戦争と兵器 「進化する戦車」 | 戦車兵のブログ

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戦争と兵器 シリーズ、今回は「進化する戦車」という題名だが「戦車」じゃなく「装甲車」を紹介している。

 

 

LAV( Light Armored Vehicle)とは、アメリカ海兵隊が使用する水陸両用の8輪式歩兵戦闘車(IFV)である。

 

スイスのモワク社製装甲戦闘車両(AFV)ピラーニャ・ファミリーを基に開発され、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ・カナダ(GDLS Canada)が製造している。

 

 

 

1980年代、アメリカ海兵隊は部隊の機動力を高めることの出来る新型の装甲車の配備を計画しており、スイス製のピラーニャ装甲車をベースとした軽装甲車(LAV)シリーズの調達を1983年に開始した。

 

 

アメリカ陸軍もこの計画に興味を持ったが、この時点ではLAVシリーズを導入する事はなかった。

 

しかし、1991年の湾岸戦争ではアメリカ陸軍も第82空挺師団など一部の部隊でLAVシリーズを運用し、後年になってピラーニャIIIをベースとしたストライカー装甲車を正式配備している。

 

 

アメリカ海兵隊に配備されたLAVシリーズは1989年のパナマ侵攻で初めて実戦に投入され、その後湾岸戦争、KFOR(コソボ治安維持部隊)、イラク戦争、アフガニスタン紛争など、アメリカ海兵隊の派遣された多くの軍事作戦に投入されている。

 

 

LAV-25は、水陸両用車であり、水上の最大速度は約12km/hである。

 

水上航行能力があるものの、水面に波が無い環境に限られている。

 

陸上での走行速度は8輪も4輪も共に約100km/hを出すことができる。しかし、8輪駆動の場合は燃費に影響をおよぼす。

 

 

25x137mm弾使用のM242機関砲1門と、7.62mm口径のM240機関銃2丁、4連装発煙弾発射機2基が標準装備である。

 

乗員は3名で、車長、操縦手、砲手から構成されている。

 

これと兵員6名の他、戦闘機材を搭載できる。

 

 

ストライカー(Stryker)は、アメリカ陸軍の装輪装甲車ファミリーである。LAV(ピラーニャ)の一つであるLAV-IIIをベースに開発され、様々な派生型がある。

 

製造は、米ジェネラル・ダイナミクス社の子会社であるジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ社(GDLS:General Dynamics Land Systems)が行っており、アメリカ軍向けに4,466両が生産された。

 

 

アメリカ陸軍が進めている再編計画(トランスフォーメーション)の一環として計画された装甲車。

 

1999年10月に地域紛争やテロに対して迅速に戦力を展開するミディアム旅団戦闘団(後のストライカー旅団戦闘団 (SBCT : Stryker Brigade Combat Team) )の構想が発表され、それに続く各種試験車両の部隊運用実験により同旅団の中核として選定された。

 

 

 

当初こそ、ストライカー旅団構想の要求からC-130輸送機に搭載が可能な重量に抑えることが求められていたが、計画の進行に従い空輸による戦力投射については次第に話題とならなくなっていった。

 

大まかには従来のハンヴィーのみで移動していたアメリカ陸軍軽歩兵に装甲、火力、戦術機動力を与える存在である。

 

また、軍のネットワーク化の部隊実験にも好適であり、各種通信装置、ネットワーク情報システムなどが装備されている。典型的なRMAに対応している。

 

 

ジェネラル・ダイナミックス・ランドシステムズ(GDLS)が自社ベンチャー開発したものであった。

 

ベースの「ピラーニャIII」八輪装甲車をカナダ向けに再設計された「LAV-III」のシリーズがアメリカ陸軍のストライカー旅団の戦闘車両として採用された。

 

 

ストライカーの名称は、2名の議会名誉勲章受章者から来ている。第二次世界大戦で活躍したスチュアート・S・ストライカー一等兵と、ベトナム戦争で活躍したロバート・F・ストライカー四等特技兵の両名である。

 

アメリカ陸軍の装甲戦闘車両(AFV)に愛称をつける場合は功績の高い将官の名をとるのが通例であり(パットン、パーシング、エイブラムス、ブラッドレーなど)、議会名誉勲章受章者とはいえ一般歩兵からその名が取られるのは異例であるといえる。

 

 

車輌そのものはキャンセルされたが、下士官の名前だった例として第一次世界大戦の名射手ヨーク軍曹から取られたM247サージェント・ヨーク対空戦車がある。

 

 

 

各種派生型中最も生産車両数が多く、主力となるのは兵員輸送車型(ICV)で、車体上面にノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース社製「プロテクターM151」RWSが設置されている。

 

 

プロテクターM151には12.7mm重機関銃M2(400発)、7.62mm機関銃M240(3,400発)、40mm擲弾発射器Mk 19(120発)のいずれか一つが取り付け可能となっている。

 

RWSに取り付けられたカメラの映像を車内のモニターで見ながら操作可能であり、射手が体を曝す事無く目標を攻撃できる事から都市戦闘などにおいて威力を発揮する。

 

 

また、熱線映像装置が組み込まれており、夜間の戦闘も可能となっている。

 

