冬山登山をしていると、必ず必須になってくるものがある。
それは、アイゼンとスノーシューとストックの三点セットだ。
当然、その前に、
雪用のアウターと手袋、登山靴、ゴーグルは欠かせないのは前提での話だが・・・。
そんな中で、私は27才の登山駆け出しの頃は、
モンベル信者でモンベルで上から下まで全てを揃えていた。
でもしかし、いつしか
「みんなと一緒というのは嫌」
という心理が芽生えてきて
マイナーメーカーの品物やレアなものがベストに見えてきたのが不思議な心理だと思った。
現在では、蔵王の疑似荒天によるホワイトアウトでの半ば遭難状態をかろうじて脱した
いわゆる、プチPTSDを経験してからは
ゴーグルは絶対にモンベルの二重アルパインゴーグルによって視界が確保され
雪眼にもならず生還して命が助けられたと錯覚してからは、
流石にゴーグルは浮気はできないが、
それでもストックとアイゼンについてはメーカーを変えてしまった。
夏山用のストックは相変わらずモンベルのカーボンだが、
冬になるとそのストックの回転式ストッパーに不安を感じ
LEKIのSPEED LOCK+のものを冬山専用で使用している。
重いストックだけれども、信頼性を優先している。
そしてアイゼンは、以前はカジタックス12本爪アイゼンだったが、
今ではグリベルを好んで使用している。
本当はブラックダイヤモンドの12本爪アイゼンが好みだが、
10gでも軽いものを探した結果の選択だったし、
何より登山靴にフィットするのはグリベルだから仕方がない。
セミワンタッチの信頼性は高い・・・が重いのが唯一の難点だ。
故にまたまた最近は買い替えてグリベルエアーテックエボに乗り換えた。
ピッケルは当初モンベルのグレイシャーを使用していたのが、軽いのは正義だが
アックスとしてを考えた時、やはりグリベルの硬さは魅力的に見え
それ以降、グリベル信者となり下がり、今ではまたまた買い替えてG-ZERO EVOを使用している。
スノーシューは、様々に変遷をして、モンベルのスノーポンから、MSRのスノーシュを経て
今年は、エキスパートジャパン アルミワカン Mを購入して使用している。
日々、豪雪の中に暮らし、
自分の畑に出れば積雪深さ1m超えで
スノーシューやワカン、カンジキ無くしては歩けないほどの土地に住んでいながら
それでも何故だか尚益々、雪山に憧れが増幅していきます。
とは云え、私の目指す雪山とは、ホームグラウンドでもある
新潟県胎内市にある二王子岳のことですが・・・(*ノω・*)テヘ
朝日連峰も魅力的なんですが、やはり二王子岳山頂に登ると
振り返れば日本海の青色が見え、山頂から東を望めば、
そこには雪を被った飯豊山稜線が端から端まで一望に見渡せて
ゼブラ模様は何とも云えない絶景なのです。
ゴールデンウィーク頃には、麓の除雪も進み登山者駐車場が現れますが、
1月・2月・3月・4月は麓の村の道端に車を縦列駐車で路駐して、
そこから歩きますので、なかなかに工程が非常に長くなります。
最短で片道5時間半
夏道でも片道4時間と大変な登山ルートではあるのですが・・・
山登りというのは不思議なもので、大変であれば大変なほど
登山者にとって魅力的に見えるのが不思議です。
4月5月の残雪期でも、一応アルミワカンと12本爪アイゼンとピッケルは持っていきますので
ちょっと荷物の重量が嵩みますが、
雪とは不思議なもので、時に悪魔的大変さを人間に味あわせ、
その反対に、時として天国的別世界の光景を与えてくれて、
人を魅了し惑わせてくれます。
最近では、携帯浄水器というものが安く手に入りますので、
途中で、残雪をガスヒーターで溶かして濾過すれば、水も容易に得ることが出来ます。
しかしながら時として、ホワイトアウトなどの疑似荒天が発生する場合には
持参の水をも凍結させてしまい、
視界は塞がれ、寒さによって・・・
あっという間に人間を死の淵に追いやることをなんら厭わないのが自然であり
雪山の恐ろしさでもあります。
そのような状況に陥った時、想定外を乗り越える落ち着きと万全の対策と用意を持って
