先月の射手座月蝕から双子座日蝕を通り、夏至になりようやく【蝕】が終わった。
この一か月の間、完全に【異界】の中を通り抜けていた。
【蝕】という、この地球の呼吸の『隙間』のような時間
自凝(オノコロ)と粟島(アワシマ)が色濃く重なる
【異界】に完全包囲された中は、まるで水中に漂う如きものである。
連日襲い来る「禍霊」の群れは、そのほとんどが「人の想念」が生み出したもの。
自分が何に執着しているのかもわからず漂い彷徨う。
部屋の中に重なり無限の広がりを持つ【異界】と、そこに充満する想念の群れ。
現実世界では【鴉】が家のまわりを取り囲み、毎日何事かを叫んでいる。
そんな中で機会をうかがう【魔】は、ただただ「見ている」だけである。
他の想念から超越した【魔】の巨大な姿は、常に漠然としていてつかみどころがない。
しかし、彼らが放つ強力な意思は、その「秘めたる力」があることを示している。
そんな【異界】の住人なのか、時折「妖精?」と思しき連中が現れる。
小さな体で性別のない彼ら?彼女ら?はいつも3人組で現れ、ひたすら3人で会話をしているだけである。
そんな彼らになんとなく「アリエル(あり得る)」と名付けていたが、ベルセルクにちなんで「パック・ポック・ピック」とでも命名すればよかったか・・・・
喋りたいことを喋るだけで「聞く」ということをしない彼らの「脳天気」さは、これもやはり人の「想念」の現れなのだろう。
だが、知恵のあるものもおり、それらは簡単に人を騙す。
見たいものを見せ、聞きたいことを聞かせ、騙す心は子供のいたずら心のようなものである。
そんな悪意のない嘘で曲がってしまうのは、人の心にある慾ゆえである。
つねに「自分で自分の気に入る方へ」曲げているだけである。
しかし、やはりそこの住人の大多数は、ゾンビのような明確な意思を持たない「想念」の残骸。
そして、「人型」であるということは、とりもなおさずそれは「人の想念」である。
それらは、ただただ本能のように「生命」にまとわりつく。
想念の「波長」が合うところにまとわりつく。
そんな【異界】は、この地球(ほし)に重なり存在する【粟島(アワシマ)】の世界。
人の想念が作り出した【幽界】というものである。
この【異界】に神が降りる時、仏や明王の姿となる。
しかし、逆に「人の想念」で現れる仏も明王もある。
さらには【神】なるものもある。
おそらく、漠然としてはっきりしない姿の【魔】の中に、神や仏となるものがいるだろう。
まこと神界の【神】に繋がる【神の道】が本来の姿であるが
この【異界】に繋がる【神の道】がある
それらは長い時の中で混じり合って【混沌】を生み出してきた。
そして、今なおその混沌の中にある。
光りに満ちた【神界】と
淀みに満ちた【深海】と
御魂を磨けば見分けは容易なのである。