張り込み
張り込みといっても色々な種類があります。
車内でラブホテルから対象者が出てくるのを張り込む。
勤務先から出てくるのを張り込む。等々
行動確認調査は『じっと我慢して、対象者が出てくるのを張り込む』といった単調な事が90パーセントを占めるのです。
しかしこの『張り込み』が一番重要なのです。出てくる所を見失えば、その後の調査は全くの『無駄』になってしまうのです。トイレにも行けないし、絶対に対象者が出てくる場所から目も離せないのです。
調査員で『一番辛いのが張り込み』と小言をよく聞くのもこういった事からです。
先日、これまでで5本の指に入る位、『辛ーい張り込み』がありました。舞台は、2階建て木造アパートの1階での張り込み。エアコン無し。窓は閉めた状態、気温は軽く40度は超えている。
おまけにダニ・毛虫の出る廃屋に近い状態・・・トイレも行けず・真っ暗な状態で10時間!!
1週間の調査で私は5キロ痩せました。
(究極のダイエット・・・絶対にまねしないでください。普通じゃ病院送りです)
たかが張り込み・されど張り込み・・・というか張り込みが『調査の原点』です。
対象者の習性
人間にはみんな癖があります。
警察時代でも『泥棒』には決まって手口(習性)があり、窓ガラスを割って家に侵入する泥棒、鍵の掛かっていない(無施錠)ところから侵入す泥棒、雨の日に侵入する泥棒・・・決まって同じ方法で侵入します。
また、泥棒に入った家の冷蔵庫を勝手に開けてジュースとかを飲んだりする泥棒もいます。
調査対象者も同じです。
浮気調査の場合、不貞事実を行う場合、『ラブホテル』や『車の中』とか殆ど決まってきます。
特に車の中で行う場合、『配偶者から不倫していると責められたが、完全否認している。或いは、以前に不倫がばれてしまって詰め寄られた事がある。』といった場合、また同じ様にラブホテルを使っていれば言い逃れ出来ない事となります。
この様な場合、対象者は自分で周囲を警戒出来る、『安全な車の中』での不貞を行う習性が多いのです。
ただし、車の中であれば『不貞事実』が証明出来ないということはありません。車の中での行為を確認するのは一番良いのですが、『スモークフィルムが貼ってある』とか、『カーテンが引かれている』とかいった場合、中々難しいところです。
そういった場合でも『不倫相手を車に乗せる』という事実は証明できますし、外で手をつないでいるところや食事をしているところ、或いは食事中の会話内容などから『明らかに不倫関係である』と第三者が判る事を証明出来れば、後はその他の証拠(日記やメール等々)で補えば良いのです。
先日も『車の中での不貞事実』を証明しなければならない調査がありました。
でも私たちは『この道のプロ』なんです。
『依頼者=相談者が夜も眠れずに悩んでいる』と肌で感じる限り、『依頼者の目となり耳となりそして心』となり、て『依頼者の笑顔』を見たいと日々辛い調査と向き合っています。
調査員の一日
今日は、元白バイ隊員のKさんの調査1日を追ってみました。
AM5:00 起床・・・・・といっても事務所で寝ていましたが・・・帰れないんですね。毎日遅くまでの仕事ですから。それに映像では残せない調査で感じた事をメモっていると直ぐに深夜になってしまうので。
AM5:16 調査機材を持って調査に出発(バイク1台と車1台、合計3名での出発です。調査バイクは400cc・・・Kさん曰く『体は小さいけどバイクはナナハンが欲しいー。』
AM5:40 調査対象者の自宅に到着(調査は7:00なのに心配性というか。周囲の状況を肌で感じたいから。刑事時代の名残がありますね。)
AM7:00 調査開始(ここからはエンジン全開。いつでも撮影出来る状態で。無線で相方に連絡を取っています。まるで映画のシーンですね。)
