何年も前に「The Shack」はとてもいい本だと聞いていました。
それが、今年の三月映画化され、話題になったのも覚えています。だから先週図書館でDVDを見つけた時は、すかさず図書バッグの中に入れました。
その数日後、子供達が寝に行った後、やっと時間を見つけて夫と二人で観たのですが、私はその日の疲れから途中で眠ってしまいました。普段なら途中で眠ってしまう夫がこの時は、眠っている私の隣で最後までうたた寝もせずに真剣に観ていました。(途中で何度か目が覚めて、ちらっと寝ているかどうか確かめていた私)
映画が終わってからもスペシャルフィーチャーなどを全部観て、「いやぁ〜、すごくいい映画だった。」「今まで観たクリスチャンムーヴィーの中で一番いいかもれしない。」「今まで疑問に思っていたこと、朦朧としていたことの答えが得られて、聖書の全体像が前よりもはっきりしてきた。」ととてもポジティブな感想。「5スター」間違いなしの評価でした。
DVD発売開始後、すでに友達一家と「The Shack」を観た長男もとてもいい映画だ!と言っていたので、私もまた観直すのを楽しみにしていました。
数日後、やっと観直す時間が取れて、前回眠ってしまった箇所の少し前から観始めました。セリフの一言も聴き逃すまいと両耳をダンボにして集中して観ました。その時の私は、映画を観ているというよりも、神学校のクラスで講義を聴いていると言った方が適切かもしれません。セリフの一言一言に込められている意味、聞き流しただけでは理解できない、深いものがありました。
観終わって、夫のコメントに同感しました。著者のウィリアム・ポール・ヤングは、聖書の中でも理解の難しいコンセプトを上手に分かりやすく表現していることに感嘆しました。
「私たちに対する神の愛がいかに深いものか」がこの映画のメインテーマなのですが、「三位一体」など、クリスチャンでもうまく説明できないコンセプトや、「神が愛なら、なぜ悲劇が起こるのか」「悲劇が起きている時、神はどこにいるのか」「見捨てるような神をどう信頼しろというのか」「全能の神ならば、なぜ悲劇や災害が起きるのを防げないのか、なぜ防がないのか」、よく問われるこんな叱責とも思える疑問を映画のストーリーを通して答えようとしています。
観終わって、日本語バージョンや中国語バージョンの「The Shack」を家族や友達に送ってあげたい衝動にかられたので、早速アマゾンで探してみると、ありました! 日本語では「神の小屋」というタイトルで訳されていて、中国語では、「棚屋」「 湖邊小屋」または「 天堂小屋」と訳されています。
ウィリアム・ポール・ヤング氏は、10年前、自分の六人の子供達に読ませるためにこの小説を書いたそうです。書き終わって、自分で15分コピーし、子供や親戚、友達にプレゼントしたそうですが、神のプランは、そこで止まるものではなかったようです。今や、数多くの言語に訳され、世界各国で神のメッセージを伝えています。
ですが、実はこの映画の評論はあまり好ましいものではありません。ネガティブな評論の多くは、
「聖書の教えとニューエイジの考えをミックスしていて、聖書の真髄が現代大多数の信仰に合うように変えられている」
「信仰をもつことは、『心霊の糧』となる、としか描写されていなく、それ以上の意味がある本来のキリスト教の教えが説かれていない」
「三位一体が簡易化されていて正確ではない」
強いては、
「神の役を女性が演じている」など、
「聖書の教えが正確に反映されていない」という不評が多かったようです。私も映画が放映され始めのころ、少しレビューを読んだので、最初のころ観るのを少しためらいました。クリスチャンフィルムと名乗っているのに、聖書の教えに反するようなメッセージを送っている映画が少なくないからです。が、不評でも自分の目で観て、心で感じてみたかったので、借りたのですが、そうしてよかったと思っています。
上にあげたような不評も正論かと思いますが、逆にこんなポジティブな評論もありました。
「映画を観た人たちは、神が自分をどれだけ愛おしく思ってくれているか、神の愛がいかに深く、無条件かということ、そして私たちが許すのなら、神は私たちの心の傷を癒したいと願っている、ということがわかるでしょう。」(Focus on the Family )
「『The Shack』は、とても美しく描かれていて、考えさせられる映画です。特に神、イエス、聖霊と主人公のマックが一緒に食事をしているシーンは微笑ましく、心温まるもので、私自身にとっても、神の愛を再認識させてくれました。」(Kathy Schiffer with the National Catholic Register )
「『The Shack』は、『ひとりでも滅びることを望まず、すべての人が悔い改めに進むことを望んでおられる』(第二ペテロ3:9)神の御心を反映しているので、観客の多くが心を打たれたのだと思います。神学の観点から、聖書の正確な描写を心配するあまり、何かとても素晴らしい作品を台無しにしてしまわないかと心配です。」(Julie Roy's)
実際に「The Shack」を観て、私は後者に同感です。
ウィリアム・ポール・ヤング氏は、神学者ではありません。一クリスチャンとして、一父親として、子供達に神の愛を知ってほしいという思いでこの小説を書いたのです。神学者たちのように聖書や神学に詳しいわけではないので、多少の間違いはあるかもしれません。でも、この小説の真髄は「神の愛」なのです。そして、それはとてもパワフルに、上手にストーリーに描かれていると私は思います。
この映画を通して、多くの人が、神にどれだけ愛されているか、神のことをもっと知りたい、近づきたい!と心底から思えることを祈りつつ。
*参考サイト:wikipedia