進化する馬具 | 馬術稽古研究会

馬術稽古研究会

従来の競技馬術にとらわれない、オルタナティブな乗馬の楽しみ方として、身体の動きそのものに着目した「馬術の稽古法」を研究しています。

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今回は、近年競馬の世界で導入され効果をあげ、定着してきているけれと、


乗馬クラブなどではまだ馴染みのなさそうな馬具

をいくつか、紹介してみたいと思います。


まずは、これから。





キネトン鼻革」といわれるもので、

独特の『C』の形の金属環にハミの両端を

通すようにして取り付けます。


手綱を控えたとき、馬がハミを弾くように鼻面を上げたり、口を割ろうとすると、

アルファベットの『C』の形をした金属環の上方に繋がった鼻革が鼻梁に押しつけられることで、


下顎(ハミ)と鼻梁の両方を同時に抑えるような仕組みになっています。



馬を抑える力が鼻梁にも分散する分、ハミだけの場合よりも馬の口へのプレッシャーは軽く済むようになり、


また折り返しタイプの鼻革やコンビ鼻革でギュウギュウに縛った状態とは違って、が抵抗した瞬間にだけ強く作用し、抵抗を止めれば瞬時に解放されるので、


前進気勢が強くて抑える必要があるけれど、

口が敏感で、強いハミだと余計に反抗してしまったりして折り合いを付けるのが難しい馬や、


ハミが当たると反射的に弾くように顎を上げてしまったり、

上下に頭を振り続けてコンタクトを保ちにくいような馬には特に効果的だと言われています。




最近、調教で実際に試用してみたところ、


引っかかる傾向が強く、強いハミを使ってもかえって喧嘩になってフォームを崩してしまい、調教が大変だった馬が、

見違えるように安定したリズムでバランス良く走れるようになり、


乗り役の方にも「これまでで一番乗りやすかった」と喜んでもらえました。(^^)



乗馬クラブなどでも、障害の競技馬などの中には、力が強くて抑えるのが大変だったりする馬には、

「ペラム銜」とか「ペソアビット」と呼ばれるような作用の強いハミを使うことも多いですが、


作用の強いハミというのは馬の心身に与える影響も大きいので操作には繊細さが要求されますし、


またそういう馬に限って口がとても敏感だったりして、

ごく軽くしか手綱を持てず、安定したペースコントロールが難しかったりすることも多いものです。


  そんな場合に、このような道具を試してみるのも、選択の一つとしては有りなのではないかと思います。







次は、これ。



WTP BIT」(WINING TONGUE PLATE =勝つための舌抑えプレート)ビット 


と言われる、新しいハミです。


  馬が「舌越し」(通常ハミの下にあるはずの舌がハミの上を越して、口の横からベロベロ出ていたりする状態。コントロールが効きづらくなる。)する原因の一つに、


ハミが上顎に当たるのを馬がとても嫌がることがありますが、



このハミは、ハミの真ん中の舌抑えプレートが、ジョイント部分の折れ角を「前後方向だけ」に限定することで、

折れたジョイント部分が上顎に当たるのを防ぎ、


それによって、舌越ししたり、左右にもたれたりする癖のある馬でも、安定したコントロールがしやすくなると言います。



こちらはまだ試したことはないのですが、馬具屋さんの話によると、


実際に使ってみた厩舎関係者の方から、驚くほど制御しやすくなったということで追加注文が入ることも多く、


最近ジワジワと「ブレイク」の兆しがきているのだそうです。

(^^)



どこの乗馬クラブにも、口の横から舌を👅出して

ブラブラさせながら運動しているような馬が一頭や二頭はいるものですが、


こうしたハミを使ってみるのも良いかもしれません。



  乗馬クラブの中には、とにかく馬が口を割るのを嫌って、折り返しタイプの鼻革やコンビ鼻革でがっちり固めるのがデフォルトになっているようなところも結構あるようですが、


ここに挙げたような道具を使うことで、もう少し楽な形で運動させてあげることが出来るようになるかもしれませんね。