先日、4ヶ月振りとなる現場仕事を無事終えました。
万全なる感染対策の上実施…。


お招きくださったのは…
社会福祉法人ピスティスの会
(千葉県松戸市:乳幼児および児童保育施設運営)


こちらの団体の70周年を記念するイベント。
当初は市民会館で観客1,000人規模の人形劇公演の予定でした。


3月からこの夏まで、全ての舞台公演がキャンセルとなりましたが、この団体さんの公演だけは人数を限定しての講演会というかたちにプランを変更し実施されました。本当に感謝です。


職員さんはなんと200名…
3つの保育園を運営し、園児さんの数は総勢800名!


聞いただけで目が回ります。


さて、そんな講演会、
職員さん全員の来場は叶わず、ビデオ撮影をして、来場できなかった職員さんは後日VTRにて講演を見る…という流れになりました。


ある種のリモート講演会。
カメラも意識しながら進行する貴重な体験となりました。




「新聞紙で劇あそび」も実演。
リモート劇あそび!を新たに開発!笑
コレ、ほんといつかYouTubeでやってみたい!


劇の実演のほか、
子どもの心について、子育てについて、
私の幼少期に感じていたことや、全国の公演活動で体験した感動エピソードなど…
色々なお話をさせていただきました。
時間が…足りない…。笑


皆さんが前のめりにお話を聞いてくださる様子に触発され、私も異常なほどノリノリになってしまいました。


そして思ったこと。


私はライブ空間が本当に好きなんだ…ということ。


このご時世に直面し、今後はもう映像配信でしか仕事ができないのかな…と腹を括り始めていた矢先のライブイベント。


人と人がふれあうこの感じ。
同じ時間と空間を共有しているからこそ生まれる空気感。


何気ないお話で場内が涙に包まれたとき、私はその場から逃げ出して泣きたいほどの気持ちになりました。とても良い意味で…です。




フィナーレはカメラに向かってもご挨拶!


そして…早速に、次なる企画のご提案をいただき、只今その準備にも追われております。



そんなこんなで迎えた4ヶ月振りの現場。
ブランクは恐ろしい…。
劇の実演中に足がつって中断してしまったことは内緒ね!笑
そんな経験初めてでした!


演じる筋肉ってほんと独特。公演がないときも日頃から鍛錬していないとダメですね。


女性の声とか、数日出さないだけで忘れてしまうんです。感覚を取り戻すのに時間がかかるんです。楽器を弾く方や職人さんなどもそうだと思います。


なので、アトリエに居るときも、独り言を女性の声で発するようにしています。「あーん、おトイレ行きたいワ」とか。誰にも見られたくない。笑


声のケアは怠っていなかったのですが、体のケアが足りなかったようです。反省。


鍛錬、鍛錬、もっと鍛錬を…。


暑い日々が続いています。
皆様も、くれぐれもご自愛を。

ブログはお久しぶりの投稿となってしまいました…汗。私は元気です!

皆さんはいかがお過ごしですか??

あらゆることが激変したこの数ヶ月…。
色々なことがありました。
それらこれら、全ての経験を創作の糧にしたいと思います!

公演のキャンセルが相次ぐ中、粛々と創作に励みつつ、気がかりだったデスクワークのあれこれ、断捨離、整理整頓…。

そんな作業のひとつとして、この度リーフレットをリニューアル!平常のロゴも新たに作成しました!ロゴに込めた思いなどはまたゆっくり投稿したいと思います!

