ちょいと多摩都市モノレールに乗って、かようなところへ行ってまいりました。


帝京大学八王子キャンパス

立派な施設に見えますが、どうも人がいないと荒涼感が漂いますなあ。
おそらくは夏休みに入ったからでありましょうかね。


訪ねた先は帝京大学八王子キャンパス、ここに帝京大学総合博物館がありまして。

展示には、まあ当然として帝京大学の歴史をたどるものがあったりするわけですね。


始まりは1931年、渋谷にできた帝京商業学校であったところから、
今では文字通りの総合大学といった学部が揃って、しかも帝京○○大学といった
系列の学校まで含めれば相当に巨大な存在になっておりますな。


それだけに辣腕をふるうオーナー経営者がいて…という印象を強く持っていましたが、
少なくとも展示では前身の帝京商業学校創設には4人の人物が関わったとして、
ワンマン色のイメージを薄める作戦でもあらんかと思ったり。


まあ、そんなことはともかくとして
この博物館を覗きに参りましたのは開催中の企画展を見るためですので、
話はそちらの方へ。


「カビ展 ― 医真菌学研究への誘い―」@帝京大学総合博物館

帝京大学にある医真菌研究センターというところの研究の一端を紹介するもの。
「真菌」というのが酵母やキノコも含んだ広い意味での「カビ」をあらわすことから、
「カビ展」というわけなのですなあ。


単純に「カビが生える」と言えばよくないイメージであるわけですが、
よくないどころか人体に直接悪影響を与える種類もあれば、実は人の役に立っている種類もある。

体では10万種類もあるということですから、ひと口にカビと言ってもさまざまでありますね。


映像ではカビの一種が菌糸を伸ばして成長していくようすなどは映し出されて、

梅雨どきの蒸し暑い中、湿気がこもった場所で「あ~あ、カビちゃった…」みたいことは
かように進行するのであるかと思ったりしたわけですが、
カビが大好きな温度環境は23℃~32℃ということですから、
場合によって今年の夏はカビにとっても快適ではない暑さになっているのかもと。


ところで、人体に直接悪影響を与える種類があると言いましたのは、
はっきり言って病気を引き起こすものでありますね。


さまざまな菌による症状の例が示されていましたが、「こりゃあ、ひどい…」と。
あまり触れたくはないところですが、むしろ医学が進んでこうしたカビ(真菌)による病気が
逆に増えたりすることにもなっているのだとか。


普通の健康体には太刀打ちできないカビが、

治療などを通じてそもそも病気を抑えてはいるものの、
その分体力の低下している人などを相手に、しなくてもいい活躍をしてしまうそうなのですよ。
いやはや困ったものです。


とはいえ、カビの関係でいちばん聞き覚えのありそうな症状は「みずむし」でしょうか。
ちなみに「みずむし」に掛かると痒くて痒くて…となるわけですが、
いわゆるみずむしの菌そのものが痒さの原因ではないようですね。


みずむし菌が皮膚に侵入し広がろうとするときに、体の中で抵抗勢力が出来て
みずむし菌との対決を試みる際に痒みといったものが生じてくるようです。
なんだか野菜が虫食いにさらされると自ら苦みやえぐみを作り出すのと
同じような仕組みが人体にもあるのですなあ。


と、カビの名誉のために?人の役に立つというあたりも少々。
いわゆる発酵食品造り、酵母を使うという点ではビールやワイン造りなどもですが、
このあたりでは思い切りお世話になっているわけですね。
チーズ、ヨーグルト、醤油、酢、納豆などなど。


日用の食品ではありませんが、青カビ由来の抗生物質であるペニシリン。
これがどのように病原菌を退治するのかということは考えてみたこともないところながら、
ペニシリンには病原菌の細胞壁に作用して、増殖のたびに細胞壁が弱いものが生み出されて
しまいには細胞が破壊されてしまう。つまりは病原菌は死んでしまうという。
一方で、人体細胞には細胞壁が無いので支障なしなのだそうですよ。


まあ、少々突っ込んだ解説には付いて行きにくいところもありましたですが、
それなりに「ほうほう」と思うところもある展示なのでありました。