文字通りの温泉三昧で過ごした三朝温泉三連泊の後、次の目的地に移動するために倉吉駅前で出て、昼飯に鳥取牛骨ラーメンを食した…と言うところまで話は進みました。ちなみにJR山陰本線の倉吉駅の駅前はこんな感じです。

 

 

折しも「倉吉ばえん祭(ばえんさい)」というイベントが開催間近だったようで、幟旗やらポスターやらをそこここで見かけました。おそらく祭りの当日は賑々しくなったのでしょうけれど、この日は至って静かで、がらんとしたもの。これが日常の姿なのでしょうなあ。

 

で、ばえん祭というのは「伝統のお祭りであるか?」と思えば、2011年に始まったといいますので最近のものと言えましょうか。新しいだけに「ばえん」という言葉は要するに「映える(ばえる)」から来ている?なんつうふうにも思ったですが、実は倉吉で「ばえる」というと「映える」とは異なる意味で元から使われていたようでありますよ。

お祭りのネーミング「倉吉ばえん祭」(さい)は倉吉の昔からのほうげんでばえる(標準語で騒ぐ、暴れると言う意味)からきており、その名の通り騒いで暴れちゃうイメージで活気のある元気なお祭りを目指しています。(倉吉ばえん祭公式サイト)

で、お祭り前の倉吉駅前は至って静かなわけですが、祭りの幟旗の陰にはかような像が置かれてあったりもするという。ばえん祭もこんなイメージでしょうかね。

 

 

笛を吹き、鼓を打って楽しそうなお倉とお吉…って、要するに「倉、吉じゃないの」と。ただ、楽しそうにというのは大きな勘違いであるとは、二人の像の間に置かれた「倉吉の昔ばなし」を見れば明らかになるのですなあ。ちと長いですが、ご紹介をば。

 


これはこれは「羽衣伝説」のひとつではありませんか。そういえば、関わりある地を主人公たちが巡ることになる松本清張の『Dの複合』に倉吉というか、三朝温泉が出てきていましたっけね。ともあれ、お倉とお吉は楽しげどころか、母恋しさの必至の思いで笛を吹き、鼓を打ち鳴らしていたのでしたか…。

 

と、駅前には昔話的な伝説にまつわる像が置かれている一方で、駅構内の方にはまた違った雰囲気が漂っておりまして。鉄道で倉吉に到着した人たちにはかようなお出迎えが待ち構えておるのですな。件の『ひなビタ♪』は倉吉の観光大使だったようで…。

 

 

ということで、「ようこそ倉吉へ」と迎えられたのも束の間、折しもこれから山陰本線に乗るところでして。ひと気のない改札口(交通系IC非対応です)を通り抜けて、「本線」というわりにはこのあたり、非電化区間になってますので、「ぷおん!」とか「じ~、しゅんしゅんしゅんしゅん」とかいう賑やかな音のする気動車が待っていようかと。これもまた旅情を醸すところではなかろうかと。