このリーフレット、中面が物凄いインパクトなんです。グラフィックデザイナーさんが本当に素晴らしく、気が遠くなるような細かな注文にも倍返しのクオリティで提出をしてくださり、それはそれはお世話になりました…。

今後、公演の際など、お客様全員に配布いたします。

先日、4ヶ月ぶりの現場仕事となる講演会がございました。詳しくはまた追ってレポートを…と思っておりますが、万全な対策の上、無事開催となりました。この新リーフレットも遂にデビューでした。

その講演会がとてもありがたい反響を頂戴し、早速に新たな企画のリクエストを賜り急遽準備中です。

舞台公演は8月の公演まで全てがキャンセルとなってしまいましたが、時間のボーナスをいただいたと思って創作に打ち込んでおります。

9月以降の公演は開催の方向で準備が進んでおりますが、新たな時代に即した備えが必要になりそうです。


そして!!
大切なお知らせ!!

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*尚、配信は不定期となっております。予めご了承ください。

公式Facebookページでは既にVol.4までが掲載されているアーカイブですが、こちらのブログではより詳しく、それぞれの作品の誕生秘話や作品解説を書くことにします。

第1回の「Hamlet ハムレット」に続いて、今回は私のレパートリーの中でも最も数多く上演を重ねている作品についてです。




【アーカイブ Vol.2】
ダンボール人形劇場「お花のハナックの物語」

初演:2002年7月
(掲載写真は2006年・再演版)


オリジナル作品として、現在も全国各地を巡回中の作品。この春~夏も各地で上演が予定されていましたが、残念ながら全て中止及び延期となりました。


今回は、そんなハナックについてご紹介いたします。


上京してすぐの頃、材料費を確保できなかった私は、近所の薬局でダンボールをいただき、それらを材料にして、2002年の7月「池袋いけいけ人形劇まつり」でこの作品を発表しました。


北海道から上京し、公の場で公演をさせていただいたのはこの作品が初めてでした。


前年の2001年末に同フェスティバルへの参加劇団募集のチラシを見つけ、東京の人形劇界の勝手もわからぬまま応募。実行委員会に参加させていただき、ただひたすらに熱い思いをぶつけました。


このフェスティバルは、フロアごとにプロデューサーが選出され、各フロアごとのテーマに沿った劇団が1日中上演を行う…というスタイルでした。


どのフロアで上演させていただけるかな…と思っていたところ…、実行委員の皆さんに…


「君は1フロアを使って自分がプロデューサーになるのが良い…。」


「ひとりだけで演っても良いし、仲間を集めても良いし…。」


「2階は参加者の楽屋フロアにする予定だったが、ひと部屋広めの部屋を空けることができる。そこを好きなように使って思う存分なにかをしなさい。」


…とのご提案。


当時、東京の右も左も分からなかったような私にとって、それはありがた過ぎるほど…夢のような申し出でした。こうして私も実行委員のひとりとしてこのフェスティバルに参加したのです。


迎える池袋いけいけ人形劇まつりは15周年という節目の年でした。全フロアが「15」をテーマにして企画を組むのが条件でした。フロアごと、15をもじって「いちごの部屋」と題した装飾や、15の数に因んだゲームを取り揃えるなど、様々な企画が既に決定されていました。さて私はどうするか…。


よし、15体の人形を集めて演じよう!


当初の私の企画は、全国の人形劇団から人形を1体ずつお借りして、順に操演する…という展覧会的なものを想定していました。


国内の有名人形劇団を幾つか訪問し、企画の意図に賛同していただき準備が進められましたが…、他劇団の歴史を知れば知るほど、上京したての私がそれらの人形に触れることに恐れ多さを感じ、徐々に躊躇しはじめました。


