プレイステーションが登場する前の時代の主流のゲームマシン、ファミコン。その代名詞的存在のソフトだったのがアクションゲーム『スーパーマリオブラザーズ』である。この『スーパーマリオブラザーズ』によってファミコンというものが全国に知れ渡り、テレビゲームがどの家庭にも当たり前にある世の中が到来することとなったといっても過言ではないだろう。
しかし『スーパーマリオブラザーズ』のテレビゲームブームの限りない貢献度は認めるが、はっきりいって残念ながら内容や質の高いアクションゲームとはいいがたい。
私が『スーパーマリオブラザーズ』をよくプレイしたのは小学校の低学年の頃だったのだが、その時点であまりの簡単さにさっさと飽きてしまっていたのだ。もはや『スーパーマリオブラザーズ』というアクションゲームは、1回クリアしたらハイさよならと中古のゲームショップか机の引出しの奥深くに行く運命にある作品といえるだろう。
ところで、なぜ『スーパーマリオブラザーズ』のことを書こうと思ったのかというと、日本テレビの中居正広司会の『ブラック・バラエティー』という番組で、出演者たちが代わりばんこに『スーパーマリオブラザーズ』をプレイして全ステージクリアを目指すという企画が放送されており、約20年ぶりに『スーパーマリオブラザーズ』の映像を見た私は激しい懐かしさに襲われて『スーパーマリオブラザーズ』の記事を書こうと思い立ったのだ。
しかし、である。中居正広をはじめとする『ブラック・バラエティー』の出演者たちは『スーパーマリオブラザーズ』にこのうえなく手こずっており、何度挑戦してもまったく全ステージクリアすることができないのだ。しかも彼らの年齢は全員30歳以上なのである。
私は前述したように、小学校低学年の時点で『スーパーマリオブラザーズ』のあまりの簡単さと内容の薄さにあきれ返っていた。まだ脳が未発達の小学校低学年の時点でである。それなのに、30歳をすぎた中居正広たちはなぜメチャクチャ簡単な『スーパーマリオブラザーズ』をクリアできないのだろうか?『ブラック・バラエティー』の出演者たちは余程アクションゲームのセンスがないようである。
『テレビゲームは子供が得意なものであって、いい大人がテレビゲームが得意なわけがない』といった声が聞こえてきそうだが、中居正広らは現在30歳の私より年上であり、元祖ファミコンの知識は私より彼らのほうが上なはずなのだ。それも70歳、80歳のおじいちゃん、おばあちゃんならまだしも、まだ30代の中居正広らの頭脳が極めて鈍くなっているとは考えられない。よって『ブラック・バラエティー』の出演者たちがアクションゲームが極端にへたくそなのだと結論づけてまちがいはないだろう。
そんなアクションゲームには多くの作品があり、スーパーマリオ的な雰囲気の作品が怒涛のように発表されていった。その中でも最高傑作だと私が思っているのが『高橋名人の冒険島』という作品である。この作品も小学生のときにプレイしたのだが、『スーパーマリオブラザーズ』を朝飯前にしていたこの私が、何度挑戦しても全8ステージ中の4ステージのところで行き詰ってしまうのだ。それも『高橋名人の冒険島』にはハチスケコンテニューというものがあり、ゲームオーバーになったステージを何度でも挑戦することができるのである。しかし、それでも小学生当時は4ステージの壁を超えることができず、次第に“『高橋名人の冒険島』は全ステージクリア不可能の作品”として頭から消えてなくなるようになっていった。
そんな『高橋名人の冒険島』は『スーパーマリオブラザーズ』の要素をもろに引き継いだ作品であり、随所に『スーパーマリオブラザーズ』と酷似した点が見られる作品だった。しかし内容の濃さは雲泥の差であり、『スーパーマリオブラザーズ』の難度が幼稚園としたら、『高橋名人の冒険島』は大学である。『ブラック・バラエティー』の出演者たちは幼稚園レベルの『スーパーマリオブラザーズ』にこのうえなく手こずるくらいなのだから、大学レベルの『高橋名人の冒険島』の全ステージクリアともなると、まさしく夢のまた夢、雲をつかむような話、といったところになるのだろう。
そんな超難度アクションゲーム『高橋名人の冒険島』を、私は17歳のときに全ステージクリアすることに成功した。それもコンテニューなしで。まだ脳が未発達だった小学生の頃は4ステージが限界だったが、さすがに17歳ともなると脳がすでに大人に成長を遂げていたのだろう。かつてこのうえなく手こずり、“クリア不可能ゲーム”として一目置いていた『高橋名人の冒険島』を全ステージクリアすることができたのだ。それもくり返すようにコンテニューなしで。
……それにしてもわかる人にはわかり、わからない人にはまったくわからないことと思われるが、『高橋名人の冒険島』とは恐ろしいほどの高難度を誇るアクションゲームで、コンテニューを使って全ステージクリアしても自慢しまくれるというのに、なんということか私はコンテニューなしで全ステージクリアできてしまったのである。神から授かったテレビゲームの才能に陶酔をくり返すばかりだ。
ちなみに嘘をついていると思われたくないので、私が『高橋名人の冒険島』をコンテニューなしで全ステージクリアすることができる証拠を書こうと思う。
『高橋名人の冒険島』をコンテニューなしで全ステージクリアできる証拠━━『高橋名人の冒険島』を全ステージクリアするのにかかる時間は、ほぼぴったし1時間だ。1時間10分でも1時間20分でも1時間30分でもなく、何度やってもだいたい1時間なのである。
『高橋名人の冒険島』はゴールまでの道中にたびたび出てくるフルーツを獲得し続けなければ体力がつきてゲームオーバーになってしまう。たとえば『ロックマン』は制限時間がないため、敵がいない場所なら何分い続けてもゲームオーバーにはならない。しかし『高橋名人の冒険島』の場合はフルーツを獲得し続けなければ次々と体力が減っていってしまうので、一定のペースでキャラクターの高橋名人を走らせ続けなければならず、余計な動きは一切とれないのである。よって私以上の腕前の人がいたとして、その人が『高橋名人の冒険島』を50分でクリアすることができたとしても、1時間10分だとか、1時間20分だとか、そうした時間になることはありえないのだ。ともかく自分で実際に全ステージクリアしてみればわかることなので、興味のある人はぜひ挑戦してみてほしい。
ところで、今ちらりと名前があがった『ロックマン』なのだが、この作品は横だけでなく縦への展開もある非常に斬新な作品だった。縦への展開もあるアクションゲームといえば『ミロンの迷宮組曲』という作品もずば抜けた傑作であり、まだプレイしたことがない人は死ぬまでに1度はやっておくべきだろう。
そんなアクションゲームの頂点に君臨する作品が『高橋名人の冒険島』だと書いたが、もうひとつだけ思い出深い作品がある。それは『東海道五十三次』というものだ。コンテニューできないところが玉に瑕なのだが、難度も高く質の濃いアクションゲームとして私の記憶に残り続けている。
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