リュリと指揮棒とクラウス・マケラ、オスロフィル | 主婦がサイエンスに挑む。研究室マンガ

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樹庵じゅあんです。本業は研究室の技術員。兼業でマンガ・イラスト制作をしています。趣味はガーデニング、クラシックコンサートに行くこと。

 

 

この動画がとても好きなのですが、

クラウス・マケラの持っている棒が何なのかわからなくて

気になっていました。

 

 

ほんの3分25秒という短い動画です。

曲名は 「町人貴族」よりトルコ人の儀式のための行進曲

Marche pour la Ceremonie des Turcs

 

ジャン=バティスト・リュリ作曲 Jean-Baptise Lully 1632-1687

 

指揮 クラウス・マケラ Kaus Makela

演奏 オスロ フィルハーモニー Oslo Philharmononic

 

0:12 のあたりでクラウス・マケラが長い棒のようなものを持って出てきます。

 

 

0:54 ドン ドン と床を叩いて音を出しています

こんなの初めて見たので「???」

となりました。

雰囲気はエキゾチックな感じで、

「え?これは何?これもクラシック音楽なの???」

 

でも聴いているととても懐かしいような力強さを感じます。

 

 

1:10

 

この動画を見つけてから何度も試聴していたのですが、

どうしてもこれが何なのかわからなくて(曲もドンドンも

エキゾチックな雰囲気も)気になっていました。

 

すると先日のこと!

謎が解けました。

 

セントラル愛知交響楽団の音楽監督である角田鋼亮(つのだこうすけ)さんの

レクチャー(音楽講座)に参加していたときのことです。

 

休憩時間にふと手に取った情報誌に

「指揮杖」のことが載っていました。

 

(オーケストラQ&Aに答えていたのは目の前にいた角田さん!)

 

以下引用

Q1

指揮棒はいつ頃から使われるようになったのですか?

 

A

元々、17世紀頃のバロック時代に指揮杖と呼ばれるものを

床に打ち付けて拍を取っていたのですが、リュリという作曲家が

誤ってその指揮杖で自分の足を刺してしまい、その存在が消えていきました。

その後、ハイドン、モーツァルト等の古典派は手で指揮を、

その後1784年生まれのシュポーアが初めて指揮棒を使ったと

言われています。

とは言っても、最初は五線紙を丸めたような筒状のもの

だったようで、現在のような木の指揮棒が使われるようになったのは

20世紀近くなってからと言われています。

 

指揮棒を使うメリットは、打点(拍を作る点)や、その点と点の間の

軌跡の見えやすさにあります。

ロマン派に入り、作曲家の求める音楽も壮大になっていき、

オーケストラの編成もどんどん増え、どんな場所からでも

見えやすい指揮棒が重宝されたのだと思います。

ちなみに、現代の指揮棒の棒の部分は木、カーボン、グラスファイバー、

持ち手の部分は木、コルクなどでできているのが一般的です。

(音楽監督/角田鋼亮 Kousuke Tsunoda)

 

 

rara-caに掲載されていました

(セントラル愛知交響楽団 特別情報誌 Vol.5  2024 SPRING Vol.5 )

 

これを読んで、私が気になっていた曲は「バロック音楽」というもので

1600年代の曲だということがわかりました。

バロック音楽は「懐かしい感じ」がする音楽なのですね。

 

作曲したリュリは指揮棒を使って指揮をとっていて、

誤って自分の足に刺してしまい、その怪我が原因で亡くなったとのこと。

抗生物質のない時代、、、こうした怪我が化膿して(破傷風という記述もあり)

命を落とすこともあったのですね。

 

「リュリ 指揮棒」で検索したら映画のシーンも見られました。

リュリが指揮棒を足に刺してしまう場面が描かれています。(見てみました>面白いけど怖かった!!!)

 

 

 

以上、クラウス・マケラの動画で気になっていたことが

角田さんのQ&Aでスッキリ解決したという話でした!!!

 

(角田さんありがとうございます!セントラル愛知交響楽団に感謝)