おもむろに・・・徒然はじまります・・・・
「すずろに飲ませつれば、うるはしき人も忽ち狂人となりて」(徒然草)
すずろとは、あてのないさま、これといった目的のないさま、輿趣のないさま、むやみやたらなどの意味
うるはしとは、行儀が良い、素晴らしい、本格的、模範的の意味
忽(たちま)ちとは、短い時間、思いがけなく、確かに、まさにの意味
狂人とは、正気でないさま、常軌を脱するさま、気が狂うなど。
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いい感じの表現ですよね。
飲ませれば・・・・・狂人となりてという前後の単語から連想するに、
原因は酒であることが前提で作られた語彙な訳ですが・・・・
いや違うかもしれませんが、時代背景から考えると、
タミフルなどの薬で劇的に人格変貌するなどという事は考えられませんから、
陰陽道などの権威者からの命令や占いの類の啓示を聞いての発狂とも捉えられますが、
もしかして、結婚相手を紹介していただき、嬉しくて狂人となる様かもしれませんし・・・・
は て さ て い か に
十中八九は酒に飲まれたさまを表す一説だと推察されます
酒という主語を伏せて、条件によって人格が変貌する様をさりげなく読んでいて、
風情のある言葉だなーと感心しました。
確かに、現代でも緊張を強いられる相手との酒の席では、酔いづらく・・・・
帰ってきてからの、自宅で飲む安らぎのビール1缶の方がよほど酔いが回る訳で・・・
徒然草の一説に於いては、いかに普段から緊張を強いられ、我慢して仮面を被った
生き方をしている方が、人には見せられない本当の自分を、酒の力を借りて、
露わにして、ここぞとばかりに
長い夜であれども、不足であるかのように、
翌日のまた仮面を被るまでのうるはしの生き方に戻るまでの短い時間を急ぎ、
身も心も、他人から見れば狂人に見えてしまうほどに、
気が振れてしまったのか、はたまた、敢えてそうしているのか?
その姿は、「可及的速やかに」の現代の言葉にも、まさに通じるかのように、
「すずろに」という言葉で代表される情景でもあるのかもしれない。
心の奥に隠された秘めたエネルギーとでも云うのでしょうか?
見事に表現しているなーと思うのです。
ここで、酒という主語が含まれていたならば、この一説の魅力は半減してしまう所でした。
現代語からは距離を置いた言葉ならではの、魅力が古語には含まれており、
いとうつくしげなりです。
などと、他愛もないHSP言動を最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。