オーストラリアのシニア(高齢者)ライフ | オーストラリア移住日記

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高齢者の運転による事故が日本では大きな社会問題になっているようだ。

オーストラリアにおける高齢者の運転による交通事故については、私の理解不足かもしれないが、例えば日本のように、取り立てて社会問題になっているような実感はない。

ストレスの少ないオーストラリアで、高齢者は極めて元気に見えるし、よくトロトロ走る高齢者の運転する車と遭遇するが、彼らのマイペースで動じない姿勢は驚くばかりだ。

 

日本では高齢者の免許返納が増えていると聞く。

オーストラリアなら単に次の更新をしないということになるのだろうが、私のドライバーズライセンスは2026年1月まで有効であり、その時点で70歳、更に5年の更新は間違いないとしても、それから先は? 更新するかどうかは、その時点で考えることにしよう。

 

ただ、2年前に住み始めた我家から駅が近いため、最近は列車を使うことが多くなっている。

その際に役に立つのが、このシニア・オパールカードなのだ。

セントラル駅(日本なら東京駅)まで、20個の駅をゆっくり走る各駅停車なら約1時間掛かるが、途中3駅しか停まらない列車に乗れば30分で到着できる。

車の運転では気付けなかった景色を楽しめるし、私はその気楽さを割と気に入っているのだ。

目に優しい木々の緑の中に点在するレンガ造りの家並みや公園、そしてラグビー場・・・

ゆっくり走る各駅停車の窓からぼんやり眺め、ハーバーブリッジに差し掛かればオペラハウスを臨む景色は素晴らしく、先月末もオペラハウス前の客船埠頭には豪華客船 "Queen Mary 2" が停泊しているのが見え、そんな1時間の列車の旅がとても贅沢に思えてならない。

シドニーのダウンタウンにはトラム(路面電車)が整備され、とても良い環境になった。

車や人の多い繁華街を走る緊張感や駐車場不足の上に高額な駐車料金、駐車違反の取り締まりの厳しさもあって、正直私は車でシドニーのダウンタウンに出掛けるのが嫌いだった。

トラムは日本で言えば銀座通りのようなジョージ・ストリートを走るが、ビルの谷間が続いていても、懐かしさを感じる建物やショップも多く、それらを眺めているだけで十分楽しめるのだ。

オパールカードは日本のスイカのようなものだが、シニア世代(60歳以上)は、シニア・オパールカードが取得でき、列車やトラム、バス、フェリーを乗り継ぎ、それらに何回乗り降りしても、また、どこまで乗っても、1日$2.50(250円程)以上は取られない。

列車なら、ちょっと一杯も問題無く、最近は日本からやって来る友人との再会も列車で出掛け、シニア同士、市内観光よりも会話を楽しむようになった。

 

我家の周辺にはクリケット場を兼ねた大きな公園があるが、朝早くから多くのシニア世代がカップルで、または家族や友人と談笑しながらウォーキングを楽しんでいる。

犬と散歩するシニア世代、歩行器を押しながら歩くシニア世代、杖を突きながら歩くシニア世代・・・ その誰もがフレンドリーで、すれ違う際には必ず挨拶を交わす。

近所のショッピングセンターに行けば、カフェで会話を楽しんでいるのはシニア世代ばかり。

 

オーストラリアではクラブライフが定着し、ほとんどのクラブは誰でも利用できる。

スポーツ系のクラブが多く、中でもポピュラーなのはラグビー・リーグス・クラブだが、我家の周辺にも、退役軍人(RSL)クラブやローンボーリング・クラブがある。

そのほとんどに本格的なバーやレストランがあり、ラウンジには大型のスクリーンが設置され、スポーツのライブ観戦を楽しむことができ、週末には生バンドのライブ演奏も楽しめる。

また、スロットマシーンが置かれ、ちょっとしたカジノ気分も堪能できる。

私もメンバーになっているが、ほとんどのクラブのメンバーフィーはタダ。

客は老若男女様々であり、レストランでは家族連れがテーブルを囲んで食事を楽しんでいる。

オーストラリアのシニア世代(高齢者)のほとんどが、若い頃からいずれかのクラブのメンバーとなり、シニア世代になっても、そのまま家族や友人とクラブライフを楽しんでいるのだ。

 

移住したての頃、私はラグビークラブのバーで常連のシニアメンバーに英会話を習ったものだ。

そんな高齢者の楽しめる環境が高齢者の交通事故を減らしているのかもしれない。