AM7:46 対象者が自宅から出てきました。(今日の服装は、普段よりおしゃれっぽい感じ・・・直ぐにカウンセラーに連絡。カウンセラーもご依頼者の奥様からのメールで『今日が怪しいです。妙に浮き足立っていたから』・・・よっしゃー 絶対に最高の映像とってやる)
AM7:49 ガレージからBMWに乗って自宅を出発。対象者は、高速道路に乗り大阪方面へ。阪神高速はさすがに渋滞します。
AM8:55 対象者が乗ったBMWを大阪市内の不動産会社に車を入れた。(ここで気を抜くと駄目。出入口は1箇所なのか。直ぐに車の調査員に確認を指示・・・ってしようとしたら既に車班が確認してくれていた。やはり俺の指導が行き届いている。と一人ご満悦) 対象者は会社の建物へ。今は全く警戒していない状態。しかし気を抜くと駄目。
AM11:59 対象者が不動産会社から出てきた。直ぐにBMWに乗り、京都市内方向へ向かう。(渋滞時と違って、車間距離等も考えて尾行。付き過ぎず離れすぎず。白バイ乗車時代を思い出す。相手に判らない様に車のバックミラー等の死角の場所を選んで尾行する。)
PM0:50 京都市内のとあるレストランに車を駐車する。1人でレストランに入っていった。(女性調査員から『あんなレストラン1人で入ります?』・・・私もそう思った。
車班がレストラン内に潜入。数分後メールで『女と一緒 !!撮影しました。』(この対象、昼から女性と会っていたのか!絶対ベストショット撮ってやる。)
PM2:14 レストランに潜入中の調査員から『対象者がお金支払い中。もう出てきます。』との連絡。出入口を撮影出来る場所でチャンスを待つ。(不貞事実ではないが。こういった部分が後々大切な状況証拠になるって調査部長が言っていた事を思い出すと自然に力が入る。)
PM2:16 対象者と女性が2人そろって店から出てきた。(顔のアップや表情も撮影!!絶対この2人出来ている。と感じる瞬間でした。)
PM2:18 対象者はBMW、女性は同じレストランの駐車場にあったダイハツMOBEに乗って出発。
PM2:28 少し走った場所にあるコンビニにBMWを駐車、対象者が女性の運転するMOBEに乗り込む。(女性の車に乗り込む=対象者と女性の交際は長く親密であると確信する。)
PM2:45 対象者と女性が乗ったMOBEがインターチェンジ近くのラブホテル内に入った。(この瞬間と出てくる瞬間が一番緊張。)車班がカップル対応で同じラブホテル内の駐車場に入って撮影をしてくれていた。よっしゃー)
PM4:50 対象者と女性が乗ったMOBEがラブホテル内から出てきた。(昼間っから仕事もせず。ラブホテルか!)
PM5:00 対象者と女性がコンビニ駐車場で別れた。2人共何事も無かったかの様な顔をしている。(お前ら浮気しとって!またまた怒り爆発!)女性の車の追尾に切り替える。
PM6:39 女性の車は京都市内にある住宅街へ。買い物をして帰宅。(ダブル不倫やないか。)
PM7:00 今日の調査状況を調査本部とカウンセラーに報告。(それを聞いたカウンセラーも爆発・・・カウンセラーも夫に浮気された方だから余計に力が入ってしまっています。恐ろしい。)
PM7:15 調査2班の車の中でコンビニ弁当を3人で食べながら本日の反省検討。
PM8:00 事務所へ帰社。調査日報を作成。
PM10:00 今日は自宅に帰ります。(本日もお疲れ様でした。)
調査は本当に誰でも出来ると簡単に思いますが、奥が深いです。同じ調査は絶対にありえず、相手対象者は生き物ですから。だからこそ日々鍛錬・訓練なんですね。探偵を続ける限り、毎日勉強・反省です。
次はカウンセラーの1日を今回の調査員の一日に合わせてお話します。