今日のアラビア語。◇文法編◇#23【双数形】 | 藤坂託実の、世界に幸Ale♪

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年も明け、久しぶりに文法記事の更新です。
文字シリーズが続いて、正直物足りないって人がいるかもしれませんが(…いるのかな!?)、



正直自分でも物足りなかったです。

授業ではもう基本文法を一通り学んでいて、あとはひたすらアラビア語の文章を読み込むという段階に入ってまして。
文字習得がどうこう……という段階が遠い昔のように感じられます。

でも初心を忘れてはいけませんね。初心者のための記事も充実させていきたいです。






さて今回は、アラビア語の数表現の中の、『双数形』を取り上げます。


人称代名詞の記事でも少し扱いましたが、アラビア語の場合、
『単数形/双数形/複数形』という区分をします。


『単数形』はお分かりですよね。アラビア語でも同じなので、説明は省きます。
またアラビア語で「単数」を示すとき、特に「1」という数字を強調したい場合を除いては、「1つ(1人)の」といった表現を入れる必要はなく、『単数形+タンウィーン(または定冠詞al)』で十分です。
英語でも、1冊の本を表すのに"one book"とはあまり言いませんよね?普通は"a(the) book"です。




一方、英語など欧州系言語の場合、2個(2人)以上の物や人について表現するとき「複数形」という形をとりますね。
名詞の語尾や動詞の活用形、冠詞、形容詞語尾が変わる等、言語によって多少違いますけど。


アラビア語の場合、「複数形」をとるのは『3個(3人)以上』について表現するときです。
『2個、2人』についていうときに「双数形」という形をとります。




双数形とは何か、という前提を書いたうえで、
それでは名詞や形容詞をどう変化させれば双数形になるのか、です。



كِتَابٌ ←←← كِتَابَانِ
②اَلطَّالِبَةُ ←←← اَلطَّالِبَتَانِ

①kitâbâni(キターバーニ):2冊の本
②aTTâlibatâni(アッターリバターニ):その二人の女子学生

細字が単数形、矢印の先の太字が双数形です。
手書き写真で見る通り、赤い部分が変化しています。

双数形の作り方は、主格の場合、
語尾の母音をaに変えて、
その後にانِ(âni:「アーニ」)を付け加えます。

書くときには語尾に上の2文字を付け足して、読むときには語尾を「アーニ」にすれば良いのです。
なので①は、単数形kitâbun(キターブン)がkitâbâni(キターバーニ)となります。

また、定冠詞alが付いても同じです。したがって「その2冊の本」というときは、
法則にのっとってاَلْكِتَابُをاَلْكِتَابَانِとすれば完成です。


①の「本」は男性名詞ですが、多くの女性名詞は語尾にター・マルブータ(ة)がつきます。
ター・マルブータは語尾にしか付きませんが、双数形にすると語尾でなくなるので、ター・マルブータ(ة)を普通のター(ت)と考えて語中形に変えて、その後ろにانِを加えます。
以前、人称代名詞の記事(#20)でも「ター・マルブータを開く」っていう発想について書きました。あれと一緒です。

②の「女子学生」も、語尾のター・マルブータが双数形ではター(ت)の語中形になっているのが分かりますね?
手書き写真の青字部分です。

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また、双数形の所有格と対格は次のようになります。(両者とも共通です)
語尾の母音をaに変えて、
その後にيْنِ(yni:「ア+イニ」)を付け加えます。

書くときには語尾に上の2文字を付け足して、読むときには語尾を「アイニ」にします。
なので次の③④も、①②と同じ要領でこのように表記します。

③كَتَابٌ ←←← كِتَابَيْنِ
اَلطَّالِبَةُ ←←← اَلطَّالِبَتَيْنِ

③kitâbayni(キターバイニ):2冊の本の[を]
④aTTâlibatayni(アッターリバタイニ):その二人の女子学生の[を]



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ここで、双数形名詞に形容詞が修飾するとき、『4点セット(限定/非限定・性・格・数)の一致の決まり』に基づいて形容詞も双数形にします。

(その美しい女子学生)اَلطَّالِبَةُ الْجَمِيلَةُ
(その二人の美しい女子学生)اَلطَّالِبَتَانِ الْجَمِيلَتَانِ

ここでは、修飾される「女子学生」が【限定・女性名詞・主格・双数】なので、
修飾する形容詞جَمِيلٌ(美しい)も【限定・女性形・主格・双数形】と4点セットをそろえて形を変えます。


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また、双数形名詞に所有格名詞がくっついて複合名詞になるとき、双数形語尾のن(n:ヌーン)が脱落します。
例えば、「目」はعَيْنٌなので「両目」はعَيْنَانِとなりますが、「その男の両目」とする場合、
عَيْنَا الرَّجُلِ

となります。下線が「両目」ですが、語尾のن(n)が落ちてるのが分かりますね。
この決まりは人称代名詞の所有格が来ても同じなので、「彼女の両目」という場合は、
عَيْنَاهَا
という具合です。هَاは「彼女の」です。
そして、これは双数形が所有格や対格になっても同じなので、上記の2つを所有格(対格)にすると、
عَيْنَيِ الرَّجُلِ / عَيْنَيْهَا

このようになります。右が「その男の両目の[を]」、左が「彼女の両目の[を]」です。
(「その男の両目」の「両目」はルールに従うとعَيْنَيْで語尾は無母音ですが、次の語(الرَّجُلِ「その男」)が無母音から始まるので、無母音の連続を避けるアラビア語の特質上、語尾にiの母音を足しています。)


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あと、これは復習にもなりますが、【双数形名詞+所有格名詞】に形容詞がかかっても要領は同じです。
#19をほんのちょっと応用すれば理解できます。4点セットに注意してください。
(「目」は女性名詞です。#7【女性名詞】参照)

◇「彼女の美しい両目は」(「両目」が美しいとき)→【限定・女性形・主格・双数
عَيْنَاهَا الْجَمِيلَتَانِ

◆「美しい彼女の両目は」(「彼女」が美しいとき)→【限定・女性形・所有格・単数
عَيْنَاهَا الْجَمِيلَةِ



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今回のまとめです。

1)双数形は、主格なら語尾にانِ(アーニ)、所有格・対格なら語尾にيْنِ(アイニ)

2)双数形の名詞の後ろに所有格が来ると、ن(n:ヌーン)が落ちる!←重要!!



以上、双数形の記事でした。

でも実際の生活の場面では、双数形が使われる場面はそんなにないらしいです。本末転倒ですけど。
まあ確かに、世の中、2つ「だけ」の事象や人が重要だっていうケースはそう多くはないでしょうし、
何より「双数形」と「複数形」を使い分けるのはめんどくさいのもあります(笑)

ネイティブもめんどくさいのか、実際には2個(2人)の場合でも複数形(→次回以降。)で言うことがよくあるそうですが、しかしながらきちんと律儀に使い分ける人もいるということで、やはり知っておくべき項目です。


次回は『規則複数形』です。今回の『双数形』のパターンとよく似通っているので、今回の内容がちゃんと分かればはっきり言って楽勝です。


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