故郷・札幌の人形劇の先輩に相談したところ…「あなたの創った人形で演った方が良い。」とのご指摘…。うん、ごもっとも…。





当時は人形を作る資金が工面できないことを言い訳にしていた私…、しかし、先輩と電話で相談しながら色々とイメージが湧いてきたのです。


経費が捻出できぬなら…


「いっそのこと、ダンボールだけでどんな人形ができるか…などという企画に変えた方が良いだろうか…??」と提案したところ、札幌の先輩も、東京の仲間も皆が大賛成。


よし、ダンボールで15体の人形をつくろうではないか!という考えに行きついたのです。



まずはつくってみたい人形をひたすらデッサン…。
ロボットやら、お姫様やら、動物やら…。
そこから主人公を決める。



小さな主人公が自分の可能性を再認識ストーリーにしたい…と。


ネズミ・ヒヨコ・花などが主人公候補に…。


とは言え、ひとりで演じる舞台。全ての人形をいちどに操作することはできません。ならば!その不自由さをストーリーに組み込んでしまおう!ということに。




小さなハナックが魔法の力により、1日だけ土を抜け出し自由に動ける…。

他の動物達はみな静止して動かぬ世界となる。

ハナックがその身を付けた動物は自由に動ける…。

それぞれの動物達との密な交流を通してハナックが見つけた未来とは何か…。




そんなストーリーにしてみました。


近所の薬局から毎日のようにダンボールをいただき、友人に手伝ってもらいながら、日夜ダンボールと格闘しました。



そして2002年の7月、公演日を迎えました。

自分の体のペース配分や体調管理もままならなかった頃。公演前日から所謂「知恵熱」というものを出してしまいました。

39度の高熱の中、おでこに解熱シートを貼って仕込みをしていたのを覚えています。


当時の作品のタイトルは

「ザ・15パペッツ ~ゆかいなダンボール~」

今思えば、我ながら…ダサい…(笑)。
実に、実にダサい…(笑)。



しかし、これがまさかの大反響…。1日で3ステージという無謀な挑戦でしたが、超満員のお客様はそれはそれは喜んでくださったのです。


しかし当時は人形達の置き場所も確保できなかった時代。

ゆかいなダンボール…は、
1日限りの上演後、人形達は全て天国に送りました。



その後、たった1日限りの上演だったのにも拘わらず、あのダンボールの人形劇が観たい!という声や、噂で聞いたのですがどこで観れますか?…などの声を度々いただくように。


2005年、マネージメント事務所に所属をさせていただき、当時の事務所社長をはじめとする皆々様のご尽力により、私の人形劇の上演環境が徐々に整ってゆきました。ある程度の物量を保管することのできる倉庫も確保されました。


よし、ならば、今こそ!あのダンボール人形劇を再演しようではないか!





初演から4年後の2006年、今度はしっかり有料のダンボール(笑)を調達し、初演時よりも全体のサイズを大きくしたバージョンアップ版を作成。尚且つ、全国ツアーを見越しての頑丈な造り、何度でも分解&再建可能な組み立て式の構造にしました。


まだ自分専用の作業アトリエも無かった時代、知人の美術家さんのアトリエを間借りさせていただき、そこに通いながら人形達を制作しました。作業が深夜に及び、ダンボールの上で睡眠をとることも…。



