
「試験」と名の付くもの、特に英語に関し、最後に受験したのはいつの事だっただろう。
朧げにも思い出せないほど、霞みのかかったはるか彼方の遠い記憶。
昔々のその昔。
当時の仕事の関係で、社員全員TOEIC強制受験、もちろん受験費用は、全額会社持ちで。
その頃まだ珍しかった、筋金入り元帰国子女の直属上司の満点は、当然の結果として、その上司に続いて社内二番目だったわたしの成績結果は、本人にとっては非常に不可解であった。
それというのも、それなりのいいかげんな「やっつけ回答」してきたくせに、得点自体は「決して満足のゆくものではなかった」などと、これまたいいかげんな矛盾。
なにも奥ゆかしく謙遜していたわけではないことだけは確かだが。
いわゆる現役を離れてからの年月の方が、それまでの現役時代を上回る現在、どんな試験でも当たり前のように「制限時間内で回答する」作業自体が、途轍もなくやたら大仕事であること、そして、わたしは、この制限時間付き作業が大変不得手であること、この二点をはっきり自覚するために、自腹を切って受験、己に知らしめたようなものだった、というのが、このIELTS受験の正直な感想。
試験会場へは指定された時間に余裕を持って、柄にもなくちょっと早目の一番乗り。
それは、褒められる満点をあげよう。
三々五々に到着する受験者。
見渡せば、我が息子、娘よりよほど年下の、それこそ現役学生風若者ばかり。
それには(ちっとも引け目は感じなかった)ことにも良しとしよう。
最初のテストは、Speaking 。
10分程度の対面式。
こんな時、尋常であれば、舞い上がってしまうのも無理からず。
でも、まったくドキドキさえしなかった。
それは、歳の功としよう。
面接官は3名、選り取りみどり、、、ではなかった。
わたしをテストした面接官は、おそらくイギリス人と思われ、多分わたしと同年代の男性。
いわゆる Standard British English で、聞き取りやすかったのは、かなり有利だったといえよう。
受験当日の朝、出掛けのほんの5〜6分間、スピーキングテストに関する手解きをやっつけ速読。
練習するもなにも、現地でぶっつけ本番同然。
面接試験中は(時間が足りない〜自分の言いたいことの途中で時間切れ)と感じていた。
それは、普段からとりとめない話し方をしているせいで、それがかえって功を奏し、他の科目よりやや高得点につながったかもしれない。
そのような良い解釈をしておこう。
実際、テスト終了時、
(This is it ?)(これだけ?)
(Is this all ? )((これで終わり?)
面接試験官へ、逆に質問してしまった。
ここまでは午前の部の話。
たっぷり1時間半の昼休憩は、面接順番が一番だったわたしだけ。
残り23名は、その間、順番にスピーキングテストを受けていた。
午後の部は、Listening Reading Writing の3科目を其々30分/60分/60分ずつ、 計2時間半ノンストップ。
原則としてトイレ休憩は与えられないので、試験会場入室前に水分を摂りすぎないように、との事前注意事項を、わたしは忠実に守った。
水は持ち込み可だったが、実際は水など飲んでいる余裕などあらばこそ。
まあ、とにかく、忙しないことといったら。
PC・パソコンテストを選択したが、予想通りマウス使用だった。(やっぱりね)
自宅で日常的に使い慣れていないマウス、文字の大きさも「やや拡大」に調節してみたが、それでも慣れないパソコン操作は、眼も、手も、頭の中身も、慣れるのに一苦労。
肝心のテストは、惨憺たるものサンタルチア。
3科目の中で、最も危惧していたのは、やっつけ受験勉強、超短期間であるにも拘らず、最も比重を置いて勉強したつもりの、何を隠そう Writing だった。
書くこと自体は「大」の字がつくらい好きだけど、(自由作文とは違うのだからね)と自分に言い聞かせていた。
だから、たとえどんなにぐちゃぐちゃでもいいから(そうなるだろうと予想していた)、ぐちゃぐちゃなりに(予想通りになった)、とにかく最低必須文字数、設問1で150字、続く設問2では250字、をクリアしましょう、(しました)、なんとか、ね。
