トルコリラの暴落と経済悪化 | 木下顕伸の日本・中東・世界情勢の解説

木下顕伸の日本・中東・世界情勢の解説

中東情勢を理解すると世界がわかる!日本人は中東問題に無関心だが石油の輸入依存は周知。中東問題、欧米・ロシア・アジアとの関係は、理解不能でも石油利権の考察で、複雑な関係は理解できる。そして、世界から見た日本のあり方も見えてくる。

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1.トルコの経済悪化の原因の一つに トルコの政治不安が見られる。

この政治不安というのは 軍事大国として 、シリア侵攻、アゼルバイジャンや リビアなど 軍事支援をしてきた事も影響している。

その他イスラム系のアフリカ各国にも 投資や支援をしている。

 

2.エルドアン政権はオスマン帝国回帰主義である。現代版カリフ制度の再構築を狙っている。

つまり、エルドアン独裁政権である。

オスマン帝国は多民族国家であった 。

オスマン帝国の皇帝は、他民族の中から優秀なものを官僚として起用してきた。 

エルドアン政権は身内重視である。 

民族差別をなくし優秀なものを起用しならなければ経済も政治も機能しなくなる。 

トルコは 共和政治政治であり、オスマン帝国時代の君主制度ではない。 

エルドアン大統領は皇帝でもカリフでもない。

 

3.経済の低迷の理由は、軍事予算の 拡大にある。 

天然資源獲得のための同盟国づくりや利権獲得のための軍事侵攻軍事支援などがその背景にある。

つまり、石油、天然ガス資源を持たないトルコは資源獲得を 狙い 軍事支援もしくは軍事侵攻している。 

地中海紛争シリア侵攻アゼルバイジャン支援などが挙げられる。

 

4.経済の低迷は世界各国同じである。

しかし軍事費の増大は 経済を不安定化する要素につながる。 

機関投資家の資産売却は リラで行われる。

リラ売りが進めば リラが暴落し、さらに資産の売却は進んでいく。

 

5.トルコはヨーロッパ向けの石油天然ガスのパイプラインを持っておりドイツに通じている。

ロシアからも イラクのクルド自治政府からもパイプラインが通じている。

つまりトルコは石油天然ガスのパイプラインを有する商社でもある。

 

6.石油天然ガスの 取引の代金をリラで受け取 れば リラをドルと交換するようになる。

そこでもリラ売りが発生し、 さらにリラが安くなる構図もある。

 

7.リラ安が進めば 当然 インフレが発生し 経済も悪化していく。