「平成の零戦」勇姿現わす 米軍「第5世代」を上回る「心神」!  | 戦車兵のブログ

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1月27日に零戦が日本の空を飛び、翌日には零戦誕生の地で「心神」を公開した。




戦後の日本は国産戦闘機は開発することが出来なかったが、果たして現代の零戦のように他国の脅威になるだけの戦闘機になるのかは私には解らない。



ただ期待はしているけどね。



以下産経ニュースより転載







 赤と白に彩られた機体はライトアップされ輝いていた。




操縦席直下の日の丸の赤もデザインの一部に溶け込み、わが国戦闘機開発の再生に向かう決意を示しているかのよう。



反面、本当に高性能戦闘機開発に向けた研究実験機なのかと驚くほど機体は細身で、しなやかささえ漂っていた。






 愛知県内にある三菱重工の工場で28日、米軍のF-35といった「第5世代」戦闘機の上をうかがう、将来の「第6世代」戦闘機開発に備えた研究実験機《先進技術実証機》が公開された。



 「先端技術を集めた兵器は美しい。秘密のベールに包まれた技術も神秘性をかもしだす」



 とは、官民の防衛関係者が兵器をお披露目するにあたり、一様に抱く感慨だ。


工場内でこの感慨を共有した。



 先進技術実証機は富士山の別称「心神(しんしん)」という愛称の方がすっかり有名になった。






 三菱重工関係者が命名したとの説もあるが、定かではない。ともあれ、零(ゼロ)戦と縁(えにし)が深いこの工場で生まれた心神が、武器輸出3原則緩和や防衛装備庁設立と相まって、戦後、大日本帝國(ていこく)陸海軍の傑作機復活を恐れる連合国軍総司令部(GHQ)がズタズタにした日本の航空機産業を蘇生(そせい)させる先駆けとなる…そんな確かな手応えを感じた。





 防衛装備庁の外園博一防衛技監は28日の会見冒頭、「初飛行に向け、最終段階となった」と切り出した。



平成7年に研究を始め、30万点もの部品を組み合わせ、国産化率9割超の軍用機を造り上げた高揚感が、言葉になって現れたようだ。


参加企業は220社にのぼる。


 防衛装備庁や主要製造元の三菱重工の幹部の説明によると、特徴の第一は、炭素繊維を駆使し、形状を〝彫刻〟し、敵レーダーに探知されず敵を捕捉できるステルス性。



国産成功例は米露中3カ国だけだ。



繊維に加え耐熱素材、電子機器、小型燃料装置に象徴される、わが国の得意技術を活(い)かした点も特筆される。

 




 強い向かい風を受けても失速せず、旋回半径の著しい短縮を可能にしたエンジンの開発も、担当のIHIが成功した。結果、軽量化を図り、高い運動性を実現した。



 航空自衛隊出身の宇都隆史参院議員は「戦闘機開発は国家の体制を守る礎の一つになる。礎の構築は、わが国が独自の技術力をしっかりと確保して、初めて達成する」と、本紙に期待を語った。





 平成22年3月に国内企業群が試作を始めた心神は、今年3月末の防衛装備庁引渡しを控え、2月中旬以降までに初飛行を終える。


 その後、研究中だった最新技術を追加→試験飛行を反復→問題点をあぶり出し→分析→改善を施し→新たな技術を付加→再び飛行する。


回転を止めず進化を求め続ける以上の過程の繰り返しを、軍事の要諦《スパイラル・セオリー》と呼ぶ。



セオリーは心神が直接、空自の将来型戦闘機となるわけではないという傍証でもある。

 





 むしろ「心神が生み出す数々の技術の完成度が、将来型戦闘機の生産・開発形態を決める」と言った方が正確だろう。



 日米両国は米国より技術情報供与を受け空自の次期戦闘機F-35を日本国内で組み立てる方針で同意したが、F-35導入後の将来型戦闘機を国産にするか、費用・技術上のリスクをシェアすべく外国との共同開発に踏み出すかは未定だ。

 



 関係者は「未定でよい」と言い切る。国産戦闘機製造への総合力を持てば、外国が注目し、擦り寄ってくる。



逆説的に言えば、国産戦闘機製造への総合力を持たないと軍需大国に相手にされず、共同開発には加われない。





 この関係者は「国産戦闘機を製造できる段階で、防衛技術基盤の発展や費用対効果、企業収益など国益を冷静に勘案し、国産か共同開発かを判断すればよい」と話す。



まずは「国産力」蓄積を目指す方向が基本と考えているのだ。





 三菱重工の浜田充・技師長は「その過程で得られた技術は航空機産業(全体)に寄与する」と指摘する。



 膨大な国防費にあえぐ米国からの共同開発に関する打診は今のところない。



しかし、「国産、共同開発のいずれにしても、海外に売り込むスキームは早期に構築しなければ」とも提言する。

 




 仮に国産にするとすれば、開発費は5千億~1兆円超だ。



一方で、防衛省は波及効果について、最低でも4兆円の新規事業誕生し、8・3億円の経済波及効果を生み出すとともに、24万人の雇用が創出されると試算する。



 ただ、課題も残る。



前述した武器輸出3原則緩和や防衛装備庁設立による「副作用」対策だ。






 日本政府が外国との輸出入に乗り出した現在は、3原則に縛られて兵器貿易と貿易管理面で「鎖国」状態だったぬるま湯時代とは様変わりし始めている。



にもかかわらず、人材(ヒト)・技術(モノ)・利益(カネ)の流失を防ぐ法的管理スキームがないのだ。




 別の関係者は日本メーカーの具体名を挙げ(仮にA社)、「A社と提携関係を切って、ウチに来ないかと、外国企業に手を突っ込まれる日本企業は次第に増えている」と証言。


「開国」がもたらした現状をこう表現した。







 「舌なめずりするオオカミがうろつく荒野に置く、ヒツジが閉じこもっていた檻(おり)の扉が開いた」(野口裕之)




(産経ニュース)




日本の防衛産業を維持することは日本の生命線でもあるが、なかなか思うようにはなっていないのが現状だ。


防衛産業維持には武器を他国へ売るという方法もあるが、ある意味今まで日本は防衛産業を保護してきた分、世界の兵器産業の荒海に放り出されてしまったという面もあるのだろう。


そして技術者の流失などの危険もある。


日本はかつて中小企業の下請け会社の技術者をリストラした結果、中国や韓国に渡りその技術力を流失させた。


かつての轍を踏まないようにしないといけないね。