そして再び「池袋いけいけ人形劇まつり」で上演。これらの写真はその2006年の再演版初演時の様子です。

その後、ツアー作品として正式にレパートリー化され全国各地を巡回。


「厚生労働省児童福祉文化財」にも認定され、「特別推薦」の表彰を受けました。

本当にありがたく嬉しいご褒美でした。




子どもも大人も、共に笑い、そして涙を流しながら観てくださる作品です。

劇の後半、ハナックは命の危機に晒されます。その様子を、子ども達は固唾を呑んで見守ります。

劇の前半は賑やか場内。それがやがて、水を打ったような静けさに包まれます。

子ども達から響きはじめるハナックへの声援…。

そんな子ども達の反応は、私自身、上演をしながら何度も震え上がるほどに感動してきました。



客席と舞台を何度も行き来しながら上演する本作。

とある公演の際、そんなハナック衰弱の場面で、私は客席でキリンの人形を操演していました。

すると2歳くらいのようやく立てるようになったくらいの小さな男の子が私にしがみつき、舞台に倒れているハナックを指さし、目をウルウルとさせながら…

「ちゅーちゅーしゃ(救急車)、ちゅーちゅーしゃ呼んで…、ねえ、ちゅーちゅーしゃ呼んであげて」と。

キリンさんを操演しながらも、私は絶句してしまいました。

私はキリンの役になりきりながら…

「あらまあ、おばさん、救急車の呼び方知らないのよ。どうしたら良いかしらねえ。とにかく今は、気持ちいっぱい、ハナックちゃんを応援してあげて」とアドリブ。



この男の子の「ちゅーちゅーしゃ呼んで」の声は今も耳から離れないのです。どんな経緯で小さな彼が救急車を覚えたのかは知りませんが、救急車を呼べば命が救われるかも…ということを彼は知っていたのでしょう。


劇の後半は祈るようにハナックを見守る子供達…。

そんな子ども達の思いに導かれるようにして、劇は感動的なフィナーレへと向かいます。もちろん、終幕には最大の救いが用意されています。



涙の後の晴れやかな笑顔。その印象はもう言葉にできません…。

たった1時間ちょっとの舞台の末、子ども達と私の間には不思議な絆のようなものが生まれるのです。これこそが劇場の醍醐味。生の舞台ならではの「ふれあい」がそこにあるのです。



公演会場ごとに思いもよらぬドラマが巻き起こるこの作品…。

子ども達の反応によって劇もどんどん変化・進化してゆくのです。


自分がこの世で最も弱く、最も自由がないと思っていたハナック。

しかし、動物達との交流を通して、自分には自分だけの魅力や可能性があるということを知るのです。


この物語は、主人公こそ植物というかたちをとっていますが、そのテーマは…現代を生きる子ども達へのエールです。


この作品のメッセージがひとりでも多くの子ども達に届き、未来を生きる糧となっていただけますように…。





様々なエピソード、上げればキリがございません…。
まだまだ語りたいところですが…(笑)、既にかなり長くなってしまったので、ハナックのお話の続きはまたの機会に…。



こんな調子でアーカイブを書いていたらカラダがもたないかも…汗(笑)。

読む方も大変ですよね…!?



アーカイブのテーマをざっとリストにしただけでVol.30を超えています。



次からはもう少し短めにしないと!??



公式Facebookページの開設を機に、アーカイブ特集をシリーズで投稿することにしました!Facebookでも投稿を行なって参りますが、こちらのブログではより詳しくじっくり書き込んでいこうと思います!


★★★★★★★★★★★★

この自粛モードの中、ご多分にもれず、劇場での公演をできずにいます。この状況に深く苦しんでいる方々のことを思えば命があるだけありがたいと思う日々です。そして、劇場での仕事ができない分、私はと言うと…断捨離や創作に励みつつ、インターネットやSNSの環境を整える機会をいただいています。これまで個人アカウントでのみ運用をしてきたFacebookを、公式ページへと移行しましたり、そのほか、SNSとWebサイトを連動させたシステムの設定や英語サイトなど…諸々準備中です。

本来であれば、こちらのブログでも続々と公演情報を告知していた頃ですが、今はそれが叶いません。いよいよ私も、映像での何らかの配信を視野に入れるときがきました…。が、すぐには環境が整いません。ならば!…と、この機会に、これまで発表した作品や活動を一挙に振り返るアーカイブ特集を行うことにしました。

私がこれまで発表した作品は、そのほとんどがレパートリーとして上演を重ね、また今後の上演にも備えるべく、人形や美術道具一式は今も倉庫で待機中です。もちろん、劇場での上演が相応しいものではありますが、今のところそれがいつできるようになるかわかりません。とは言え…未来がわからないことは素晴らしいことでもあります。想像だにしなかった新しいことが実現できるかもしれないからです。これからの未来を考えると、これまでのレパートリーや新たな創作物を映像配信することも、新たな魅力の開拓になるかもしれません。そんな未来を楽しみにしていただきつつ、このアーカイブをお楽しみいただければと思い、この度のシリーズ企画に至りました。初回ということで前置きが長くなりましたがお許しを…。

