2つのサイトで7月20日の天気図を見てみました。
参考に前日の19日からの偏西風に乗ってやってきた
大陸からの大気の変化を見るために前日分も参考にしてみます。
北海道には1003ヘクトパスカルの低気圧があります。
通常の境界線は1013hpaですので、10hpa低いということは、
1平方メートルの板の上に100Kgの重さが乗っている力分で
浮き上がっているということ表します。
こちらも20日9時の段階では1003hpaになっています。
今回は標高が2000mの所を歩きますので、
10m標高が上がると1hpa下がると言われていますので、
標高2000mの場合は200hpa下がって・・・803hpaの気圧の中を歩くことになります。
ちなみに富士山3776mの標準時の山頂の気圧は630hpaと言われていますので
そこまでではありませんけれども、やはり体調が悪くなる確率が上がることは確かです。
遭難事例を見てみましょう
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2009年4月26日 鳴沢岳2641m遭難事故時の天気図です。
擬似好天も現れた二つ玉低気圧(988hpa・990hpa)の天気図となります。
気温が前日の気温よりも8度から10度も低下して、
当時、気温が約マイナス10度(プラス暴風も重なって)となって死亡したとあります。
おそらく2641mの稜線上では風速20mの風が吹いていたと考えると、
体感温度はマイナス30度位で耐えていたのではないかと思われます。
また2009年7月16日トムラウシ山遭難事故当時の地上天気図は
こちらも西側の前側先端に隠れた梅雨停滞全線があったと思われ、
低気圧990hpaが刺激となって急速に爆弾低気圧994hpaに発達し、
寒気が北西から猛烈に吹きはじめている様子が分かります。
翌日は1004hpaに緩みますが、全国的に雨になったようです
当時北沼の水面がバチャバチャと溢れていることから、風速も15m以上はあったと考えられ
事故報告書では「気温6℃ 風速20m」であったことを考えると
風速20mの中を前に歩くのには、無風時の体力よりも、
風向きによっては2倍以上は消耗するだろうと考えられ。
気温は風速1mにつき1℃ずつ奪い取られるから
北西風も加味して体感温度はマイナス10度の登山状況だったに違いありません。
その場合、メリウールの下着や、厚手のダウン防寒着を来ていない限り、
夏山登山でのゴアテックレインウェアとロングTシャツと薄手のダウンだけでは
時間の問題で
疲労凍死することは誰の目にも明らかです。
ツエルトを張って、風を遮って停滞さえしていれば、何とかなるだろうけれども
雨に濡れて、汗をかいてでも前に進めば、確実に体温を奪われる。
風下で風を遮って、または樹林帯などで停滞する事こそが生存の鍵となるだろう。
おそらくそう考えて、
トムラウシ下山路の樹林帯を目指して進んだ可能性も考えられます。
ネット上では、「気温6℃風速20mは大雪山では標準な環境であり
これで歩けなければここを歩く資格はない」とまで豪語している輩もいます。
確かにそうかもしれないが、低気圧の目が上空を通過するときに
その場にいた時にどれだけ気温の変化が急速であり、
1秒・・・10秒判断を間違っただけで、
体温が奪い取られて行動不能になる急変化なのかを知らないのでしょう。
低体温症にもっていかれる経験を知らない人が言う言葉であって
ラッキーな人の言葉を真に受けていると、命を失うことにも繋がります。
私は低体温症の危機を2度経験しています。
北アルプスの雪倉岳避難小屋手前で8月真夏の暴風時の低体温症の危機でした。
避難小屋がなければどうなっていたことでしょうか?
霧が身体にくっつき、いつの間にか濡れていき、
それに暴風が重なって一気に体温を奪っていくのです。
風の強いときには、なかなかザックを下ろしてカッパを着ることが出来ないので
着るタイミングが遅れてしまうのです。
ちょっとでも風で寒さを感じたならば、早め早めに一枚羽織るのが重要なのです。
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現在の天気図を見る限り、7月20日は低気圧であることは間違いないですが
等高線の間が広く、風もそれほど強くはないから、
真っ白な霧の中を歩くことになるだろうという予測が立つ程度です。
さて、明日・明後日・・・と天気図はどのように変化していくのでしょうか?
大雪山に的を絞って固唾を飲んで見守って行くことにしたいです。www
本日もご覧いただきましてありがとうございました