毎度のように長くなってしまった造幣博物館@大阪のお話もようやっと最後になります。博物館3階奥の展示スペースはこんな具合で、貴金属店のショールームでもあるような。それもそのはず、並んでいたのは数々の記念貨幣だったのでありまして。
先に触れました平山郁夫デザインによる昭和天皇在位60年記念硬貨もこのコーナーにあったわけですが、永年培ってきた造幣技術の賜物であるのか、ここ造幣局で造り出された貨幣は「MDCコイン・コンペティション」や「コイン・オブ・ザ・イヤー」といった国際的な賞を受賞していたりもするようで。
受賞作(?)には数々の記念硬貨が並ぶ中、2000年に発行が始まった「500円ニッケル黄銅貨幣」(つまりは普通の500円玉で、2021年の新タイプが出る以前のもの)が2002年の「コイン・オブ・ザ・イヤー」で「最も革新的なコンセプトの貨幣」として受賞した例もあるようで。そんなことがあったのであるか…というくらい、普通の人々は知りませんですよねえ。知っているのはコイン・マニアくらいかも?
マニアというのが適当かどうかはともかく、切手にも数々の記念切手があってコレクターが追いかける代物となっておりますが、どうやらコインにも似たようなところがありますな。例えば、地方自治法施行60周年として47都道府県それぞれのデザインでもって2008年から順次発行されたという記念硬貨は、千円銀貨と500円貨がいずれも47種類、合計94種類を集めてコンプリート・コレクションとなるわけで。
ただ、こうしたコレクター狙いは日本に限った話ではありませんですね。展示にあったオーストラリアの記念硬貨などは「収集用」であることが表示されているくらいですものねえ。
こうしたものの中には、現在およそ硬貨は円形であることの常識を裏切って奇抜な形で迫るものもありますな。上の写真にもオーストラリア大陸を模した形のものまでありますし。場合によっては、コイン・コレクター以外にも食指を伸ばしたとしか思えないものもあったりするという。
上は「おめでとうスヌーピー ピーナツ65周年記念貨幣」(2015年)、下は「名探偵コナン20周年記念貨幣」(2016年)ということなのですが、いったいどこの国が発行したものでありましょう?なんと、オセアニアの島国、クック諸島であるとは。どうやら外貨を稼ぐための術として、民間からの依頼であっても、こうした記念貨幣を自国通貨として造ってくれるということがあるようでありますよ。
ですが、どうやら製造しているのは大阪造幣局であるらしい。造幣局ではこうした特殊な?記念硬貨ばかりでなしに、日常的に流通する外国貨幣も手掛けているということのようで。
左下に見える小さなコインはいかにも日常使用されるものっぽいですが、これはバングラデシュの2タカ玉(タカはバングラデシュの通貨単位)とか。レートにもよりますがだいたい日本円では2~3円玉てなところのようです。
とまあ、造幣博物館の展示をあれこれじっくりと眺めてきたわけですけれど、博物館の建物をあとに正門守衛所の方へと戻ろうとしたその時になってようやく、「通り抜けの由来」碑に気が付いたのでありますよ。
…造幣局の桜は、明治の初め、藤堂藩の蔵屋敷(現在、重要文化財に指定されている泉布観の北側)から移植されたもので、品種が多いばかりでなく、他では見られない珍しい里桜が集められていました。…現在ここにある桜は、関山・松月・普賢象・黄桜・楊貴妃などの八重桜が主です。なかでも、大手毬・小手毬などは造幣局以外ではめったに見られない珍種といわれています。
大阪の方にはお馴染みのこととは思うも、東京から来た者としては今さらながらに「ソメイヨシノじゃなかったのか…」と。そんな発見(?)にも遭遇しながら、帰りがけ門の脇にあった「ミントショップ」(売店ですな)を覗いてみたですが、貴金属店か?と思うばかりでちいとも「お呼びでない」お店でありましたよ(笑)。