★★★★★★★★★★★★




【アーカイブ Vol.1】「Hamlet ハムレット」

さて、記念すべき第1回は…
2016年の2月、東京文化会館で上演された…
「Hamlet ハムレット」です。

数ある公演の中でも確かな手応えを感じた作品で、今だから言えますが…上演後は一種の「燃え尽き症候群」のようなものに陥ってしまうほどでした。それは同時に、表現者としては喜ばしいもので、痛い苦しい嬉しい余韻…という、なんとも矛盾だらけの感情を私に齎してくれるものとなりました。

ウィリアム・シェイクスピアの言わずと知れた名作「ハムレット」。俳優であれば誰もが通りたい道。ネタバレなんてなんのその…、ストーリーを知っていたとて、演じる俳優や演出によって、その都度魅了される演劇。何百年も愛され続けていることが頷けます。

「ハムレット」は演劇人の憧れであるのと同時に禁断の扉。私は2016年2月に、その禁断の扉を開いてしまったのです。やっちまったあ…。開いたからには受け入れるしかありません。そしてそれをこれから更に磨きをかけ、世の中にお返しする使命感を覚えずにはいられません。はい、感傷に浸るのはこれくらいにして、舞台の世界観を振り返りましょう。






主人公ハムレットと、ヒロインであるオフィーリアの人形美術は石膏像をモチーフとしました。観客の想像力がより介入できるようにという戦略です。






一転して、その2人を取り巻く主要人物(クローディアス、ガートルード、レアティーズ、ローゼンクランツ、ギルデンスターン)はステンドグラスをモチーフとしました。なぜ、ステンドグラスのモチーフなのか…、これには演出的な大きな理由が…。それは劇の終盤で明かされます。






ラストシーンの写真を今回の投稿に掲載することは控えますが、このステンドグラスの美術には、気が遠くなるほど手間をかけたとある仕掛けが施されているのです。美術制作チームとの多岐に渡る作業は連日徹夜となりました。その作業風景をスマホで撮影していたのですが、スマホが壊れてしまい、それらの写真は全て消えてしまいました…泣。今回それを掲載できず残念!






ハムレットの親友であるホレイショ―は私自身が演じました。ホレイショ―が劇全体を進行する構成に潤色。過去を振り返るスタイルに再構築し、原作の長尺を縮めさせていただきました。それにより、この物語をより俯瞰で感じる構成が実現しました。






そのほか、オフィーリアの父親のポローニアスなど、幾つかの役柄を私自身の肉体で演じました。






また、原作戯曲に登場する旅一座(劇団)は〈日本からやって来た落語家〉という設定に置きかえ、原作通りの「ゴンザーゴ殺しの芝居」を劇中劇(劇中落語)として演じました。



狂乱のオフィーリアは髪型も大胆に…。
花束のように抱える枝も、素材こそ本物の枝ですが、1本1本、理想的な色に着彩しています。






オフィーリア溺死の場面。原作戯曲ではガートルードの語りでのみ表現されますが、この舞台ではその情景を描きました。スパンコールの貼りめぐらされた海外製の特集生地を使い川を表現しました。黒衣(くろこ)さんと息を合わせ描きます。






棺に花を…。
花冠やお供え用のひとつひとつの花も、この舞台の美術に沿うよう、全て手作りしました。






そして何より、この作品の最も特筆すべき点は、私のレパートリーでは珍しい、人形以外の共演者の存在です。世界的チェリストの宮田大さんの無伴奏チェロの生演奏なくしてこの舞台は成立しません。登場人物の感情や心象風景を表す演奏が随所に散りばめられ、劇世界を極限まで盛り上げました。