兵員輸送車として装甲防御力はある程度考慮しなければならないが、C-130による空輸を想定しているため、非常に軽装甲である。

 

しかし、最低限度の装甲防御力は有しており、高硬度鋼板の上にはドイツのIBDダイセンロト・エンジニアリング社で製造されているセラミックス製Mexas(メクサス)複合装甲パネルが装着されている。

 

 

この装甲は、2種類の特殊セラミック複合材が積層され内側の鋼板に直接溶接され全面に取り付けられており、300m以内からの14.5mm弾と、155mm砲弾の至近炸裂に耐えられる性能を有する。

 

また、直撃弾による内部剥離を防止するアメリカのデュポン社が開発したケブラー繊維内張りが搭乗員席および兵員室内側全面に装着されており、乗員の生存性を高めている。

 

この他には、対戦車地雷対策として車両下部にもメクサス装甲が装着されているが、被害を完全に防げる性能はなく、乗員の生存性をある水準内に確保する程度である。

 

 

また、イラクに派遣されている車両に見られる檻の様な装甲は、スラットアーマーと呼ばれる追加装甲で、ゲリラやテロ組織が使うRPG-7対戦車擲弾を防ぐことを目的に使われている。

 

Light Armoured Vehicle(軽装甲車)の略。

 

ピラーニャ装甲車の別称。

 

モワク ピラーニャ(Mowag Piranha)は、スイスのモワク社で開発された装輪式装甲兵員輸送車である。

 

 

1960年代に開発が始まり、最初の試作車両は1972年に完成した。

 

 

現在の軍用装輪式装甲車隆盛のはしりとなった車両であり、採用国はアメリカやカナダなどの西側先進国をはじめ、開発途上国で次第に増え続け、ライセンス生産車を含めて数多くの派生型・発展型が開発・生産されている。

 

 

モワク社は2004年にジェネラル・ダイナミクスの傘下に入り、2010年にはGDELS(ジェネラル・ダイナミクス・ヨーロピアン・ランド・システムズ)となったため、現在は同社の製品となっている。

 

 

軽装甲機動車は、陸上自衛隊と航空自衛隊に配備されている装輪装甲車である。

 

製造は小松製作所。

 

 

防衛省は、略称をLAV(Light Armoured Vehicle)、愛称を「ライトアーマー」としており、保有する部隊内では略称をもとに「ラヴ」とも呼ばれている。

 

 

普通科などの隊員の防御力と移動力を向上させるのが目的の装甲車であり、性能や想定する任務は、歩兵機動車(Infantry mobility vehicle, IMV)に類する。

 

 

固定武装は無いが、乗員が天井ハッチから身を乗り出して5.56mm機関銃MINIMIや01式軽対戦車誘導弾などの火器を使用できる設計になっている。

 

車体は装甲化され、避弾経始も考慮されているが、具体的な防弾・防爆性能は公開されていない。

 

 

小型かつ軽量であるためC-1/C-130H輸送機、CH-47J/JA輸送ヘリコプターなどで空輸することが可能となっている(CH-47の機内にも積載可能な様に要求設計されているが、実際に積載する場合は車体側面後部に設けられたアンテナの架台や発煙弾発射器の架台などを予め取り外す必要がある)。

 

 

装輪装甲車は、タイヤ付き車輪によって走行する装甲車のことである。

 

 

装甲車は装輪装甲車と装軌装甲車に2分される。

 

民間や警察機関で用いられる装甲車はほぼ全てがタイヤ式の装輪装甲車であるため、二者を区別する必要が無く、単に「装甲車」と呼ばれる。

 

「装輪装甲車」と区別して云う場合は両者を運用している軍用車両を指すことが多い。

 

 

装輪装甲車はタイヤ付き車輪で走行し、装軌装甲車はクローラーとして知られる履帯や無限軌道と呼ばれる装置で走行する。

 

装甲車はこれらのいずれかに分類できる。

 

 

戦車に代表される装軌装甲車は、大重量の戦闘車両に限定されるため、開発と生産に比較的費用が掛かるが、装輪装甲車は価格や用途の幅が広く、多様な車種と多くの台数が世界中で生産されている。

 

 

装輪車両が備えるタイヤ付き車輪は舗装道路上を走行する限り、少ないエネルギー消費で安定した高速走行を行なえる。

 

 

これは履帯を持つ装軌車両では成しえない特徴であり、少ない燃料消費は長い航続距離と兵站への負担軽減を与える。装軌車両は最高速度が87km/h程度であるが、装輪車両では110km/h以上の速度が出せる。

 

 

装軌式の履帯は大きな騒音と振動を生じ、乗員の疲労と故障につながり、被発見性も高まるが、装輪車両ではこれらの問題はあまり生じない。

 

 

こういった利点に対し、装軌車両が持つ「不整地走破能力」、「越壕能力」、「越堤能力」、「登坂能力」などのいわゆる「路外走行性能」が劣るといえる。

 

 

また、装軌車両が地雷などで履帯を切断されると走行不能に陥るのに対し、装輪車両は1輪や2輪が損傷しても走行可能なものが多い。

 

路面にかかわらず装輪車両の駆動系の信頼性は装軌車両より高い。