たまには日常ネタを織り交ぜて…ということで、久しぶりに東京・八王子(といっても八王子駅からは相当離れている)の帝京大学総合博物館へ行ってきたのでありますよ。「久しぶりに」といって思い出してみれば、6年前のやっぱり暑い夏、ちょうど今くらいの時期に出かけたのでしたなあ。大学も夏休みモードであるのか、キャンパス内に人影はほんのまばらであったのも以前と同様の印象で。
多摩丘陵の丘の上にこんな巨大なビルが建っておりまして…といっても、博物館は地下なのですけれどね。せっかくぐるりと眺望の得られそうなところにあるのですから、高層階に設けておけば「おお!」とばかりに受験生が増える…てなこともないか。
企業ミュージアムならぬ大学博物館ですから、自前の校史を紹介する「帝京大学の歩み」という展示スペースがしっかりとってあるのは当然ですけれど、これは前にひとわたり眺めたので(申し訳ないながら)さらっと流して(もしかして展示替えなどしているかもですが)、目的は企画展示室の方にありという次第。『南の楽園マリアナ諸島の物語 あなたはグアム・サイパン・ロタ・ティニアン島を知っていますか?』という展示が8月16日まで開催中とふいに知ることになり、あたふたと出かけたのでありました。
もうずいぶんとご無沙汰しているも、グアムとサイパンにはそれぞれ2~3回ずつ行ったことがありますけれど、かつてまだハワイの敷居が高く感じられた頃のグアムは日本から一番近いアメリカ、しかもリゾート気分が満喫できるところとしてとっても人気のデスティネーションでしたですね。とはいえ、ハワイに比べて鄙びた印象がとてものどかで、グアム以上にサイパンの方は「和むなぁ」と思ったものでありました。
繁華街(といっても、サイパンのガラパン地区など狭いエリアですが)には日本語で書かれた大きな看板が出ていて、初海外の日本人をフレンドリーに迎えていたものでしたが、その後、やはり近さが手伝って韓国や中国から団体客がやってくるようになるのと時期を同じくして、日本人は「今さらグアム?、今さらサイパン?」と(敷居の低くなった?)ハワイやその先のアメリカ本土にもたくさん出かけていくようになりましたなあ。
ちなみにこちらは、かつてサイパンのゆるキャラ的存在であった「サイパンだ!」。設定は父親がサイ、母親がパンダということですが、マリアナ諸島にはサイもパンダもいませんから単純に語呂合わせでして、しかもどう考えても日本語としての語呂合わせ以外のなにものでもない。つまりは日本人観光客向けのキャラクターとして存在していたのですよねえ。誕生が1999年とはぼちぼち日本人の渡航先の多様化に危機感を覚えた時期でしょうか。で、2018年に引退したのは、もはや観光のターゲットは日本人ではないと見切りをつけたのかもしれません。
ひと頃は日本の各地からグアムへの就航便がありましたですが(仙台あたりからも飛んでいたのではなかったかと)、つい先ごろ、今年10月に福岡-グアム直行便が運航終了となるてな話が漏れ聞こえて来て、ひと頃の盛況が「今は昔なのであるなあ」としみじみ。もっとも、その分、韓国や中国からの渡航者がいるならばまだしも、相当に観光頼みの経済になっているであろうだけに、(例として引き合いに出すのもどうかと思いますが)山梨県の清里のがらぁんとした駅前を思い出したりしてしまったりも。いいとこ、なんですけどねえ…と言って十何年も行ってませんが…。
グアムやマリアナ諸島に対する一般的なイメージはリゾート地としての娯楽に溢れた島であろう。しかし、実際は、「南の楽園としてのグアムやマリアナはほんの一面でしかない。
本展フライヤーにはこんな記載がありまして、企画展タイトルに添えられた「あなたはグアム・サイパン・ロタ・ティニアン島を知っていますか?」はもそっと言うと「あなたはグアム・サイパン・ロタ・ティニアン島『の何を』を知っていますか?」と問いかけてもいるのでありましょう。かつて何度か出かけた中で、個人的にそうした意識が湧いたのは最後の最後にサイパンを訪ねたとき(2009年の年末でしたな…)なって初めてでしたなあ。
ただただ何も知らずにリゾート感満喫も良しではあるも、その土地のことをいろいろ知って出かけるとまたひと味違う印象もこれあり。ま、これはグアム、サイパンに限ったことではありませんですけれどね。…と、しょうもない思い出語りが長くなって一向に展示の話になりませんでしたが、やはり展示解説のあれこれは振り返っておきたいところ。この次にはそういうお話となるようにいたしたく(笑)。