東京オリンピック開幕とオーストラリアの反応 | オーストラリア移住日記

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東京オリンピック2020が1年遅れで開幕となった。

開幕直前まで様々な問題が噴出し、コロナ禍の緊急事態宣言もあって一時はどうなることかと心配させられたが、やれやれ始まったかという感じである。

 

何と言っても開会式のハイライトはやはり入場行進だが、無観客のために、拍手や歓声、観客の興奮が一切感じられない入場行進はやはり寂しいものだ。

選手達の笑顔、そして各国の小旗を振る選手たちの姿はラブリーだが、開会式に訪れた何万人かの観客に向けてそれが見せられたら、選手たちの高揚感がどんなにか高まったことだろう?

オーストラリア選手団の半袖・半ズボン、その色合いはとても爽やかに見えた。

入場行進の前後に行われた開会式のショーは、賛否両論、評価は色々だろう。

JOC橋本会長の挨拶はホスト側として仕方が無いとしても、IOCバッハ会長の長過ぎる挨拶はどう考えてもあの場に相応しくなかった。

その中に ”謙虚に”という言葉が使われていたが、彼の厚顔さにその言葉は似合わない。

聖火を繋ぐ長嶋さんや王さん、松井さん、そして、最終ランナーの大坂なおみ選手の点火・・・

それついて私はノーコメントである。

 

さて、2032年のオリンピック開催地がオーストラリア・ブリスベンに決定した。

ブリスベンはクイーンズランド(QLD)州の州都であり、真ん中を川が流れる美しい街である。

IOCに開催地として立候補、その結果発表などがあることから、QLDアナスタシア・パラシェ首相自ら訪日を決意し、すでに先週から東京に滞在しているようだ。

オーストラリアでは今、彼女の日本滞在中の事件(?)が取り沙汰されている。

現在、オーストラリアではシドニーが州都のNSW州とメルボルンが州都のビクトリア州、アデレードが州都の南オーストラリア州などでコロナの新規感染者増加によるロックダウンが敷かれ、自宅から10km以上の移動は禁止、スーパーへの買い物は1人限定、住民に課せられた様々な規制は極めて厳しいものである。

そして、それに違反すれば大きな罰金が課せられる。

 

ブリスベンやゴールドコーストのあるQLD州は優等生であり、その蔓延を抑えている。

QLD州のパラシェ首相は現地視察を終えれば帰国するが、パンデミック中の訪日に批判もあり、開会式は欠席し、TVで式典を観守ると記者会見でインタビューにキッパリ応えたそうだ。

21日に開催された記者会見には、2032年の開催が決定したことを受けて、IOC副会長のコーツ氏(オーストラリア五輪委員会会長)も出席していた。

コーツ氏はTVで式典を観守るというパラシェ首相の決断に対し、公開の場で「あなたは五輪の開会式には出たことがなく、その段取りや決めごとについての知識が無い」と述べ、開会式の重要性を説明し、開会式に出ることを暗に警告した。

「私は今もオーストラリアの五輪委員会会長なんだ!」

そんな上から目線の発言や姿勢をオーストラリア国民がどう捉えるか?興味深いところだ。

 

コーツという名前のIOC副会長が、5月に「例え、東京で新型コロナウィルスの緊急事態宣言が発令されても、東京オリンピックは行う」と一方的に発言したのは記憶に新しいが、あのニュースを知った時点で、私は彼がオーストラリア人であることを初めて知った。

フレンドリーさとスポーツ・スピリットが売りのオーストラリアを考えれば、彼の一方的な発言は実に残念だったし、オージーの国民性を無視した言葉であろう。

どこか日本のスポーツ界を牛耳る重鎮に、顔も態度も似ているような気がしてならない。

 

「マンズプレイニング」という造語がある。

「Man(男性)」と「Explain(説明する)」を合わせ、女性を無知と決めつけ、自分本位に男性が不必要な説明を加えたり指図したりする行為を揶揄する意味である。

主要メディアの見出しのほとんどは、「マンズプレイニング」と書かれている。

 

日本でもあの重鎮の女性軽視発言問題が取り沙汰されたが、根っこは同じようなものだろう。

あの問題もコーツ氏同様「マンズプレイニング」であろう。

コーツ氏の言動は、日本ならすぐに忘れられてしまうかもしれないが、オーストラリア国民の怒りはそう簡単には収束できないだろう。