ここまでのところでは静岡県富士市の走るローカル鉄道、岳南電車に乗り込んでみたものの、およそその沿線に観光的な要素が無いのでどうしよう?みたいな話になってしまってましたですねえ。ですが、出かける前の下調べ段階では、オプションとして行ってみてもいいかなと思ったところが無いでは無いと。たとえば、こんなのがありました。

 

 

大きな地図は富士市HPの観光パンフレット掲載ページで見られますが、「ロマンと泉の郷」を巡るというウォーキングコースはちょうど岳南電車の駅が発着点になっているのですよね。

富士市の原田・比奈周辺の湧水源ポイントや見どころ情報が載ったマップです。この地は、日本最古の物語である「竹取物語」発祥の地の一つと言われており、かぐや姫にちなんだ地名がいくつも残されている場所でもあります。

富士山の湧水源を辿るのも、一般的な話とは異なるらしいこの地ならではの「竹取物語」伝説の地を巡るもの楽しからずやと思ったわけですが、如何せん暑さが厳しくて…。取り敢えず乗り込んだ列車を岳南富士岡駅で降りたのは、車内冷房で幾分心地よさを取り戻していただけに、ウォーキングコース巡りの余地を残したとも言えますが、下車してみればやっぱり暑いなあと。

 

 

そんな思惑も含めた紆余曲折の果てに、取り敢えずここでは先に見た駅名表示板にもあった「がくてつ機関車ひろば」とやらを覗くにとどめておくことにしたのでありますよ。

貨物営業時代に活躍した電気機関車を展示した新たな観光スポット「がくてつ機関車ひろば」が岳南富士岡駅構内にオープンしました。 90年以上前に製造された電気機関車を展示しています。架線は無電圧化しパンタグラフも上げて、今にも走り出しそうな重厚感ある姿がお楽しみいただけます。

まあ、さほどに「鉄」分が多い方ではありませんですが、岳南電車HPにこんな紹介を見かけますと、なんとはなし、面白そうではないかいねとも思っていたものですのでね。駅舎の奥にあるようですので、回り込んでいきますが、辺りには何もないのですでに全体像はホームから見えており、ひろばを前にして「?」と思ったと言っては嘘になってしまいますので、あらかじめ…。

 

 

「え?これだけ?!」と言っては、この奥にももそっと車両が並んでおりますので語弊がありましょうけれど、それにしてもこれほどに置いてあるだけ感とは、さすがに思いもよらず…。

 

 

これは余程の「鉄」分含みの人たちでないと来た甲斐ありとは思えないのではなかろうかと。富士市の製紙業の隆盛に際して、かつては貨物列車が大活躍したのであろうなあ…という思いを新たにすることはできましたけれど。

 

 

元々信州・松本と上高地の玄関口である新縞々を結ぶ松本電鉄(現アルピコ交通)から譲渡されたというこちらのED40形電気機関車は「(1971年以来)約40年間で…コンテナ輸送による富士市内工場の製品などを大量輸送するための主力機関車として大活躍し」たそうな。ボディに「DAISHOWA」「YOSHINAGA」とあるのは、大昭和製紙(現日本製紙)吉永工場(岳南電車沿線にあり)御用達の車両だったのでもありましょう。

 

てな具合に往時を偲ぶことはできるにしても、あまりには寂しい観光スポットであるなとは正直なところ。ですが、あたりを見て回るうちに気付いた説明板によりますれば、「…週末指定日開催の「機関車ミニガイド」は、現役運転士が少人数のお客様を対象に、機関車の説明や車内見学、運転台での撮影もできるイベント」だったりするそうな。つまり、ただの平日にやみくもに訪ねても置いてあるだけということであったか…と。

 

この平日の閑散さとイベント時の(多少の?)賑わいとを思うとき、なんだか岳南電車そのもののようであるなと思ったものでありますよ。何せ平日昼間には数人しか乗っておらず、夜景電車のようなイベント時には予約が必要な賑わいになる(であろう)点で。

 

 

こんなイベント開催時にはきっとたくさんのお子さんで賑わうのでしょうなあ。ホームの向こうで休息中のかわいらしいヘッドマークを付けた列車も、その時には活躍することになるのかも。

 

 

と、そんなこんなのうちに折り返しで吉原方面へ戻る列車がやってきました。1時間に2本程度の列車を逃すわけにはまいりませんですね。そそくさと乗り込むも、吉原駅まで行くのでなしに途中の吉原本町駅で下車予定。次なる目的地を目指します。