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【マイクロ太陽s】

202x年、その製品は突然に表れた。

小さな球体である。

その直径は2センチ程度、透明なカプセルに覆われ、

その中心からまばゆい光が放たれている。

最初は、光源として受け入れられた。

室内灯として使っても、クルマのヘッドランプとしても、街灯として使っても

充分な明るさを持っていた。

面白いことに少し傾けるとその光は、少し暗くなった。

90°傾けると消灯した。

つまり用途に応じてその光の強さを変えられたのである。


開発したウッドペッカー社は、サンプルとして無料提供した。

それも月に数千万個という大変な規模であった。

そのため、またたくまに世界を席巻しほとんどの光源は、その球体に置き換えられた。

なにしろ電気代がいらない。

その球体を傾ける仕組みさえ用意すれば、ほとんどランニングコストは必要なかった。


次に、ウッドペッカー社は、その球体を格納する箱を用意した。

この箱に球体を入れると、その箱の両側から電気が取り出せた。

光を電気に変える仕組みを持っているようだった。

これも無償で提供された。


その出力は、大変なものでひとつの球体から1kWもの電力が取り出せた。

3個あれば家庭の電力は賄える。

自動車メーカーも注目した。

100個並べると2000ccのガソリンエンジンに匹敵する出力である。

もちろん自動車メーカーは、こぞってそれを採用し世界中の車は、

すべて電気自動車となった。

もちろん電気代はかからない。


この流れはさらに加速し、家庭で使用する電気器具だけではなく、工場での電力も

この球体に置き換わった。

いつしか人々はこれを、『マイクロ太陽s』と呼ぶようになった。



3年たった。

もはや既存の発電所は、その役目を終えすべて停止に至った。

太陽光発電も風力発電も趣味でやる以外意味を持たなくなった。

石油生産もエネルギーではなく原料に振り向けられた。


エネルギーがタダとなった今、農業は工場で行われ、

漁業も温度管理、水質管理されたプールで行われるようになった。

もはや食料不足ということはなくなった。



人々は、ウッドペッカー社に感謝した。

貴社のおかげで人類は未来永劫、発展を遂げます。

そして更に一年が経った。

人々は、『マイクロ太陽s』の明るさが少し減って、

取り出せる電力が減ってきたことに気が付いた。

このままでは、光が消え電気がなくなる。



交換してもらおうとウッドペッカー社にサンプルの提供を求めた。

そこでウッドペッカー社のアナウンスがあった。

「当社では、みなさんの年収の1パーセントを製品の使用料としていただくこととしました。

このわずかばかりのご負担で皆様には快適な生活がお約束されます。」

突然の発表に反発して代金を払わないものもいた。

しかし5年きっかりで、『マイクロ太陽s』は、その寿命を終えた。

新しい製品を手に入れるよりしかたがなかった。

もはや彼らの主張に従わざるを得なかった。


だれかがつぶやいた。

「これって、以前にあったような。そうだ。

ごーごる社は、すべての製品を無償で提供し競争相手を駆逐した。

そのあとですこしづつ課金していった。その流れには誰も抗えなかった。

あのビジネスモデルだったのか。」

(了)

【2015年9月記】





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