また、もうひとつの例も悲惨でした。ただし、これは私の的確なアドバイスによって救われたので、まだいいのです。
こちらのほうは、自分の嫁ぎ先の父親が戦前の陸軍軍人で、生前多くの人を殺してしまい、最後はみずからも腹を切って自殺したという人でした。彼女が嫁いだ相手は、その家の長男だったそうですが、結婚後しばらくしてから別居したこともあり、夫婦の間はいまもギクシャクしているというのです。
しかも、結婚後すぐにもうけた女の子が、十三歳になろうかというのに、身体の成長が遅く思うように話すこともできません。まだ生理もないのだそうです。このままでは将来、女として生きていくことはできないというのが専門医の診断でした。
それで、私のところに駆け込んできたわけですが、私も彼女が連れてきた娘さんの姿を見て驚きました。これは、きっと深い「因果の法則」があるに違いないと思ったのです。
話を聞くと、そういった背景があったことがわかったのですが、彼女の場合は夫の了解を得てお墓を建てなさいとアドバイスして差し上げました。
彼女は、私のアドバイスに素直にしたがい、そのときの全預金をはたいてお墓を建てました。ところが、不思議なことに、それから一か月後、娘さんに突然、生理が訪れたといいます。そして、いままで固いツボミのような身体だったのが、丸みを帯びはじめ、正真正銘の女の身体に変わってきたというのです。
つい先日、私のもとにお礼に訪れたその母子を見て、私は本当に驚いてしまいました。最初に会ったときとはうって変わって、まったく普通の娘さんになっていました。言葉もきちんとしゃべれますし、知らない人が見たら、この子がそんな悩みを抱えていたなどとは、とても信じられないでしょう。
しかし、お墓うんぬんはともかく、いかに本人以外の部分で不幸の原因が積まれているかということは、みなさんにもおわかりいただけたのではないでしょうか。「因果の法則」の怖さ・恐ろしさというのは、まさにそこにあるのです。みなさん方の周りにも、この種の不幸は、いくらでもあるのではないでしょうか。
原因不明の難病・奇病、何度も同じようなひどい目にあって困っている━━たいていの場合、そのような形で、こうした不幸はあらわれるものなのですが、こうした背景には、まず九十九パーセントまで、「因果の法則」を踏みにじった事実があるといっても過言ではありません。それも、先祖を一代、二代とさかのぼっていったとき初めて気がつくたぐいのものですから、なかなか自覚できないのです。