京都の新町通り四条近くの「長江家住宅」は、江戸時代から呉服商の卸問屋を営まれた建物。
幕末に建てられた今に残る大型京町家です。

間口13m(7間)の奥行が60m近くもあり、敷地面積は700㎡(200坪)。

職住一体の典型的な京町家の佇まいです。京都市指定有形文化財に指定されています。
 
北棟(写真右)と南棟(写真左)から構成されます。
□北棟
禁門の変(1864年)の大火で焼失後、1868年に再建。築150年。
□南棟
1907年(明治40年)、表屋造の主屋南棟、離れ座敷を新築。築115年。
1915年(大正4年)に、化粧部屋、浴室が新築。
それに伴い、職住機能の大半を南棟に移し、以降、江戸時代より86年間店舗兼住宅としていた北棟は、隠居所の住居に。
 
(以下の内部写真は、長江家住宅のインスタグラムから)
■玄関
主玄関は道路に面していなく、内部に少し入ったところにあります。
番頭机の上には光窓。
家具は明治40年当時のままだそうです。


■ダイドコ
食事スペース。
玄関間との建具にはのぞき窓が。ユニークであり、工夫されています。


■走り庭とおくどさん

圧巻は高天井の走り庭。

おくどさん(台所のかまど)にも風格があります。


■座敷

主庭に面した座敷。


■奥庭
奥行深い敷地の真ん中には奥庭が。
よりプライベート空間になっています。


■浴室
大正時代の100年前につくられた浴室。

マジョリカタイルに、船底天井。

モダンな志向であったことがよく分かります。

お風呂は薪で炊いていたそうです。


■離れ座敷
写真障子を開けるとその奥には蔵を背景としたステージがあり、狂言の奉納などを行っていたそうです。大型京町家のならではの贅沢。

桐材の欄間は、京町家らしくシンプルで上品です。


■蔵には建具でいっぱいだそうで、夏に葭戸(よしど)に交換され、暑い京都の夏を涼しく過ごす工夫は京町家の特徴。

■建物所有者について
2015年に敷地と建造物を東京の不動産会社に、所蔵品を立命館大学に継承。
八代当主長江氏の末永く大切にしてほしい思いを残すように、京都市長立会いの元で覚え書きを交わされたそうです。
 
都心の大型京町家の継承が、
企業の理解の元で継承されているすがたは、八竹庵と共通するものがあります。

北棟を生活棟、南棟を卸問屋にしていたから、南棟が残された理由だそうです。
北棟は現代住宅に内部改修されていたものを
現オーナー取得後、元のすがたに復元し、宿泊施設としての活用検討中だそうです
 
現在は、非公開ですが、事前申込あれば修学旅行生や一般の見学受付等も行っているとのことです。