将官が次々と死亡し暴徒と化すロシア軍 | 戦車兵のブログ

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ロシア軍の将官が戦死しているという。

 

将官とは准将・少将・中将・大将の階級で、陸軍・空軍なら将軍、海軍なら提督と呼ばれる軍人だ。

 

将官が戦死するということは、ロシア軍の司令官級の指揮官は後方の弾の飛んでこない安全なところでどんと構えて指揮を執るのではなく、弾の飛んで来る最前線へ出て部隊を指揮しているということだ。

 

どこかの国の将官とは違いロシア軍は指揮官陣頭で戦っているのかも知れない。

 

それとも・・・弾は前からだけでない後ろからも飛んできているのか・・・、戦車部隊の指揮官の大佐は部下に戦車で足を轢かれたという話まである。

 

ウクライナ軍の指揮官や将官の話も戦死の話も全く聞かないので一方的にロシア軍がやられているような錯覚に陥るが実際のことは判らない。

 

ロシア軍の士気が落ちているのだとすれば・・・何が起きてもおかしくはない。

 

ジャック・デッチ(フォーリン・ポリシー誌記者)の記事より

以下ニュースウィークより転載

 

 

 

<ベトナム戦争以降、米軍で命を落とした将官は1人だけだが、ウクライナ侵攻以降のロシア軍では既に5人ないし6人にのぼる。いったい何が起きているのか>

 

ウクライナ侵攻から1カ月弱で、ロシア軍はすでに前線で戦う将官を少なくとも5人失ったと、西側当局者が3月21日に発表した。

 

通信障害と何十万人もの徴集兵を含むロシア軍の規律の欠如によって、前線に命令を伝えることが困難になっているためだ。

 

死亡したロシア軍将官は、そのほとんどが准将や少将など星1つあるいは2つの司令官で、少なくとも中将が1人含まれている。

 

ロシア軍将官の死傷率は第2次世界大戦以来最も高いとみられている。

 

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の最高顧問を務めるミハイロ・ポドリアクは3月20日、ロシア軍将官6人が死亡したと述べ、侵略したロシア軍はウクライナでの戦いについて「完全に準備不足」だと主張した。

 

ロシア軍指揮官の死者数に関する欧米当局者の見積もりは、もう少し控えめだ。

 

西側情報機関の情報分析に詳しいあるヨーロッパの外交官は21日、フォーリン・ポリシー誌に、少なくとも5人のロシア軍将官が死亡していると語った。

 

その主な原因は、電子通信機器の故障で指揮官の居場所を特定され、攻撃の標的にされたこと、さらに約20万人という大部隊(その多くは若い徴集兵)を命令に従わせるために、将校が前線に出向かざるをえなくなっていたことだという。

 

 

 

前線部隊が動かない

「彼らは最前線にいる部隊に命令を理解させるのに苦労している」と、この外交官は、最近の戦場での情報活動について、匿名を条件に語った。「指揮官は命令を実行させるために現地に赴かざるをえないため、通常では考えられないほど大きな危険にさらされている」。

 

この外交官によると、ロシア軍将官の死者数は、ウクライナに展開する部隊の司令官の5分の1(西側情報当局の推定では20人)に上り、軍の活動能力も低下しさらに行き詰っているという。

 

「すべては軍の準備不足が原因だ」と外交官は言う。「何かをするために部隊に命じても、それが実現しない」

 

この戦争では、艦船同士の戦闘はほとんどないのに、海軍の上級将校が犠牲になっている。

 

 

先日も、ロシア黒海艦隊のアンドレイ・パリー副司令官(少将昇進を控えていた)が、ウクライナ東部の包囲された都市マリウポリ郊外でウクライナ軍に射殺された。

 

21日未明、政府寄りのタブロイド紙コムソモリスカヤ・プラウダは、ウクライナでの約1カ月の戦闘でロシア軍兵士9861人が死亡、1万6153人が負傷したと報じた。

 

ロシア国防省の公式統計のリークまたはハッキングによる数字と見られている。

 

この記事は後に削除された。

 

ロシア国防省の公式発表では、開戦から1週間足らずの3月2日時点で、ウクライナにおけるロシア軍の死者は498人となっている。

 

 

だが関係者によると、ロシア軍の指揮官は戦術的なミスも犯している。

 

3月上旬にウクライナのハリコフ市郊外でビタリー・ゲラシモフ少将が殺害された後、ウクライナ情報当局は、ロシアの極秘情報専用通信機器の故障に不満を表す無線通信を傍受したことを発表した。

 

ゲラシモフは、ロシア軍幹部ワレリー・ゲラシモフの甥とみられている。

 

約1カ月に及ぶウクライナ侵攻は、30年以上前のソビエト連邦崩壊以来、ロシア軍にとって最大規模の派兵となるようだ。

 

1980年代のソ連による9年間のアフガニスタン戦争では、ピーク時に11万5000人の兵士がいた。

 

チェチェンでの2回の戦争におけるロシア軍の戦力は10万人をはるかに下回っていた。

 

ロシアは2008年にジョージア(旧グルジア)に、2014年にウクライナに、さらに少数の部隊を派遣し、時には軍服を着用しない部隊を使ってその動きを隠した。

 

 

 

侵攻4日目で戦死

 

アメリカはロシア人指揮官の死亡を確認していない。

 

しかし、アメリカの当局者は同時に、テキサス州とほぼ同じ大きさの国であるウクライナに対する侵攻の規模と複雑さ、そしてロシア軍の死者が多く、隣国ベラルーシの遺体安置所が死者で溢れかえっていることを指摘した。

