目に、問いかけられた気がした。
だから、その目を見つめ返して、軽くうなずいて見せた。
(そいつは大丈夫だ。……たぶん)
真浪は、きっとあんたを傷つけるような真似はしないだろう。
いい奴だ。だから安心していい。http://www.1tianlaigu.com
……胸元にあんたのお守りを忍ばせたままでいい。
そう伝えようとしているうちに、狭霧は意味を解したらしい。
安堵したように口元をほころばせると、小さくうなずいた。
それから狭霧は、すでに狭霧のそばまで追いついていた真浪へと、その笑顔を向けた。
近づくやいなや、さっそく真浪は狭霧に話しかけた。狭霧たちが立ち止まった場所と、高比古が歩いている場所は少し距離があったので、真浪が狭霧へなにを喋っているのかは聞き取れなかった。
そのうち狭霧は、可笑しそうに吹き出した。真浪が冗談でもいったのか、楽しそうに笑って、口元を華奢な指先でそっと隠した。
歩幅を崩すことなく歩き続けていると、高比古も、やがては狭霧たちのそばまで行きつく。でも、彼らの話の輪に入る気は起きなかった。
「おれは先にいく」
すれ違いざまに声をかけると、真浪は笑顔で応えた。
「はいはい。じゃあ、狭霧ちゃんをちょっと借りるよ」
「狭霧ちゃん、だあ?」プラダ バッグ
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いま会ったばかりだというのに。なんて馴れ馴れしい奴なんだ。
鬱陶しいものを見るように睨みつけた高比古を、真浪はからかった。
「まあまあ、落ち着いて。なにも悪いことはしませんから、兄上。ちょっと姫君を、眺めのよい浜辺へご案内しようと」
(わざとだ)
高比古は舌打ちをした。そして、無視することで、からかい返した。
ひと睨みした後でするりとそばを通り過ぎた高比古の背中を、真浪はくすくすと笑って見送った。
高比古の後姿が遠ざかり、高比古の残した怒気が岩場の小道から薄らぐと、真浪は、早速高比古とのやり取りを暴露した。
「彼は、狭霧ちゃんの兄上みたいな奴だね。さっきも、おれが狭霧ちゃんを誘おうとしたら、ものすごく怒ってさ」
狭霧はまだ、岩場の向こうで小さくなる高比古の背中を見つめていた。でも、声を掛けられると、きょとんと真浪を振り仰いだ。
「兄上? ……たしかに。お兄さんみたいな人かもしれません。わたしと違って、出来がいいけれど」
恥ずかしがるように苦笑した狭霧に、真浪は微笑んだ。
「仲がいいんだね?」
「仲がいい? まさか! そんなことをいったら、高比古は激怒します。仲はよくないけれど、なんとなく――。困った時には、なぜか一番近くにいる人です」
狭霧も、思い出し笑いをするように微笑んだ。
自分をからかう目線というのは、どこにいようが感じるものだ。遠ざかってしまった背後を気にしつつ、高比古は苛々と唇を噛んだ。
(なんだよ。人の噂しやがって)
早足で岩場を歩きつつ、道を逸れた。居場所を探して岩山を上ると、高比古の足は、海を見渡せる小さな崖の端にいき当たった。行き着いた岩場は、そこら中に崩れ落ちた岩の破片が散乱していて、思い切り倒れこめば身体中傷だらけになりそうな、少々危なっかしい場所だ。
しかし、腰を下ろして服の布地越しに痛みを感じるくらいのほうが、いまの自分の気分に合っていた。
海原から吹きつける強い海風は、頬や耳をまたたくまに塩気でからからにしていく。
片膝を抱え込んで、高比古は青い海をじっと見つめた。
(酒なんか……! あのお喋り好きに付き合って、夜通し世間話をする余裕なんかない。おれは、須佐乃男に勝たなきゃ)
真浪といる間に遠のいた緊張を取り戻そうと、必死になった。
だが、胸には、さき