ちょいとお休みを頂戴して静岡に行ってまいりました。気象状況の点から言えば、いやはや何とも思い通りにはいかぬ結果に終わったと申しましょうか…。天気を恨んでも仕方がないのですけれどね。

 

このほど出かけた旅の目論見は実のところ、3月に澤田瞳子の小説『赫夜(かぐよ)』を読んだことに端を発しておりまして。巻末の参考資料の中に静岡県富士市の富士山かぐや姫ミュージアムの名が挙がっていて、「ほお、そんな施設があったのであるか」と興味を持ったのがひとつ。

 

そして、富士を眺めるのに中央本線が近しい存在である者にとってはとかく山梨県側からばかりであるので、この際静岡県側からもじっくりと思ったことがもうひとつ(このところは東海道新幹線でびゅっと通りすがりに見るばかりでしたので)。

 

ということで、この際じっくりと富士市を歩き回ってみようかいねと思い立った次第ながら、3月当時は1月に発症した腰痛をまだ治療中の段階ですぐには出かけられず。その分、入念にプランニングをして、5月にいよいよ出かけようという段になったものの、4度めのコロナ罹患により敢え無くキャンセルすることになってしまったのですなあ。

 

それにしても、いい加減、4度も罹るか?と思い、ただの風邪とも判別しかねたわけですが、コロナ後遺症らしき抜け毛がまたもや…てなことでもあり、「ああ、やっぱり」と。2~3カ月経って生じるこの後遺症、さすがに4度目ともなりますと、もはやつるつるてかてか頭になってしまうような気も…(苦笑)。

 

と、余談はともかく、コロナを乗り越えて6月を迎えますと、誰しもご記憶のとおり酷暑の予感が始まっており、7月、8月の耐え難い猛暑が訪れたのでありました。その炎天下には、うろちょろ歩き廻る旅などしている場合ではない、何せ毎度のようにTVニュースなどでは「外出を控えてください」などと言っておりましたしねえ。

 

てなわけで、またしても旅のプランはお蔵入りか…(実はそういうプランがいくつもありまして)と思いかけたつい先頃、TV朝日『題名のない音楽会』を見ていて「そうだよなあ」と思うことがあったのですな。

 

内容はアマチュアの楽器奏者がプロ・オケと共演する機会を提供するというものでして、オーディションに参加されていた方の一人、ホルン奏者の方が語った応募動機に「ほんとにねえ」と。その方はプロ・オケとの共演を夢見て「いつかは応募したい」と思っていたところ、思いのほか早く母親の死に直面することとなって、「いつかは…」の「いつか」は無いのかもと気付かされたようすなのでありましたよ。

 

ついでにもひとつ、これまた先日、NHK『知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?』で取り上げられた認知症の話からしても、先のホルン奏者の方以上に「いつかは…」があるわけではなさそうであるなあとも。結局のところ、今後はなお一層に「思い立ったが吉日」を実践していくのがよいのだろうと思ったものなのでして。

 

それにしても、ちょいと旅行に行くかどうかというだけの話がやけに大袈裟になってますが、こうしたいきさつを経て、ようやっと重い腰をあげたという次第…なのですが、それにしても初日、二日目、暑かったですなあ。当初の歩き廻り主体プランをその場その場で大幅修正して乗り切ったという。

 

で、二日目の夜中、静岡地方は大変な豪雨、雷雨に襲われ、朝までには雨はあがっていたものの、東海道線は富士~熱海間が不通になっておりましたよ。静岡方面から熱海へでも行こうとしていたのか、外国人観光客がたくさん富士駅で停滞を余儀なくされ、「いったいここはどこの国?」といった状況にも。

 

 

この三日目の静岡地方は、大気の状況が不安定で雷雨が予想されているとなりますと、前の晩の豪雨が思い出され、なかなかに身動きが取りにくい。そもそも富士のお山をあちこちから眺めるつもりも、およそ常に雲の中に隠れており、三日目の朝早くこそすっきりとした姿を見せたものの、すぐに笠雲がかかり始めてしまい.…。

 

 

パーシャル・マウンテンビューであった?ホテルの窓から見るとこんな具合。笠雲は観天望気で雨の予兆とされていますけれど、この後みるみる富士全体が雲に取り巻かれていったのでありましたよ。

 

そんなわけで、この日も歩き廻るのに難がありそうな。朝段階で雨が降ってはおらないものの、すでに気温は急上昇中になっておりましたしね。思い立ってというか、思い切ってというか、出かけてみたものの、なかなかに思い通りにはいきませんですねえ。

 

もっとも東海道線上り方向が不通であったこともあり、帰路に別経路を選択したおかげで首都圏の豪雨被害に直面することは無かったのは、個人的には幸いなるかな。ま、それは後のお話となるわけですが、思うに任せぬ経過をたどったとはいえ、旅先のあれこれはやはり振り返っておきたいところ。この後、ちらちらと触れてまいりたいと存じますです、はい。