欧州合同素粒子原子核研究機構(European Organisation for Nuclear Research、CERN)の「大型ハドロン衝突型加速器(LHC) 」 が電気的な障害のために停止したそうです。


まだ稼動テスト段階ですし、すごい装置だから、仕方ないでしょう。


トラブルが起こらない方がおかしいぐらいだと思います。

下の方に転載した記事によると、1.9 Kまで冷却しているとのこと。
液体ヘリウムの温度(ヘリウムの沸点)が4.2 Kなので、ポンピング(減圧)しているのでしょうか?
(圧力が下がると沸点が下がります。)
1600個もの超伝導磁石でポンピングするとなると、それだけでもものすごい大変なことだと思います。



温度が上昇すると、以下の事故が起こる可能性があります。

まず、超伝導電磁石のクエンチ(超伝導状態が壊れて、突然、常伝導状態になること)です。
常伝導状態になると、ジュール熱が発生して温度が上昇、冷却に使われていた液体ヘリウムが一気に気化して、窒息や装置の爆発(破裂)が起こる可能性があります。

また、2.2 Kの超流動転移温度(λ点:ラムダ点)以下なので、液体ヘリウムは超流動状態になっており、スーパーリーク(通常は液体が漏れるはずのないところから液体が漏れること)が起こる可能性があります。
通常状態での密閉容器の中に超流動状態の液体ヘリウムが流れ込み、その後温度上昇すると、ヘリウムが密閉容器内で気化して高圧になり、爆発(破裂)事故が起こります。

当然ながら、これらへの対策はしてあるのでしょうけど。



LHCの運用が一時停止、セクターの冷却装置の電気系統のトラブル
【Technobahn 2008/9/19 16:52】
 欧州原子核研究機構(CERN)が10日から運用を開始していたフランスとスイスの国境沿いに建設した大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の運転を一時、停止していたことが18日明らかとなった。
 加速器を冷却するための冷却系の電気系統のトラブルが発生したことが、今回の運転中止の原因。
 CERNではLHCは非常に複雑な実験機器となるため、運転初期段階においてはこういった問題の発生は避けられない、と述べている。
 LHCを稼動させるためにはLHCの8つのセクターを絶対温度1.9度(摂氏マイナス271度)まで冷却した上で、1600個超伝導磁石で構成されるSPS(Super Proton Synchrotron)加速器とLHCの間を1ナノ秒以下のタイミングで同期が取られるように調整を行う必要がある。
 今回、トラブルが発生したのは、このセクター冷却システムの電源系統と見られている。
http://www.technobahn.com/news/2008/200809191652.html




LHCの冷却用変圧器が不調、実験を一時停止
2008.09.19 Web posted at: 14:31 JST Updated - AP
ジュネーブ(AP) 欧州合同原子核研究機関(CERN)は18日、スイス・ジュネーブの地下で本格的に始動したばかりの超大型粒子加速器「LHC」で、冷却用の変圧器が不調となり、実験を一時停止したことを明らかにした。
変圧器の不調で、装置の温度が2─4.5K(ケルビン、絶対温度単位)ほど上昇。変圧器は交換され、装置は絶対零度(マイナス273.15℃)付近まで再冷却された。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200809190006.html