ちょいと前の新聞記事で見かけたことに、2025年春節の時期に中国から海外旅行に出る方々の渡航先は日本がトップであったと。続いてはタイやマレーシアなど東南アジアの国々が続いておりましたですが、確かにマレーシアにも中国から来た(と思しき)観光客がたくさんおりましたなあ。
翌朝のことではあるも、宿泊したホテルが大型だっただけに大型観光バス満載で3台くらいが早々に出立していきましたし、それ以前、朝食会場で聞こえるのは中国語ばかりでもあったような…(何故かしら、傾向的に中国の方々の言葉は大きく聞こえるような気もかねがね)。
ともあれ、マラッカタワーを後にしてやってきたのは最も繁華なエリアということに。折しも旧正月目前の時期ですので、すでに賑々しさもひとしおで。もとより、マレーシアはマレー系70%、中華系23%、インド系7%という民族構成(2023年マレーシア統計局)になっているわけですが、実際の数以上に中華系の存在感があるのは、こんなようすからも窺えようかと。
いわゆるチャイナタウンの入口かとも思えるわけですが、このブロックには「オランダ、イギリス、中国式がミックスしたユニークな」建物があったりするということで(マレーシア政観HP)。次に訪ねましたのは、そんな中にある「ババ・ニョニャ・ヘリテージ博物館(Baba Nyonya Heritage Museum)」でありまして。
20世紀初頭までに移民してきた民族男性が現地女性と婚姻し混血の子孫も存在します。ババニョニャ(プラナカン)は、中華系移民の男性とマレー女性の婚姻により生まれてきた男子をババ、女子をニョニャと呼び、宗教・生活様式は父方、言語や食生活は母方を受け継いで独自の文化を形成しています。(「Malaysia Guide Travel info and Photograph of Malaysia」HP)
一概に中華系というのでないだけに建物もコロニアル風が香っておりますが、ババである農園主(薬用作物栽培から後にゴム栽培)が1861年に建てた邸宅が博物館として公開されているのですな。この辺りの建物は基本的には間口が狭く、奥行きの深いうなぎの寝床タイプですが、こちらは3棟繋がりという豪勢なものです。
奥に長いだけにすべて屋根で覆っては暗くなってしまうし、空気の通りも悪くなるてなことでしょうか、中ほどには吹き抜けのパティオが設けられていて、明るい日光もたっぷり入ります。このあたり、京町家にある中庭と同様の発想なのかも、ですね。
上の写真では手前側になりますが、このパティオに面してダイニングスペースが置かれているのが新鮮でしたなあ。より外に近い空間で、おそらくは大所帯の家族がうち揃って食事を摂る姿は、日本の大きな農家の土間が思い浮かんだりもしたものです。
ま、並んでいる食器は至って豪勢なのですけれどね。でも、ここから先、ずずいと奥には台所があるわけで。使用人スペースはやはり奥まったところにあるという点では、しばらく前にフランクフルトで訪ねたゲーテハウスを思い出すところながら、空間の印象はむしろ対照的のような。
きれいにしてあるのは展示用であるにもせよ、広さ、高さ、明るさ、とにかく開放感のある場所で作業するのは、使用人の心持ちもいくらか鬱々としたところから離れられたのではなかろうかと。なんだかバックヤードの話になってきましたが、もちろん主の一家の居住スペースは立派な家具調度がそこここに。
ですが、めぼしいフォトスポットは大勢のビジターが立ち止まり、写真を撮りあっていましたし、中には三脚立てて自撮りしている人も。単なる観光客とは思われないチャイナドレス姿だったりしたのは、何かの撮影だったのであるか。でも、商業的な撮影で自撮りは無いか。
ほかに、カメラマンがモデルにポーズを撮らせているという場面もありましたな。何かと撮影に使われるのがこの博物館なのかもと思ったものでありました。余談ながら、見上げる二階の窓からは今しがたまでモデル女性が顔をのぞかせ、撮影が行われておりましたよ。もちろん、モデル女性の視線は階下のカメラマンを見下ろすなんつうことでなくして、遠く見つめる感を出していて…(笑)。
ちと申し遅れましたですが、このところ少々何くれとなく立て込み気味だもので、明日(2/22)はお休みを頂戴いたします…と、後付けの追記ですが。