さてと、鳥取・三朝温泉の温泉街をぶらりとしに宿を出たものの、キュリー広場でひっかかり、恋谷橋でひっかかり…。ですが、橋を渡り切りって右へ折れますと、いよいよ温泉本通りということに。と、その前に橋のたもとで見かけたお店の前でまた立ち止まったりも。

 

 

こちらは三朝名物「とちもち」の元祖を名乗るお店のようでして、三徳川の上流に投入堂があるだけにこの「とちもち」も役行者ゆかりということらしいですなあ。曰く「昔、三朝温泉の奥、三徳山に行場を開いた役(えん)の行者は、深山に自生していた「栃の実」を食べて長生きをしたと伝えられています」と店前に。栃の実といえば、縄文人も食していたという食材ですものねえ。

 

今ではすっかり食材としては珍しいものになった栃の実を使って作られる「とちもち」は数量限定で、午前中には売り切れてしまうのが常であるとか。あいにくと通りかかったときにはすでに売り切れであったようで…。とまた余談スタートになってますが、角を曲がって温泉本通りへと。

 

 

傍らには「温泉本通り東口」の看板がありますけれど、柱のところはゴミ出しの日の集積場ともなっていて、一見したところ住宅街の裏通りでしかないような。どうやら反対側の西口にあたる方からアプローチするのが「らしさ」のあるところだった…とは結果論ながら。三徳川で恋谷橋のひとつ下流側に路線バスも通る三朝橋がありまして、そちらの側には観光案内所もありますのでね。

 

 

ともあれ、ずいすいと進んでいきますと、それなりに「昔ながらの…」といった風情の建物があったりもしますし、通りのそこここに「湯の街ギャラリー」と称するショーウィンドウが設けられてあるのは、散策する人へのもてなし精神でもあろうかと。

 

 

こちらに並んでいるのは恋谷橋のところでも触れたかじか蛙のコレクションですな。それにしても、三朝温泉とかじか蛙の鳴き声は「日本の音風景」に環境庁(当時)から選定されておるという関わりであったとは、ここの展示で知ったような次第です。

 

 

 

一方で、もともとのお店が店に関わりのある珍しいもの、古いものを陳列していたりもしましたですよ。こちらは写真館の店頭、そして蛙のギャラリーがもうひとつ。

 

 

 

とまあ、道筋のところどころに現れる展示にレトロ感を抱きつつ進んでいきますと、足湯や飲泉も設けられた小さな広場に到達します。ここが温泉本通りのほぼほぼ中間点になりましょうか。

 

 

足湯にしても飲泉にしても、ちと手を出してみたですが、結構温度が高いので、思わず出した手を引っ込めたりも。概して三朝の湯は熱めのような気がしたものでありますよ。で、広場の奥には「すーはー温泉」という温浴施設がありました。「スーパー」の間違いではなくして、「すーはー」です。

 

 

ここはお湯に浸かる施設ではありませんで、蒸気に含まれたラドンをいっぱい「すーはー」しましょうという場所。温泉本通り沿いにもいくつか宿があるのですけれど、比較的小さな宿であるとは先にも触れたとおり。何しろ商店が軒を連ねているような立地ですのでね。それでも宿には当然にして三朝の湯を引いた浴場がありましょうけれど、蒸気風呂までは設置できていないのかも。だからこそ「すーは―温泉」が成り立つのでしょうし。

 

幸いにも今回は川の対岸に位置する大きめの宿に宿泊しておりましたので、ラドン蒸気浴は宿の大浴場でたっぷりと「すーはー」することができましたので、ここで体験するまでもなかったわけですが。

 

と、三朝の温泉本通りをぶらりとしてきて中ほどまでたどり着いたわけですが、実はここから先に何ともディープな世界が待ち受けていたのでありますよ。大仰な言い方にはなってますが、いろいろな意味でディープゾーンと思しき界隈に歩を進めていくのですが、その辺りを次回に触れて行こうと思っておりますです、はい。