「意欲の低い学生に対して、どのような対応をしたらよいとAdult Learningは言っていますか?」
というもの。
答えは、
状況による。
なんだけど、それじゃ面白くないので考えてみる。
前提の部分として、まず「状況」という言葉をもう少し明確にしてみます。
Cranton(2006)が「コンテクスト」という言葉が指しているものは7つあると言って、それは
・教えるものの中身
・教科のフィールド(文系、理系)
・クラスルームのレイアウト
・学生、先生を含めた心理的な環境
・所属する学部のノームや期待
・組織のノームや期待
・所属する国のノーム、文化
だそう。
けど、それ以外に生徒の性格、能力、学習スタイル…など様々な要因が絡んでくるんだと思う。
まず、それらが定義されてから、より明確な回答を言えるというのが前提。
いくつかヒントになるものを挙げてみる。それはAutobiographical Methodと教師が適切にパワーを行使することの2つ。
①Autobiographical Method
大学院の授業で学んだ中で印象的な教師にStephen Brookfield教授がいます。
僕のコースAdult Learning and Leadershipの前トップの方。その方が授業の一番最初にAutobiographical Methodというものを用いて、授業をスタートしたことが非常に印象的でした。
Autobiographical Methodって、簡単に言うと自己紹介なんだけど、十分な自己開示をすることが特徴。
例えば、Brookfield教授は、
・自分は今教授職にいるにも関わらず、学生時代はテストが苦手だった。テスト中になると少し呼吸が苦しくなって、落第ぎりぎりだった。
・ディスカッションに貢献するのが苦手で、いつも事前に言うことを準備していた。
だから、そういった学生の気持ちがすごくわかる。そんな学生が大人になって「やっぱりもう一度勉強したい」と思った時に、支援できるようになりたい。
そのようなことを授業が始まって最初におっしゃった記憶があります。そして、そのおかげでクラスルームに漂っていた緊張感がすこし緩んだ気がします。この人の前で賢く振る舞う必要はないんだと思えた瞬間があったように思います。
また、Brookfield教授というAdult Learningでは超有名な教授が人間っぽく見えた瞬間でした。
これは、冒頭の問いに対する一つのヒントかもしれません。
②教師の持つパワーの適切な活用。
教師は成績をつけることができるという役割上、勝手にパワーを持っています。
その結果、生徒は意識的、時には無意識に先生が好む意見を言うようになります。
これは、多様な意見が尊重されてない、Safe environmentにならず生徒が発言しにくいというデメリットにつながってきます。
しかしその一方で、教師が持つパワーを適切に活用することで、クラスルームのマネジメントが容易になります。まず大事なことは、教師自身が、自分がパワーを持っていることを十分に自覚すること、そのうえで昨日用いたChoiceful Choiceをしていくということなのではないかと。
とりあえず、今日はこれくらいです。