東京文化会館・舞台芸術創造事業のシリーズ企画として上演された本作。
同企画に於いて、私にとっては2作目の演出・出演依頼となったのがこの「ハムレット」でした。1作目は2014年3月の古楽アンサンブルとのコラボレーション「王女メディアの物語」(この作品については後のアーカイブにて)でした。2作目は「ハムレット」で…という企画が通り音楽家の選考に入った頃、私はその数年前にサントリーホールで聴いた宮田大さんの演奏を思い出しました。彼となら「ハムレット」の劇世界を構築できるのではないか…。その頃、宮田大さんは世界的チェロコンクール(ロストロポーヴィチ国際チェロコンクール)で日本人初優勝を果たした後、世界各地の演奏会で大忙し…という状況。ダメもとでのオファーでした。しかしなんと…、宮田大さんは、学生時代に私のレパートリーである「毛皮のマリ―」を観劇しており、以来、私と何らかの共演ができないものかと、私への連絡手段を思案していたと言うではありませんか…。その「毛皮のマリ―」の観劇の際、アンケートには「いつか僕のチェロと共演してください」と書いたとのこと。そのアンケート、鮮明に覚えています。まさかそれが宮田大さんだったとは…。そんなこんなで、お会いしてからはお互いに余分な遠慮もなく創作に打ち込めたわけです。彼の音楽に対する博識は目を見張るものがあり、私が演出イメージを説明するなり、次から次へと候補曲が上げられ、その後、長い時間をかけて選曲作業が進められました。






劇の冒頭はバッハの「無伴奏チェロ組曲1番プレリュード」の旋律にのせ、2羽の白い鳩が優雅に飛翔する情景で始まります。「ハムレット」の劇世界の混沌とした様子と相反する平和的場面で開幕することで対比を表現したい…という演出意図が見事に実現しました。そこかから先の目まぐるしいまでの劇的な展開と演奏はいつか劇場で…。

この公演を終えた数ヵ月後、宮田大さんのコンサートに足を運んだ際、とあるご夫婦に声をかけられました。ハムレットを拝見してくださったとのこと…「あれからバッハのプレリュードを聴くだけで目の前に白い鳩が見えて幸せな気持ちになるんです。ハムレットまたやってください。必ず行きますので!」と熱く感想を語ってくださいました。身震いするほど嬉しい気持ちになったのを覚えています。これはぜひ再演せねば…。






今回、こうしてアーカイブの第1回に「ハムレット」を選んだのは、そんな再演への思いからです。私がこれまで公演してきた作品はそのほとんどが再演を重ねレパートリー化されてきました。しかし、この「ハムレット」はこの1回限りの上演の後、未だ再演されていないのです。これまで何度も再演の計画や地方公演のご依頼はあったものの条件が揃わず実現できずにいました。宮田大さんも私も、この作品をまた皆さんにご覧いただきたい…と意気込んでいるのですが…、これもすべて運命的なタイミングです。然るべきときに、この「ハムレット」がまた皆さんの前に登場する日が来ます!その日をお楽しみに!

来るべき再演に向け、作品を再構築しております。シェイクスピア戯曲の中でも最も長尺とされる「ハムレット」。原作をそのまま上演すれば4時間を軽く超える作品。本企画は音楽演奏との共演のため、この公演の際にも戯曲の再構築にとても苦労しました。泣く思いで台詞を削り、構成を変え、辻褄を合わせ…それでも3時間30分の初演となりました。この上演時間の長さが再演の弊害となっているのも事実…。昨今、業界はとにかく短いものが求められます。作品が優れていれば長さは関係ないという思想はあるものの、労働問題、予算云々との兼ね合いから、上演時間の長さは弊害となります。それらこれら全てをクリアしてこその我々のお仕事なのです。





映画界のことではありますが、上映時間3時間を押し通した「タイタニック」や「サウンド・オブ・ミュージック」って凄い。インド映画もほとんど3時間があたりまえ。


あの名作の「ニュー・シネマ・パラダイス」もイタリアで155分版が公開された後、世界に配給されたのは123分版。個人的には10年後に公開された173分バージョンがたまらなく好きですが、色々と事情があるのですね…。



