信州諏訪湖畔に2つの美術館を訪ねたのですけれど、ひとつは先に特別展『万国博覧会のガレ」を見た北澤美術館、そしてもうひとつはこれから話の出てまいりますサンリツ服部美術館。で、この2つの美術館というのが、湖畔の周回道路に面して隣あっている、間には路地がひとつあるだけなのですな。
そんな立地ながら、北澤の方はガラス工芸と現代日本画、サンリツの方は西洋近代絵画と茶道具てな具合にコレクションの棲み分けがなされている、見事なくらいに。訪ねる方はそのバリエーションが楽しめて何ともラッキーな気がしますですよ。
で、北澤の方のメインコレクションであるガラス工芸を堪能した後、同館所蔵の現代日本画の展示室も当然に眺めてきましたですが、「北澤コレクション名品展 夏」と銘打った展示は、暑い暑い夏に一服の涼をもたらすもので、ほっとひと息つくのに最適な空間でありました。
「魁夷の青」とも言われるだけに東山魁夷の『白夜』には冷涼な空気感が漂うのはもとより、これに対して「元宋の赤」と言われた奥田元宋の作品は、昨秋ここの美術館で見た紅葉の景色に感嘆したものでしたけれど、夏のイメージとしてピックアップされた『晨輝』もまた心惹かれるところでありましたよ。よほどポストカードを買おうかと思うも、どうしても現物の色が印刷には出ないのですよねえ…。
とまあ、岩絵具が見せるきらきらも清水のほとばしりのようであるなと日本画を堪能したその足で、今度はお隣のサンリツ服部美術館へ。こちらはこちらで西洋近代絵画のコレクションから「水のある風景」と題した展示が行われておりました。
こちらの方も暑い夏に因んで水のイメージをふんだんに。ではありますが、先に日本画を見て涼感を得たのに比べますと、やはり油絵はいささかの暑苦しさを伴ってもしまうような。元々、さほど暑くない?ヨーロッパで作られた油絵の技法だけに、寒いところで暖かさをありがたがるところもあったでしょうからねえ。もっとも、昨今のヨーロッパの夏も侮れないものがあるようですが…。
ともあれ、アルベール・マルケやキース・ヴァン・ドンゲン、そしてラウル・デュフィといった有名どころと、ここでしか出会えない邂逅があるのも楽しみですけれど、白い画面が特徴的なジャン・フサロ、以前たましん美術館で「!」と思ったポール・アイズピリの作品などは、予期せぬ出会いがしらといった感じ。これもまた楽しからずやではありませんでしょうかね。
というところで、サンリツ服部美術館ではもう一つの展示室では茶道具ならぬ、中国陶磁の展示があったのですけれど、そのお話はまた次回にということで。
と、お話の途中ではございますが、毎度毎度の父親通院介助に出向きますので明日(7/18)はお休みを…って、通院の付き添いはこの間行ったばかりでは?とも。そうなんですが、実はその折、ドクターが体調不良(医者の不養生といってはなんですが…)で休診となってしまい、通院予約が先延べされてしまったという…。ま、経緯はともかく、また明後日(7/19)にお目にかかりたく。ではでは。