この秋、文化の日を前後して、自治体文化財保護課主催による文化財建築の公開イベントがありました。
 
◾️(1)京都府文化財保護課による公開
テーマは「国宝妙法院庫裏(くり)の修理現場を特別公開」。
16世紀末に豊臣秀吉建立と伝えられる大型庫裏。
修理工事で、柱梁などがスケルトン状態のときに合わせて一般公開されているもの。

無料のイベントで、たくさんの見学者がおられ、

京都府文化財保護課の技術職員の方が、丁寧に説明をしてくださる貴重な機会です。

案内パネルも充実しており、文化財保護課の真摯な取り組み姿を目にすることができます。

今回の修復箇所は、次回以降も分かるように、年度を刻印されています。

 

◾️(2)大阪府教育庁文化財保護課による公開
テーマは「重要文化財降井家書院の室内特別見学と講演会で、江戸時代の〈おもてなし〉空間を知る!」。
 
大阪府南部の熊取町にある重要文化財「降井家書院」と「中家住宅」の見学会と講演会のセットです。
有料イベントですが、4時間かけて以下の企画で行われました。
・降井家住宅はお住まいのため、普段見学できないところが見学できる。
・大学先生と修復技術者による講演。
・降井家住宅の扇子のお土産
 
会費は維持費にあてるそうです。
また、文化財保存プロジェクトには民間企業の寄付も財源にされているそうです。
当日は、大阪府文化財保護課と熊取町の職員の方がご対応してくださっていました。

 

■降井家書院
江戸時代に隆盛をふるった降井家は、
岸和田藩の最上位の庄屋で、岸和田藩主も度々来たそうです。
□主屋は、江戸時代建築。明治に増築。

歴代藩主が出入りした式台(玄関)です。

□書院
江戸初期の客殿で、狩野派の障壁画を備えています。
重要文化財に指定されています。

 

■中家住宅
岸和田藩の七庄屋を務めた中家の屋敷である重要文化財中家住宅。
現在、熊取町が所有し一般公開されています。
 

周囲を塀で囲まれ、入り口に立派な門があり、屋根の部分に家紋が掲げられています。

客殿内部。

 

□唐門

来賓か出入りした唐門には菊の御紋が見られます。

 

国宝や重要文化財の保存修復を行う、

自治体ならではこのような公開は、社会に認知していく上でもとても貴重な機会だと思います。

 
京都府文化財保護課による2022年度公開