というわけで、そんな事情に備えるべく、この「ハムレット」をどうすれば短くできるか目下検討中です。演出助手の方や黒衣(くろこ)さんを交えての再構築会議も重ねております。宮田大さんも、色々なアイディアや提案を寄せてくれています。原作者であるシェイクスピアへの最大の敬意を払いながら、現代を生きる皆様に心から楽しんでいただける公演となるよう精一杯努めます。初演とは全く違う「ハムレット」になるかもしれませんが、描くべき普遍的テーマは一貫しています。生きるとはなにか…、我々に託されたものとはなにか…。その神髄を示す舞台創造を目指します。近い将来、この作品がまた皆様にご覧いただける日を楽しみにしています。ご声援のほど、よろしくお願いいたします。



長くなってしまいました。汗。
緊急事態宣言が延長された今、こちらの記事がステイホームのお供になっていれば幸いです。


この投稿を全て読んでくださったあなた…
感謝申し上げます。


感想、お待ちしております。



公式Facebookページを開設しました!
これまで、個人アカウントは持っていましたが、今後のFacebookでの投稿はこちらの公式ページで行って参ります。


Facebookのアカウントを持っていなくても閲覧可能です。ご自身のFacebookアカウントをお持ちの方はぜひ、「イイネ」の登録をお願いします!


公式Facebookページに初投稿した言葉をこちらにも掲載させていただきます。


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映像配信の良さもありますが、私はこの劇場という空間が好きで仕方ありません。こちらの写真は新国立劇場中劇場での「オズの魔法使い」上演時の様子です。こんな風に、また劇場で「密」の喜びを共有できる日はいつになるか…。その日を安心して迎えるためにも、今はステイホーム!これに尽きます。

そしてこの先、きっと…私達の想像を遥かに超える新しい未来が…豊かな変化が起きることと思います。命あればこそ、その日を歓迎できます。どうか皆様も、くれぐれもお気をつけてお過ごしを!

さて、ご多分にもれず、私も幾つもの公演やイベントが軒並みキャンセルに…。楽しみにしていた再会や新たな出会いはしばしお預け…。この自粛期間を利用し、断捨離や創作に打ち込みつつ…WebサイトやSNSの環境改善を図っております。

その第一弾として…この度、これまでのFacebook個人アカウント(プロフィール)を公式Facebookページへと移行させていただきました。

これまでの個人アカウントは友達承認に人数制限があり、また、いただく友達リクエストをひとつずつ精査するのは色々と大変なところもありました。とは言え、ひとりでも多くの方と繋がり、この活動を広めたい…という思いから、ページへの「イイネ」で即フォロワーさんになっていただける「Facebookページ」を活用させていただくことにしました。

これまで「お友達」として繋がっていた皆さんは、そのまま、新設ページでもフォロワーさんとして投稿を閲覧いただけます。また、既にフィード講読をしてくださっていた方や承認待ちだった皆さんもフォロワーさんとして閲覧いただける設定にしております。

新たなシステムの不慣れさゆえ、しばしの間ご不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何卒ご了承くださいませ。

Facebookの投稿としては大きく変わることは特にありません。Facebookならではの臨場感ある投稿を続けていきたいと思っております。

これまで繋がっていた皆さんとは今後も変わらずこちらのページで交流をできれば幸いです。そして、どうぞ遠慮なく、こちらのページを広くご紹介いただければ何より嬉しい限りです。

他のアーティストさんのように、即座に映像配信などがでしずもどかしい思いではありますが、まずは足元を固め、自身を見つめ直し、来る未来に備えます。

これからも、平常の創作・公演活動に変わらぬご支援、ご声援をお願い申し上げます。そして、皆様の健康と幸せを、心よりお祈り申し上げます。

Keep staying home!
For brighter future.

2020年5月2日 平常 Jo TAIRA


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