長々と書けばいいってものではないことも、勉強中どこか受験ヒントで見たはずだけど、「推敲」、「見直し」なんて、とんでもなく贅沢な時間は、わたしには皆無だった。
最後の最後でスペルミスを直していたちょうどその時に、ピンポンパンのさようなら。
画面は自動消滅。
結局、スペルミスはスペルミスのまま時間切れ、単なるタイピングミスだったのに。
こうして、全テスト終了。
(おつかれさまでした〜。)
ほんとに。
(だあーっ。)
「どちらかといえば日本人は Listening と Reading で点数を稼げる筈だから」と「事前受験の心構え」で、少し気持ちが楽になったような気がしていたわたしには、そのようなおまじないは、あくまでもおまじないでしかなかったことを身をもって体験。
現場では、テスト開始直後から、ほぼずっと狼狽えどおし。
なんのことはない、わたしは自分の「弱点との遭遇」を大枚$445を払って学んだようなものだった。
そのわたしの弱点とは、、、。
(話し言葉を)聴きながら同時に(書き言葉)に眼を走らせ、その意味を即時に把握、設問に対し答えを予想、選択・要約、回答準備をする。
つまり multi-tasking が上手くできないと、決められた時間内で決められた回答を弾き出せない。
同一条件環境下、母国語(日本語)で、この同じ作業をどの程度できるか、と考えれば、いかに外国語(英語)の試験で、その能力、実力の程を試されているかが、より戦慄に実感できる。
ひいては実生活での、職場なり学校なりでの言語活用目的が、即戦力でなければならないことを教示している。
Listening と Reading テストの趣旨を、今更ながらの理解に及ぶわたしは、単なる「蛍光灯」。
完全に弱みを握られてしまった。
ふたつの異種能力を活かしつつ、ひとつの案件解決のため、総合合体(理解)力を同時発揮すること。
要は、わたしは、そのどちらの能力へも、持ち前の器用さを見せつけてやれる実力に欠けていた。
落胆。
しかし、がっかりするばかりが能ではない。
練習。
練習。
練習。
練習、学習、学修すればするほど確実に実力が上がる、勉強しがいある科目さ。
そう、今の裡に自分自身を勇気づけておこう。
そうでもなければ、立つ背がない。
ただでさえ日本人女性の平均標準身長値を大幅に下回る、わたしなのだから。
Writing に関しては、基本文法力は、ほぼ問題ない。 と、思う。
だから、あとは語彙力をつけること。
これに対する対策は、無作為抽出、ありとあらゆるジャンルの英文を、貪欲に読み漁るのがレベルアップへの最短距離近道。
文章構成力については、物語の「起承転結」同様、
Statement - Supporting Statements - Conclusion
主テーマ・説明文・結論
Summary - Discussion/Agree-Disagree - Supporting Evidence/Example - Conclusion
主文の要約・成否または認否議論・例や譬えなど詳細・結論
いずれの文章段落構成においても、主要テーマの随時反復、Repitition の必要性が強調される。
ただし簡潔にまとめることで、最低文字数条件を満たす配慮が必要。
これなど、フォーマットに添い、積み木を組み立てる要領で演習問題を数多くこなすこと。
その必要性は、唯一、事前準備学習中に、すでに自覚していた。
その点だけは(偉かったね)と自画自賛。
今更何をどうこれ以上反省しようも、もう何も始まらない。
(そりゃそうだわね。)
(試験が不満のうちに)終わってしまった悲しみには、潔くさようならを。
わずかほんの6日前、IELTS 受験を決めて、一番近日の受験日を選択したのは、だれだっけ?
勉強など、このかた40年近くもしたことないのに、無謀といえば無謀。
現在、世界各地でどんぱちやっている危険地域の終わりの見えない戦いや、混沌を極める日本の現政治事情並みの無謀さでしょう。
怖いもの見たさの肝試し、お支度なしで、ノリでつい受けてしまったわたし。
(本当は必要に迫られて受けただけなんだけど、ね。)
でもこれで、自分の「現在値」がはっきりするだけでも良しとしよう。
最もそれが第一目的だったのだから、と最もらしく。
そういう負け惜しみを立派に言って退けるのは、やっぱりね、伊達に歳はとっていない証拠。