『おんな城主直虎』第1~5回―子ども時代はセオリー通り | 歴史愛~歴史を学び、実生活を豊かにする~

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「温故知新」とは言いますが、世の中を見渡すと表面的な教訓ばかりでイマイチ実生活に活かすことのできない解説ばかりです。歴史的な出来事を、具体的な行動に置き換えて実生活をより豊かにし、願望を実現する手助けになるように翻訳していきます。


※こちらの記事は、平成29年10月7日に書かれたものです。

皆さんこんばんは。
今回は、ついに今年の大河ドラマ『おんな城主直虎』の感想に入ります!

平成28年の大河ドラマ『真田丸(さなだまる)』の感想は最終的に1回1回書くようになったので非常に時間がかかってしまいましたが、今回は『真田丸』の当初のように5回分まとめて書きますので、それほど時間はかからないと思います。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

『真田丸』についての記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『真田丸』第1~5回―真田昌幸の魅力

あらすじ
戦国(せんごく)時代、遠江(とおとうみ)の井伊谷(いいのや)の領主井伊(いい)氏は今川(いまがわ)家からの圧迫に耐えながら辛くも独立を維持していた。そんな中、当主井伊直盛(杉本哲太)の大叔父直満(宇梶剛士)と直義は井伊家家老(かろう)小野政直(吹越満)の讒言(ざんげん)により、今川家に処刑されてしまう。その荒波の中、直盛の娘おとわ(新井美羽)は幼馴染の小野政直の嫡男(ちゃくなん)鶴丸(つるまる)(小林楓)、井伊直満の嫡男亀之丞(かめのじょう)(藤本哉太)と無邪気な幼少時代を過ごしていた。

しかし、謀反人(むほんにん)として処刑された直満の嫡子(ちゃくし)である亀之丞へも処刑の命令が下り、直盛は今村正実(芹沢興人)に命じて亀之丞をかくまうことにし、おとわは政直の子鶴丸との婚姻を命じられるが、出家(しゅっけ)することでそれを避けることになる。

おとわの出家騒動が今川家の耳に入り、それを防ぐために義元(春風亭昇太)はおとわに人質になるように命じるが、義元の嫡子氏真(尾上松也)との蹴鞠(けまり)の勝負で辛くもそれを免れる。

その後、直満の所領(しょりょう)を小野政直に譲るように今川家から通達があり、井伊家の中でますます政直に対する反発が強まっていく。

そして9年の歳月が経ち、おとわは次郎法師(柴崎コウ)として成長し、鶴丸は小野政次(高橋一生)として元服し、父の政直は病に倒れる。政直の死によって暗殺の危険が薄まった亀之丞も元服し、井伊直親(三浦春馬)として井伊谷に帰郷した…

という感じです。




ということで感想ですが、この段階だと以前心配したようにはならなかったようで安心しました。

参考記事:
大河ドラマ『おんな城主直虎』は大丈夫なの?

そして子ども時代は『真田丸』以外の他の大河ドラマと同じように、無邪気に元気よくファンタジックに描かれていますね。
大河ドラマは大体、主人公の子ども時代は元気いっぱいで楽しく可愛く描かれているので楽しいのですが、途中中だるみしてそのまま終わるという難点がありまして、実は子ども時代を見ただけでは判断できないんですね。


関連記事:
『真田丸』、とりあえず見ていられる!

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『真田丸』第16~17回―秀吉の笑顔に潜む狂気

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『真田丸』、女性陣が活躍しないとまだ見られる!(21~23回)


ただ、画としてはこの頃の小領主〔国人(こくじん)〕のぼろっちい様子が描かれていてよかったなあと思っています。

まぁ、下記Cantabileさんの言うとおり、戦国の家としては直盛は甘すぎる感はありますが、ここまでの時点で大きな不満はないです 笑

あとは大河ファンの人は大河の内容を史実と捉えがちなので言っておきますが、実は井伊直親は実在した確証のない人物で、実際に次郎法師(じろうほうし)と直親が許婚(いいなずけ)であったかどうかは謎です。

小野政直についても井伊直満、直義の讒言をしたことはほぼ確かなようですが、この頃の主従関係はのちの江戸(えど)時代ほど強固ではなく、国人領主の家臣(かしん)が今川家のような太守(たいしゅ)レベルの人に讒言をするなんてしょっちゅうだし、下剋上(げこくじょう)の世の中なのだから当主が隙を見せれば家臣はすぐに家を乗っ取ります。

だから小野政直が井伊家乗っ取りをたくらんだとしてもなんら不自然なことはありません。
しかし、これも諸説ありで実際に乗っ取りをたくらんだのか、井伊家のためを思ってやったことなのかはわかりません。

そして、蹴鞠のシーンですが、これも無邪気で怖いもの知らずの子ども時代を描くという、今までの大河ドラマの定石的な展開で(面白くないといえば面白くないですが)、特に文句はないですし、佐名(さな)(花總まり)の存在の謎さもよかったですね 笑

