人生の密度について | メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

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混迷をくり返す世界を救うべく、ひとりでも多くの日本人が現代に生を受けた意味に気づかなければなりません。世界を救うのはあなたの覚醒にかかっているのです……。

 数年前、伊藤四郎司会のクイズ番組で、ゲストの東大卒女優高田万由子にこのような問題が出されていた。



 「氷室京介と布袋寅泰が在籍していたロックバンドの名前は?」



 答えはいうまでもなくBOφWYである。

 

 

 BOφWYとは1980年代の日本の音楽シーンを席巻した伝説のバンドであり、当然高田万由子は答えられるだろうと確信していた。というか、『これってクイズなの?』と失笑が湧いてしまうほどの超常識問題である。

 


 が、だ。すでに想像がついていると思われるが、なんということか高田万由子は答えることができなかったのである。

 


 今、10代、20代の人たちにはわかりにくいかもしれないが、BOφWYというロックバンドは日本ロックの草分け的存在のバンドであり、グレイやラルクももしもBOφWYが存在しなかったらあらわれていなかったかもしれないほどなのだ。それほどの絶大なる影響力と知名度を誇る日本ロック史に永遠の名を刻むスーパーバンド、BOφWYを高田万由子はまったく知らなかったのである。

 


 BOφWYが活躍していたのは私が小学生の頃で、本格的に作品を聴くようになったのは解散してから数年後の1990年代に入ってからのことだった。それからはCDもビデオもほぼ揃っている。

 


 たしかに私は幼い頃からの音楽きちがいではあったが、むしろ世代的には高田万由子のほうが私よりBOφWYに詳しくなければおかしいはずだ。それだというのに、BOφWYが活躍していた頃中学生か高校生くらいであったろう高田万由子は、なぜ日本ロックの草分け的存在のスーパーバンド、BOφWYを知らないのだろうか?

 


 高田万由子はBOφWYを知らない━━これは驚天動地の戦慄の事実である。

 


 BOφWYを知らない━━ということは高田万由子はレベッカも、バービーボーイズも、TMネットワークも、レピッシュも、ユニコーンも、ブルーハーツも、ストリートスライダーズも、フェンス・オブ・ディフェンスも、おそらく知らないのだろう。

 


 高田万由子は元クライズラー&カンパニーのヴァイオリニスト葉加瀬太郎と結婚したため、音楽の知識は極めて深い人なのだろうとばかり思っていたのだが、実際は信じがたいまでの音楽無知な人だったようである。

 


 ところで『まさか……』とは思うのだが、高田万由子はアルフィー、チェッカーズ、ビーズなども知らないのだろうか……。



 また、テレビ朝日の『スマ・ステーション』でファミコンの話題があがったとき、ゲストの俳優阿部寛がこのような発言をしたのを見たことがある。



 「ファミコンは……スーパーマリオをちょっとやったことがあるくらいで……」



 元祖ファミコンソフトの代名詞『スーパーマリオブラザーズ』をちょっとやったことがあるくらい━━ということは阿部寛は、『ドラゴンクエスト』のシリーズも、『ファイナル・ファンタジー』のシリーズも、『ロックマン』のシリーズも、『グラディウス』も『ゼビウス』も『ツインビー』も、おそらくやったことがないのだろう。



 また、元巨人の大投手桑田真澄は、漫画というものを一切読まない人らしい。

 


 漫画を一切読まない━━ということは桑田真澄は、手塚治虫の膨大な作品のうちのひとつも、石ノ森章太郎の膨大な作品のうちのひとつも、『ドラゴンボール』も『北斗の拳』も『聖闘士星矢』も『ゴルゴ13』も『おいしんぼ』も、おそらく読んだことがないのだろう。

 


 よく『人生や生き方や価値観は人それぞれであって、本人が幸せだと感じていれば他人がとやかくいう必要はないのだ』という人がいる。しかし、はっきりいってただの詭弁である。

 


 たとえば、すばらしい音楽CDを100枚聴いたことがある人と、すばらしい音楽CDを1枚も聴いたことがない人がいたとする。後者の人がいくら『自分の人生は幸せだ』といったところで、すばらしい音楽CDを100枚聴いたことがある人の人生のほうが、どこの誰がなんといおうと密度はぜったいに濃いはずである。よって自分がどれだけ幸せな人生だと確信していても、客観的に観照すれば内容の薄い哀れで不幸な人生だという結論に到達するのだ。

 


 高田万由子は才色兼備な上に、メチャクチャおしゃれなヴァイオリニスト葉加瀬太郎などという旦那までもいる。日本中のほぼすべての女性が羨む見事なまでのシンデレラ人生だ。しかし本質を冷静に見極めていくと、星の数ほどあるすばらしいポップスをたったの、たったの、たったのひとつも知らないまま生涯を終えると思われる高田万由子の人生ほど内容の薄い不幸なものはないだろう。これは前述した阿部寛や桑田真澄にも同じことがいえる。

 


 彼らは大スターとして脚光を浴び、ほかの一般人より遥かに幸せな人生を歩んでいるかのように見えるかもしれないが、真相の奥の奥を追及していくとけっしてそうとはいいきれない側面が浮上してくるのである。よって大スターに羨ましさや嫉妬を抱いている一般人たちはこれから感性を鋭く研ぎ澄まし、ありとあらゆる様々なジャンルの芸術を吸収していくといい。それによって人生の密度は限りなく濃厚なものになっていき、内容の分厚い生涯に心の底から満足しながら死をむかえることができるようになることだろう。

 

 

  

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