挑まなければならず、なかなかに雪山との関わりは、
一筋縄ではいかないところが、テクニカルであり、登山者泣かせでもあり
もう一つの片鱗の魅力でもあります。
以前の20代・30代の時代の頃は、無謀に突っ走り、そして安易に新雪の雪山に立ち入り
二度も擬似荒天にやられ、マイナス30度のホワイトアウトな視界と寒さに
スマホは1分外に出すだけで凍結してバッテリー切れで役立たずになり、
また、20m置きに配置されている遭難防止ポールすら見えずに、
東西南北を見失い途方に立ち尽くしてからは、
下山後は、隙かさず山用の専用GPSを大枚を払って購入し、
一眼レフカメラもマイナス30度では数分で画面の液晶はヒビが入り、
それ以降は一眼レフは雪山には持参せず
スマホを胸ポケットに温めて、撮影する瞬間だけ外に出して
すぐ胸に仕舞うという習慣が身につきました。
バラクラバは、銀行強盗の為ではなく、雪山で唇や耳が凍傷にならないようにする為であり
二重アルパイン偏光ゴーグルは、
ホワイトアウト時の視界確保の為と雪眼防止の為に必須携行品となり
二重手袋は、ウールの内側手袋はもう一つ予備を持って、指先の凍傷予防には必須であり・・・
アルミスコップは、強風から身を守るための雪洞を掘る時に必須であり・・・
できれば、それにロープ20m(最低でも細引き10m)とピッケルは2本あれば沢やクラック、
木の根っこ部分に吸い込まれて落ちた時に、脱出するのに重要で、
まずは自分の身ひとつでピッケルと12本爪アイゼンで垂直を昇りきり、
その後ザックなどは、ロープで引き上げれば良いので
一人で雪山を歩く際には、コレくらいの装備は必要だと遭難経験から思っています。
私もアオモリトドマツの根っこに5mずり落ちた時は、
あー人生終わった、
3月になったら誰かが見つけてくれるだろうと天を仰いだ時がありました。
それでも、とりあえず生きる努力してみようということで、
死にもの狂いでアイゼンの前爪を木にぶっ刺して木登りして
最後は、木のてっぺんからストックをアンカー代わりに雪にダイブして、
根っこにずり落ちるのを止めて、かろうじて生還した際には、
「命拾いしたー」とドキドキが止まりませんでした。
今の体力だと、もうその行動は無理かもしれません。
そして、その後はザックを細引きで手繰り寄せて難を逃れましたが、
雪山はいたる所に死の淵が隠されており、
頭から雪のクラックの中に落ちてしまうと、呼吸が出来ず
3分であの世に連れて行かれますので、落ちたーと思った時は、
瞬間に手と足をめいいっぱい広げて空間を確保し、
その後、すかさず呼吸のための空間を口元に作り
手足が少しでも動かせるならば落ち着いて、どの角度で手足の自由を作り、
そこから脱出できるか1時間かけても5時間かけてでも
もがいて、抗って脱出する勇気と冷静さが必要です。
雪山は視界のある時には本当に天国ですが
視界が遮られると、また登山ルートを外れると一気に地獄へと変わります。
そんな雪山ですが、今年は一度くらいは登ってみたいな~と考えています。
死ぬ思いを何度しても・・・本当に懲りない男です。
しかし、今はありがたいことに、毎日仕事があって休みというものがなく
・・・とは云え
仕事があることに感謝して、いつしか仕事にも切れ間があって暇になることを祈って
そして、その時こそ山に行けることを祈って、耐えに耐え忍んでいます。
さくらんぼの剪定が3月になると始まり、4月には花粉の人工交配作業が始まり
ハウスの単管パイプのサビの補修で、切断と溶接作業も加わってきますので
えらく毎日が大変になってきそうですので、その合間で登山に行けるか?
虎視眈々と一日の休日をここぞと狙っている今日この頃です。
2週間天気予報をみてみると3月15日以降でないと晴れマークが出てこない様子なので
冬の晴れマークは、本当に貴重なんだなぁ~と感慨深く思っていますが
はてさて、いつ行けるのでしょうか?
ということで、雪山登山のギアの変遷を語るという内容でした。
本日も最後までご覧いただきましてありがとうございました。