一応解説をすると、佐名は井伊直平(前田吟)の娘という説があり、さらに南渓和尚(なんけいおしょう)(小林薫)も直平の息子という説があるので、この説を採った今大河ドラマでは佐名はおとわの大叔母、南渓はおとわの大叔父にあたるわけですね。

ですから、佐名の娘の瀬名(せな)はおとわの父直盛の従妹(いとこ)にあたるわけです。
(ですが、直盛の父直宗の存在も疑問視されていますし、佐名が井伊家の出であるということも疑問があり、さらに南渓和尚は直平の養子という説があるので、あくまで今大河ドラマ上での設定となります)

ちなみに、当時は身分の高い人の側室(そくしつ)になることは(家としては)名誉なことでした。
そのため佐名は当時の「建前」の部分では決して不幸な境遇とは言えません。
さらに当時は今のような根拠不明の「処女信仰」がなく、殿様の側室をいわゆる「お下がり(※)」の状態で家臣が正室にもらい受けるということに対して抵抗がなかったようです。
むしろ、殿様の側室をもらい受けることは家臣にとって名誉なことでした。
※「お下がり」などと物のような表現をされることに女性陣は不快感を抱かれるかもしれませんが、あくまで当時の感覚を推測しての記述で、僕自身にこのような意識はありません。「もらい受け」られた女性の気持ちが無視された状況ですよね。

そして小野政直の話に戻りますが、彼については他の方も言っておられるように、本当に私利私欲のために裏切り行為を働いているのか、井伊家のために考え抜いた結果今川家に従っているのかがわからない演出、演技であり、それは素晴らしいと思います。


そして5話で子ども時代が終わって全員成人役となったわけですが、結局、次郎法師と井伊直親の色恋沙汰になるわけですね 笑
ちなみに、日本人に「Love」の概念が認識されるのは明治以降のヨーロッパ文明が一般的に受け入れられた後で、それ以前は自覚的な「Love」の感覚はもっていなかったといわれています。

当時の恋愛感覚は今の感覚と大きく違った可能性が高いです。
(これを言ったらドラマなんて作れなくなりますが 笑)

しかし、結局色恋にもあまり深入りしなくてよかったと思っています。

あとは、『真田丸』に引き続き、徳川家康〔劇中では松平竹千代〕の描き方がひどい…
確かに変なやつではあったようですが、一度は三河(みかわ)を平定しかけた松平(まつだいら)家の跡取りですから、もうちょっと大将然とした育てられ方はしていたと思います。

あとは下記感想で気になるのが井伊家初代共保は藤原(ふじわら)から井伊に改姓したという内容ですが、実際は改姓したわけではなく、氏は藤原のまま、名字を井伊としたことになります。
詳しくはを下記記事ご参照ください。

参考記事:
武家や公家の名前について

※画像はイメージです。

今回登場した人物のフルネーム(成人のみ)
・井伊 信濃守〔通称は次郎〕 藤原 朝臣 直盛
いい しなののかみ〔通称はじろう〕 ふじわら の あそん なおもり
・井伊 信濃守?〔通称は彦次郎〕 藤原 朝臣 直満
いい しなののかみ?〔通称はひこじろう〕 ふじわら の あそん なおみつ
・井伊 平次郎 藤原 直義
いい へいじろう ふじわら の なおよし
・小野 和泉守〔通称か官職か不明〕 小野 朝臣? 政直〔道高〕
おの いずみのかみ〔通称か官職か不明〕 おの の あそん? まさなお〔みちたか〕
・今村 藤七郎 勝間田? 正実
いまむら とうしちろう かつまた? の まさざね
・今川 治部大輔〔通称不明〕 源 朝臣 義元
いまがわ じぶのたゆう〔通称不明〕 みなもと の あそん よしもと
・今川 治部大輔〔通称は彦五郎〕 源 朝臣 氏真
いまがわ じぶのたゆう〔通称はひこごろう〕 みなもと の あそん うじざね
・小野 但馬守〔通称か官職か不明〕 小野 朝臣? 政次〔道好〕
おの たじまのかみ〔通称か官職か不明〕 おの の あそん? まさつぐ〔みちよし〕
・井伊 肥後守〔通称不明〕 藤原 朝臣 直親
いい ひごのかみ〔通称不明〕 ふじわら の あそん なおちか
・井伊 信濃守〔通称不明〕 藤原 朝臣 直平
いい しなののかみ〔通称不明〕 ふじわら の あそん なおひら
・井伊 宮内少輔〔通称不明〕 藤原 朝臣 直宗
いい くないのしょう〔通称不明〕 ふじわら の あそん なおむね

参考
Art & Bell by Tora
第1回
渡る世間は愚痴ばかり
雑記帳
坂の上のサインボード
第2回
Cantabile
渡る世間は愚痴ばかり
坂の上のサインボード
第3回
渡る世間は愚痴ばかり
やまもも書斎記
昼寝の時間
第4回
渡る世間は愚痴ばかり
雑記帳
第5回
渡る世間は愚痴ばかり
莓ワールド!
Cantabile

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