 

「この規模の侵攻となると、上級司令官、それも将官を現地に派遣するのは理にかなっている」と、米国防当局の高官は21日、匿名を条件に、戦況の率直な評価を記者団に語った。「ロシア軍にとって、このような規模は過去に例がない」

 

この国防当局高官によれば、ロシア軍は伝統的に、欧米の軍隊より厳格なトップダウンの指揮系統を持つため、下士官の柔軟性がはるかに低く、戦術的な意思決定の細部に至るまで、上級士官が関与しているという。

 

「どのように組織され、どのように指揮するかという点では、大きな違いがある」

 

 

現在のところ、ロシアがその死亡を公表した指揮官はアンドレイ・スホベツキー少将のみだ。

 

チェチェンおよび旧グルジアでの戦争と、2014年のクリミア併合を経験したベテランだが、ウクライナ侵攻からわずか4日後に戦死した。

 

またウラジーミル・プーチン大統領は、情報漏えいと燃料浪費を理由に、ロシア国家親衛隊の副隊長を解任したと報じられる(ロシア国家親衛隊は、ロシア連邦軍とは別のロシア連邦政府に属する国内軍組織であり、大雑把に言えばアメリカの州兵に相当)。


 

「ロシアの場合、上から指示が下りてくる。すぐに取り掛かれ、成果を上げろといった具合だ」と話すのは、米国の海軍大将として、ヨーロッパとアフリカを担当する第6艦隊を指揮したジェームス・フォゴだ。

 

同氏は現在、米海軍連盟のシンクタンク「海事戦略センター」を率いている。

 

「彼らの軍隊の指揮系統は、非常に脅迫的だ。成果を上げなければ、交代させられるか、クビになるか、もっと悪い結果が待っている」

 

欧米の情報機関は、ロシア軍が当初から直面している後方支援の問題とともに、ロシアの指揮能力の劣化を感じ取っており、その結果、命を落とす将官が増えていると考えている。また、将官だけではなく、多くの佐官級将校が犠牲になっていると伝えられている。

 

元米海兵隊員だった外交政策研究所のシニアフェロー、ロブ・リーは、「部隊の指揮官を失うと、問題が大きくなる。誰かが任務を引き継ぐのか難しいためだ」と話す。

 

 

 

暴れる徴集兵

米軍ではベトナム戦争以降、戦死した将官は一人だけだ。

 

2014年、米陸軍のハロルド・グリーン少将がアフガニスタンの米軍基地を視察中、アフガニスタン兵の銃弾に倒れた。

 

あとは、2001年9月11日の米同時多発テロでハイジャックされた旅客機がペンタゴンに衝突したときにティモシー・モード中将が命を落とした例があるくらいだ。

 

前述したヨーロッパの外交官は、フォーリン・ポリシーの取材に対し、ロシアの徴集兵が食料を求め、店舗や民家で略奪行為を働いたときなど、ロシアの将官が現場に出向いて規律を説かなければならない場面もたびたびあると述べている。

 

現役や過去の米政府高官たちは、ロシアは西側の軍隊とは異なり、下士官の規律を維持する専門組織がないため、ソーシャルメディアをにぎわしているような戦争犯罪につながっていると述べている。

 

元海軍大将のフォゴは、「これは規律とプロ意識に欠ける軍隊の証拠で、統率力と訓練の不足を示している。将官はそれを補うために前線に赴かざるをえない」と語る。「まったく無計画なやり方だ。ロシア軍は規律のない暴徒へと化している」

 

ジャック・デッチ(フォーリン・ポリシー誌記者)

 

                    (ニュースウィーク)

 

 

ロシア軍第49諸兵科連合軍の司令官ヤコフ・レザンツェフ中将が戦死。

中将の戦死は2人目、将官の戦死は計6人目

ロシア軍第49諸兵科連合軍の司令官ヤコフ・レザンツェフ中将が戦死。中将の戦死は2人目、将官の戦死は計6人目

 

3月25日現在、ウクライナ側の報道によると南部軍管区第49諸兵科連合軍の司令官ヤコフ・レザンツェフ(Yakov Rezantsev)中将が戦死した。

 

ヤコフ・レザンツェフ中将は開戦4日目に「直ぐに戦争は終わるだろう」と部下に告げていた。

 

レザンツェフ中将は2020年8月から第49諸兵科連合軍の司令官に就き、シリアでも戦った。

 

2月28日に第41諸兵科連合軍の副司令官アンドレイ・スホベツキー少将から亡くなってから、僅か1か月の間で計6人の将官が戦死。

 

内訳は少将が4人、中将が2人になり、中将は派遣軍の中で最高位になる。

 

 

追記

 

英紙タイムズは26日、ロシアが制圧したウクライナ南部ヘルソン近郊の飛行場でロシア軍のレザンツェフ中将がウクライナ軍による攻撃によって死亡したと報じた。

 

 同紙によると、ロシア軍将官の戦死は7人目。中将は侵攻4日目に士気の下がったロシア兵に対し、ウクライナの制圧は時間の問題だと鼓舞していた。

 

戦死した7人のうち6人がロシア正規軍で、1人がチェチェン共和国の将官。

 

プーチン大統領が将軍1人を解任し、自宅軟禁にしているという。

 

 米軍はロシアの侵攻を統括する最高司令官がいるかどうかを判断できずにいる。

 

ロシアの明確な指揮系統の欠如が混乱の原因だとした。