日本で許可されてましたっけ?」
「このプロジェクトの一環でもあるんだけどね。」
二人は、厳重な扉をくぐるとエレベータで地下に向かった。
扉が開くと、精悍な風貌の白衣を着た男が立っていた。
「やあ、竜太!よく来たね。」
「それで、進捗はどうでしょうか?」
「うん、ついにカウントダウンが始まった。」
「ペイロードはどうですか?」
「マクロコスモス用は、意識譲渡の段階だ。」
「じゃあ、ミクロコスモス用は?」
「いまやってるとこだ。」
聖人には、意味がさっぱりわからなかった。
ようやく白衣の男が聖人のほうを向いた。
「プロテウス計画へようこそ!キミもコスモスの乗員だよ。」
「どういうことですか?」
「これは、選抜された日本人が、地球上に残るのと同時に宇宙へも送り出す。」
聖人がきょとんとしていると、竜太が補足した。
「聖人!これはバックアッププランなんだ。
キミには、本体とバックアップが用意される。
もちろん僕もそうだ。」
聖人は、なんとなく読めてきた。
僕は、生き残りを期待されて選抜された。
片方の僕は、地球に残り、もう一方は、宇宙に飛び立つ。
どちらが本体か知らないけど、これは、対蹠点方式と考え方が同じだ。
「さて、もう時間がないからオペを受けようか。」
「オペってなんですか?」
「キミの意識構造を小さな細菌に移す。
これは、地下深くに暮らすサバイバと呼ばれる人たちを宿主として生きる。」
「サバイバ?」
「そう、地下深く、そうマリアナ海溝からさらに10キロメートルほど深い場所に、
数100人の男女がサバイバとして残るんだ。
そのサバイバを宿主として100万人の意識構造を持った細菌が彼らの体内で住み続ける。」
「そして…。」
「そして、実際の肉体は、プロテウス号という宇宙船で外惑星を目指す。
コールドスリープでグリーゼ710という恒星系にあるプローブ1という惑星に住むんだ。
この恒星系は、13600年後に、太陽系まで1.1光年に接近する。
そのとき改めて地球に向けて出発し、
帰還する。地球上は、放射能汚染が薄らいでようやく綺麗な環境になっている。
地球の新たな住民として加わるわけだ。」
「ということは、深海底で住み続けるという人類と
宇宙に飛び出してから帰還する人類に分かれるんですね。」
「いや、違うんだ。海底で住み続ける人たちのバックアップが
宇宙に進出するし、
宇宙に進出する人たちのバックアップが
海底で住み続けるってことなんだ。」
白衣の男が、くぐもった声で竜太に話した。
「さあ、予定通りアイシスに戦術核が渡った。
我々も出発準備だ。
アイシスが戦術核を使うと連鎖反応的に、
大陸間弾道弾のスイッチが入る。」
竜太は、この企みの全貌がようやくわかった。
「そうか!人類が増えすぎたことを危惧する人間たちが
このプログラムを作ったんだ。
かれらは、地球上の人類を殲滅させてそのあと、
放射能の影響がなくなった頃を見計らって
また、地球に住み始めるというのか。」
壁には、プロテウス号の発射まで3時間という掲示が出ていた。
(第一部 了)
【2015年3月記】
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