人生愉しまなきゃつまらない! | オーストラリア移住日記

オーストラリア移住日記

憧れから、移住決行、移住後の生活、起業、子育て、そして今・・・

今回のセミナーは、気の遠くなるような炎天下で行われた。

セミナー終了後に、誰が呼び掛けるともなく仲間達が住宅街の蕎麦屋に集まった。


その中に、私には互いに兄弟と呼び合う仲間がいる。

辰野 永 54歳 すごい男だ!

正直者で、仕事を含め挑戦する心を持つ熱血漢、且つ学ぶことにも熱心な男なのだ。

長年日本でセミナーを開催しているが、いかなるセミナーも、彼の申込みは誰よりも早い。

 

ボランティア活動にも熱心で、東北の被災地にボランティアに出掛けていたかと思うと、電光石火のごとく別の被災地を訪問し被災した老若男女の手となり足となって汗を流す。

そうかと思えば、朝早いフェイスブックの投稿には、仕事場で作業着・ヘルメット姿で「働く男達」と共に肩を並べ、自分の仕事も手を抜かない。

 

この会場となった蕎麦屋、実はそんな彼の地元なのだ。

おばちゃんとは長年の付き合いらしく、"むさ苦しい男達" の我儘を何でも聞いてくれる。

結局は暖簾(のれん)を下ろして貸切りになってしまったほどだ。

下町ではないのに、このような人情が残っているのは、やはり "人を結ぶ心と心" なのだろう。

わざわざ、九州からこのセミナーに駆け付けてくれた熱血教師がいる。

真面目が取り柄で不器用、それでも大器が覗える彼の将来が楽しみだ。

山口から駆け付けてくれた警察官もいる。

セミナーに関わらず、彼はいつも心優しいメールを私にくれる。

一流商社や一流デパートで活躍するビジネスマンもいる。

企業経営者や企業の中枢を担う企業戦士も、そして、かつてラグビーの地域代表やジャパンで活躍した名選手も、V7戦士も・・・

 

この場には "世間のしがらみ" のようなものは存在しない。

日焼けしたどの顔にも、真夏の猛暑の中で一生懸命頑張った達成感や充実感が溢れ、その笑顔にはそれぞれの人格がそのまま表れている。

一生懸命働き、一生懸命学び、一生懸命呑み、一生懸命喋り、一生懸命エンジョイ・・・

そして、一生懸命家族や仲間を大切にするのがここに集まった仲間たちなのだ。 

こんな人生って最高だそう思いながら・・・ 

"おちょこ" が足りなくなり、"そばつゆ椀" (陶器製)で呑んだ冷酒がどんどん身体中に滲みわたって行くのが何とも言えない快感だった。

 

「好きなラグビーが仕事なんて、本当にいいなぁ」とよく言われる。

そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

「好きなことが仕事だったら、好きでなくなるかもしれない」

私はしばしばそう考えることもあるのだ。

仕事である以上、利潤を追求し、人々や社会に何らかの貢献をしながら、競争の中で生き残らなければ存在する価値や意義は無いのだ 

分かっちゃいるが、それが簡単なことでは無い。

 

例えば、セミナーを開催するには、スタッフの渡航費や宿泊費、食費、移動費、そして、報酬(彼らの事前準備や開催時のスタミナはお金で計算できないほどなのだ)。

大きな経費が必要になるし、参加者の募集、プログラミングや会場の設営・・・ 

やらなければならないことは山ほどあり、その全ストレスがどっかり私の肩にのし掛かる訳で、そうそう "お気楽" にラグビーを愉しむという訳にはいかないのだ。

それでも、人と人の絆を考えれば、ラグビーを仕事にできるのは幸せなことだ。

 

オーストラリアや欧米に比べ、日本ではスポーツを学ぶ事に対する捉え方がとても遅れている。

学習塾になら幾らでも財布の紐を緩める親も、金を払ってスポーツを学ぶことへの抵抗感は今尚根強く、指導する側もそのような文化や習慣に慣らされてしまい、妥協するしかない状況が日本では連綿と続いている。

 

愚痴りながら、ふと我に返り、誰だって毎日毎日様々な現実と戦っているのだ! と暫し反省。

そう、夢と現実と妥協のせめぎ合いの中で誰もが一歩でも前に進もうと努力しているのだ  

ただ、私が反省しようがしまいが、ここに集まった仲間達の誰もが私の状況を理解し、必ず毎年私が開催する有料のセミナーに顔を出してくれるのだ。

集まった仲間の中に、セミナー開催の激励だけに駆け付けてくれた大学時代の仲間がいる。

共にグラウンドを駆け、共に笑い、共に泣き、社会に出てからも励まし合って来た同士である。

40年に及ぶ付き合いの2人に、私の自慢のコーチ仲間を紹介できたことが実に嬉しい

そして、激励に駆け付けてくれた2人をコーチ仲間に紹介出来るのも私の誇りなのだ。

「張切っていない人生なんてつまらないぜ!」

それが、40年来の同期 "坂口" との合言葉なのだ。

同期のほとんどが優良企業に勤める中で、我々2人だけは自分の事業の道を選んだ。

 

緊張感と集中力と気力の充実があってこそ、良いセミナーは実現出来る。

益してや、こんなクソ暑い中で、それらが無ければ心は折れ、指導など出来るはずもない。

酒が進むに連れ、仲間達とのこんな時間があればこそ、頑張れるのだ と思えてくる。

更に、そばつゆ椀の中身が焼酎ロックに替わり、杯を重ねる毎に不届き千万なことを考える。

「セミナーよりもこの会の方が勉強になるかもしれないなぁ

 

"人生愉しまなきゃつまらない"

私はセミナーに参加した選手やコーチがエンジョイできるプログラムをいつも考えている。

「参加して良かった」

「いっぱい学ぶことがあった」

私が目指すのは、そんな言葉が聞こえてくるようなセミナーの開催なのだ。

それが私の愉しみであり、私のライフワークと決めている。

そんなセミナーを開催した後に、こうして気の置けない仲間達と共に達成感や充実感を共有出来ることは、私にとって究極の喜びなのである。

また、来年も!