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火悉海と狭霧を結びつけようとする鹿夜や、火悉海の従者たちからだけでなく、高比古からもそんなふうにいわれると、たとえ狭霧自身がそうは思えなくても、そうしたほうがいいのではないかと思えてくる。でも――。
胸の迷いをたしかめるように、狭霧はちらりと火悉海の顔を見上げてみた。
いまの火悉海は、これまでとちがったふうに笑っていた。笑顔はとても幸せそうで、これまでに彼が何度か見せた、少年のような顔をしている。大切なものに触れて喜んでいるふうな、安堵を思わせる笑みだ。
狭霧は思わず、きゅっと唇を結んでしまった。
(本気なのかな。火悉海様は、本当にわたしを好きになったのかな――)
彼はさきほどそのように恋心を伝えたが。狭霧はうまく信じ切れなかった。
(だって、会ったばかりなのに――。火悉海様もきっと盛耶(もれや)や邇々芸(ににぎ)様みたいに、武王の娘を手に入れたいだけよ。……当然よ。さっき尋ねた時も、火悉海様はわたしを大国主の娘としか見なかった。そもそも、好きって、どんな想いだっけ――。忘れちゃった)
でも、火悉海の真摯な眼差しは、これまでに狭霧へ妻問いをした青年たちのものとはかけ離れて真面目だ。
騙したり、都合よく扱ったりしようとする気が彼にないということは狭霧にもわかる。これまでにも彼は、狭霧を笑顔にしようと懸命な姿を見せていた。
火悉海は信頼できる人で、そのうえ、これから国を背負っていく若王の名に恥じない高貴な風格を身にたずさえている。自信に満ちていて、父王がもつものに似た難を寄せつけない奇妙な存在感や、無言のうちに他を威圧する華すらもちあわせている。
でも――。若王として完璧に振る舞う火悉海は、狭霧にはまぶしすぎた。彼から、たった一人の大切な娘を見るように見つめられるのも胸は苦しがった。
そのうち、耐えられないほど苦しくなって、とうとう胸の内を打ち明けた。
「火悉海様、お願いですから、そんなに優しくしないでください。わたしは名前ばかりで、なにもできない娘です。火悉海様のそばにいるにはふさわしくない娘です。役不足で……」
「役不足? なにいってんだよ」
火悉海は、狭霧の指を包んだ彼の指にきゅっと力を込めた。
「恥ずかしいのは、大国主の娘を相手にこんな真似をしてる俺のほうだ。大国主は、俺が相手じゃきっといい顔をしないだろう」
「大国主の娘……って……わたしは、その名に不釣り合いな娘です。火悉海様、あなたはとても立派な方です。あなたにはわたしより、もっと賢いべつの姫のほうが似合うと……」
「不釣り合い? なにがだよ。狭霧は狭霧だろう?」
火悉海とのやり取りは、なんとなくうまく噛み合わなかった。
それはきっと、狭霧と火悉海が育った国にある掟のちがいのせいだ。血の色は無用という力の掟に従って、血筋による身分の継承を認めない出雲と、王族の権威が絶対の国、阿多――。
気づいた狭霧は唇を閉じてしまったが、火悉海はますますつむじを曲げる。
「とにかく、俺は狭霧がいいって思ったんだ。もう、狭霧じゃなくちゃいやだ……」
いっそう甘い眼差しで狭霧を見つめて、けっして力を込めようとしない細い指を包み込む手に力を込めて――。
その時。狭霧は布がこすれるような音を聞きつけていた。音がしたのは、部屋の外の回廊のあたり。はっとして顔をあげると、そこには人影があった。こすれたのは、その人が身にまとう袴の布地だ。
さっと隠れてしまったが、そこにいた気配は間違いなく――。
(高比古だ……見られた)
狭霧は火悉海の手